対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
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新刊棋書情報「プロの選んだ30の定石 アマの好きな30の定石」

2010-05-21 20:58:37 | 棋書
誠文堂新光社から
プロの選んだ30の定石 アマの好きな30の定石
という本が出た。
著者は結城聡プロ。
既刊の「世界の新手法ガイド」「大斜・村正・大ナダレ」に続くという位置づけらしい。
構成も同じく中村智佳子。

数ヶ月前、月刊囲碁の「クローズアップ」のコーナーに結城プロが出た際、
「5月に刊行予定」のアナウンスがあって楽しみにしていた。
プロで最近よく使われる定石と、
アマが好きな定石ベスト30を取り上げ解説するというコンセプトが、
ジョバンニ的に中々に面白いなと思ったから。

だが実際に手に取った感じでは期待通りの部分と、
期待を下回る部分が半々という印象だ。

前半の第1章、プロの定石30選は、
確かにプロの対局ではよく見かけるが、
アマの対局ではトンとお目にかからない形が多く面白い。
「プロの対局をみても消化不良」
という声を元に作られただけあって、
新版基本定石事典」に比べて枝葉の部分が詳しく、
プロ棋戦観戦ガイドとして使えそう。

星に小ゲイマでカカった時に、
ハサむ定石が19型とかなりのウェイトを占める。
他、星の定石2型、小目の定石8型、
中国流の裏ガカリの定石1型といった構成だったかと思う。


(この形ね)

残念なのが
第2章「アマの好きな星の定石ベスト30」
第3章「アマの好きな小目の定石ベスト30」
のコーナー。
アマチュアの愛好家がアマの対局を千局だか一万局だか
調査して算出したとのことだが
もう一つ自分の実感とマッチしない。
ちょっと統計的に無理がないだろうか?
星の定石ベスト14と19に見たこともない定石はずれが出てくる。


(この定石をうろ覚えで使った結果出来た形らしい)

また「アマの定石」だけあって既知のものが多く、
期待された「結城プロの新情報」も
「定石後の打ち方」といった程度でイマイチだった。
この章にページを割きすぎているのは私には無駄に感じる。
それでも「アマで人気なのに、何故プロで打たれないか」
というような部分は非常に興味深い情報ではあるが。

他の誠文堂の本にもいえることだが、
全体的に冗長な印象を受けた。
実際の情報量以上に本が大きく、分厚い。
表紙は前二冊に比べて俄然洗練された感じなのだから、
第2・第3章をもう少しコンパクトにまとめて、
レイアウトを工夫すれば四六版に収まり
もっとスマートにまとまったのではないだろうか?
説明を「新手法」や「大斜村正」とリンクさせて、
説明の重複を避けているのはとても良いのだけれど。

ちょっと残念な一冊。
多分、1回は図書館から借りてくるだろうが、
買うかどうかは躊躇ってしまいそうだ。