ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第11回)

2024-01-24 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

二 汎東方アジア‐オセアニア域圏

(3)ミャンマー合同

(ア)成立経緯
主権国家ミャンマーのうち、ビルマ人主体の地域と少数民族主体の地域が分割されたうえで、改めて合同して成立する合同領域圏。ただし、迫害により難民化したロヒンギャ人の多いラカイン地方は世界共同体の直轄自治圏となる。ヤンゴン都市域と最南部タニンダーリ地方域は合同直轄域とする。

(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の3圏である。

中部ミャンマー
ビルマ人主体の地域(中部)を継承する連合領域圏

東部多民族ミャンマー
少数民族集住地域(東部の6州)を継承する連合領域圏

チン
少数民族チン人の集住する西部のチン州を継承する統合領域圏

(ウ)社会経済状況
合同全体では持続可能的計画経済に基づく農林業が主軸となる。東部多民族ミャンマー領域圏に集中する宝石をはじめとする天然資源の採掘は、世界共同体の管理下で持続可能的に実施される。長期に及ぶ内戦で疲弊した経済の再建のため、合同復興計画が継続される。

(エ)政治制度
合同領域圏は各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、三つの領域圏の都市で輪番開催される。長く独裁支配を行った軍は世界共同体の軍備禁止条約に基づき解体される。

(オ)特記
旧版ではミャンマーも次項のメコン合同領域圏に包摂していたが、複雑な多民族の社会構成ゆえに長期の内戦に見舞われてきたミャンマーの特殊性を考慮し、単立の合同領域圏とした。

☆別の可能性
少数民族州(チン州を含め7州)すべてが分立し、それぞれ単立の領域圏となる可能性もある。その場合、全体でミャンマー合同領域圏を形成するか、合同を形成せず各別の領域圏となるかいずれかの可能性に分かれる。最悪の可能性は世界共同体に包摂されないまま、軍部独裁と内戦が継続される可能性である。

 

(4)メコン合同

(ア)成立経緯
東南アジアのメコン河流域のタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの各領域圏が合同して成立する合同領域圏。ミャンマー合同領域圏も当合同の招聘領域圏となる。

(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の4圏である。

タイ
主権国家タイを継承する複合領域圏。王制は廃止され、王は称号のみの存在となる。マレー系が多数派の最南部パッターニーは準領域圏として高度の自治権を持つ。

○ラオス
主権国家ラオスを継承する統合領域圏。一党支配を続けていた人民革命党(実質共産党)の中央組織は解散する。

○カンボジア
主権国家カンボジアを継承する統合領域圏。王制は廃止され、王は称号のみの存在となる。

○ベトナム
主権国家ベトナムを継承する統合領域圏。一党支配を続けていた共産党の中央組織は解散する。

(ウ)社会経済状況
合同内ではタイとベトナムが工業的な基盤を持ち、他の構成領域圏は農業が中心である。かつては全般に貧困が課題であったが、貨幣経済によらない合同共通経済計画を通じて解決される。

(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、四つの領域圏の都市で輪番開催される。

(オ)特記
元来はメコン河水資源の国際管理を担ったメコン河委員会を母体に合同に発展する。メコン河の環境的に持続可能な管理は引き続き流域にとって共通課題であるため、合同領域圏においても最大の共通政策課題となる。

☆別の可能性
ミャンマーが正式に合同に参加する可能性もなくはない。

コメント