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民衆会議/世界共同体論(連載第22回)

2017-12-16 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第5章 民衆会議代議員の地位

(3)代議員の諸権利及び義務
 議会制度下の議員、とりわけ国会議員には様々な「特権」が付与されているが、代表的なものとして、不逮捕特権、免責特権、歳費請求権がある。これらは議会政民主主義を擁護するために必要な権利であり、単純な優遇特権ではないと説明されている。
 しかし、実態として、不逮捕特権は汚職など犯罪行為を犯した議員の地位保全策として機能し、免責特権は議会内での品位、相互の敬意を欠いた暴言を正当化しているばかりで、むしろ民主主義の質を落とすことに手を貸している。
 民衆会議代議員の場合、こうした「特権」は付与されない。それは民衆会議が民主主義を軽視しているからではなく、むしろ「半直接的代議制」の理念に基づき、代議員と一般民衆の対等性という真の民主主義を確保するためである。
 ただし、いくつかの例外はある。代議員の不当な身柄拘束を防ぐため、拘束された代議員に対する民衆会議の釈放要求決議の権限は留保される。この決議に基づき、代議員を拘束した機関または団体、個人は直ちに釈放しなければならない。
 また民衆会議内で行なわれた公式の審議に際して名誉棄損等の不法行為を問責するには、他の代議員または被害者が当該代議員を民衆会議懲戒委員会に告発しなければならない。懲戒委員会は審査の結果、当該代議員の訓告または出席禁止の処分を科することができる。ただし、罷免相当と判断した場合は、民衆会議に対し、弾劾法廷の設置を請求しなければならない。
 なお、代議員には歳費請求権あるいはそれに代替する何らかの報酬請求権は全く存在しない。なぜなら、代議員は市民としての任務であるゆえ、完全無報酬だからである。この点は、貨幣経済が排される共産主義社会ならば、さほど奇異に受け取られないであろう。
 一方、代議員の義務として重要なのは政党やその他のいかなる利害団体・関係人からも独立して任務に当たるべき中立義務である。民衆会議は政党やその他の媒介者を通じた間接代表機関ではないことに由来する義務である。従って、いわゆる陳情やロビー活動を受けることも許されない。反面、正式の手続きを踏んだ請願に対してはすみやかに対応する義務が生じる。
 中立義務と密接な倫理規定として、代議員としての任務に関連し、または関連する可能性のある状況で他人から何らかの報酬や謝礼に相当する財物やサービスを享受することは、すべて汚職行為とみなされ、弾劾の可能性にさらされる。
 さらに、任務優先義務である。すなわち代議員は本来の職との兼職も可能であるところ、両者が両立しない状況では代議員任務を優先しなければならない。具体的には民衆会議への出席義務である。疾病等物理的に正当な理由のない欠席は懲戒、弾劾の事由となる。


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