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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第21回)

2024-04-16 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

三 汎アメリカ‐カリブ域圏

(7)キューバ

(ア)成立経緯
主権国家キューバ共和国を継承する統合領域圏。20世紀初頭以来の米国租借地だったグアンタナモ米軍基地は、北アメリカ領域圏との協約に基づき、撤去・返還される。環カリブ合同領域圏(後述)の招聘領域圏となる。

(イ)社会経済状況
主権国家時代末期には、共産党一党支配下で市場経済化が進められ、資本主義的な階級格差が広がり始めるが、「共産党に対抗する共産主義革命」によって、貨幣経済に基づかない真の共産主義社会が実現する。旧共産党体制時代の社会主義的な生産体制が脱構築的に継承され、汎アメリカ‐カリブ域圏内でのモデルとなる。

(ウ)政治制度
共産党体制時代の人民権力全国会議は、一院制の全土民衆会議に転換される。「共産党に対抗する共産主義革命」により一党支配は終焉し、旧支配機構であった共産党及びその傘下組織は解体される。

(エ)特記
キューバ革命の歴史的意義が自由に論議されるようになり、その暗黒面の調査研究が進展する。

☆別の可能性
共産党の支配力が強力なため、共産党支配体制が遷延し、世界共同体に包摂されない可能性もある。

 

(8)ハイチ

(ア)成立経緯
主権国家ハイチを継承する統合領域圏。合衆国領有小離島だったナヴァッサ島も編入される。環カリブ合同領域圏の招聘領域圏となる。

(イ)社会経済状況
資本主義時代は、西半球でも最貧レベルにして、ギャング支配などの混乱にも見舞われていたが、貨幣経済のない世界では、経済が再建される。元来主流的であった自給農業が成り立つようになり、環境的に持続可能な農業のモデルともなる。

(ウ)政治制度
主権国家時代は連邦国家ではないにもかかわらず、二院制であったが、革命後は全土民衆会議の一院制に転換する。

(エ)特記
ハイチの社会混乱を防止するため、世界共同体平和維持巡視隊が暫定的に駐留する可能性がある。

☆別の可能性
現状のハイチの政治社会混乱が進行して将来完全に破綻した場合、世界共同体の直轄自治圏として再建される可能性もある。

 

(9)ドミニカ・リコ

(ア)成立経緯
主権国家ドミニカ共和国と、モナ海峡を挟んで隣接するアメリカ合衆国自治連邦区プエルト・リコがアメリカから分立したうえ、合併して成立する統合領域圏。環カリブ合同領域圏の招聘領域圏となる。

(イ)社会経済
資本主義時代にカリブ海域では最大規模に発展していたドミニカ経済と、アメリカ領時代に発達した経済を基盤に統合された持続可能的計画経済が発展する。特に医薬品産業を軸とする。持続可能的農業は主にドミニカ地域が担う。

(ウ)政治制度
主権国家時代のドミニカ共和国と米自治領時代のプエルト・リコはともに二院制であったが、統合領域圏となるため、全土民衆会議の一院制に転換される。

(エ)特記
主権国家時代、ハイチからの密入国を阻止するためにイスパニョーラ島内で隣接するドミニカ共和国が設置していた国境壁は撤去され、ドミニカ・リコ領域圏との境界線は原則的に開放される。

☆別の可能性
プエルト・リコがドミニカと合併せず、単立の領域圏となる可能性、またはドミニカと緩やかな合同領域圏を形成する可能性もある。

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