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民衆会議/世界共同体論(連載最終回)

2018-04-03 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第8章 世界共同体の組織各論②

(6)世界共同体協商機関
 世界共同体(世共)は、主権国家の連合体にすぎない国際連合や欧州連合などとは異なり、排他的な主権国家体制を止揚して成立する地球規模の統治機関である。従って、国益を第一に追求する排他的な主権国家間の駆け引きで成り立つ外交活動というものがそもそも存在しなくなる。
 より具体的には、主権国家が外交特権を保持する外交官を交換的に派遣し合って外交活動を行なう伝統的なやり方は廃される。また主権国家の外交事務を仕切り、外交官の派遣元となる外交官庁(外務省)も廃止される。
 それに代わり、世共を大きな枠として、その内部で世共と構成領域圏間、または世共をはさんで構成領域圏間での政治経済的な各種調整―協商―が行なわれるのである。ここに言う協商とは、歴史用語で「三国協商」などと言うときの「協商」とは意味が異なり、各種の調整的な協議活動そのものを指している。
 そうした協商活動を取り持つ機関として、各領域圏に世共の代表機関(世界共同体代表部)が設置される。世共代表部は一名の駐在代表及び二名の副代表と事務局で構成され、世共と構成領域圏間の協商業務に当たる。世共代表は派遣先領域圏の出身者の中から世共事務局長によって任命され、事務局長の代理者としての地位を有する。
 しかし、世共駐在代表は外交特権を有しないため、派遣先領域圏で犯罪を犯せば当該領域圏の法律により処理されるが、身柄を拘束するに際しては、次に述べる領域圏民衆会議協商委員会の同意を要する。
 領域圏民衆会議協商委員会は、世共の協商相手方窓口となる組織である。この委員会は民衆会議の常任委員会として設置され、議会の外交委員会に相当するような性格を持つが、その任務はまさに協商そのものであって、言わば議会外交委員会と外務省を併せたような複合的な任務を負う。民衆会議協商委員長は外務大臣に匹敵する地位を持つ。
 なお、以前の回で見たように、各領域圏は世共に対し大使代議員を派遣するが、世共に各領域圏の代表機関は設置されない。その点は、現行国連に加盟各国の代表部が設置されるのはちょうど逆向きの形になる。ただし、領域圏大使代議員の事務を所掌する小規模な事務所は設置される。


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