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民衆会議/世界共同体論(連載第29回)

2018-02-12 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第7章 世界共同体の組織各論①

(1)世界共同体と領域圏
 前章で、世界共同体は一定の地理的範囲内で自主的統治権を留保された領域体である「領域圏」で構成されるグローバルな共同体であると定義づけた。つまり、世界共同体(以下、世共と略す)は、領域圏の集まりである。
 この領域圏は、既存の主権国家とは異なり、もはや「国」ではない。ただし、一定の領域内で民衆会議を主体とした自主的統治が認められる一つの領域公共団体である。それらが世共の構成要素となるわけであるが、領域圏にも大別して二つのタイプがある。
 第一は単独領域圏である。これは、その名のとおり、単独で領域圏を形成するもので、中央民衆会議を中心に統一的な統治が行われる最も標準的な領域圏である。
 この単独領域圏はさらに、統合領域圏と連合領域圏とに分かれる。この違いは、現行国家制度では中央集権制と連邦制の違いに近く、統合領域圏は集権型、連合領域圏は連邦型である。連合領域圏は領域圏に準じた高度な自治権を留保された複数の準領域圏の連合で構成されるが、全体としては単独領域圏を形成し、準領域圏は独立して世共を構成しない。
 以上に対して、第二の合同領域圏は複数の領域圏(最大で12)が協定を締結して一つの合同体を形成するタイプのものである。先の連合領域圏とやや紛らわしいが、あくまでも全体としては単一の連合領域圏とは異なり、複数領域圏の緩やかな合同にすぎない。
 ただし、単なる友好善隣グループではなく、合同領域圏は共通的な経済計画を策定するほか、常設の政策協調機関を設けて重要政策を協調的に執行する。さらに世共には会期ごとの輪番制で単一の代表代議員を送り込むため、一体性は強い。よって、通常は民族的・文化的な一体性の強い近隣領域圏間で形成されるであろう。
 現行国連は年々加盟国が増大し、現時点では200か国近くに上るが、それによって国連が大所帯となり、大小各国の利害が入り乱れ、円滑な国際的意思決定に困難を来たしている。その結果、国連は実効性を失い、儀礼的な存在と化す危険の中に置かれている。
 これに対し、世共は実質的な世界民衆の意思決定機関たり得るため、総会‐世界民衆会議の議決に参加する領域圏の数を最大で100前後まで絞り込む必要がある。その際には、上記の合同領域圏の活用が期待される。

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