MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.043 「靖国 YASUKUNI」 (2007年 日/中 123分 ビスタ)

2008-05-11 01:43:06 | 2008年劇場鑑賞
監督  李纓



上映中止問題で日本政府まで巻きこんだ問題作がいよいよ大阪でも公開!
十三の第七藝術劇場での公開ですが事前にHPなど見ると相当な混雑が予想されるようで、初日を避けて来てほしそうな文面・・・でも行くとしたら私はこの日しか無理なんですよ。

最初は朝の2回しか上映がないので、早朝の9時半の回を見に十三へ・・・混雑を予想してなんと7時7分に自宅出発ですわ。
土曜日の早朝ってこともあり、現地に着いたのが予想より早く7時半すぎ!

劇場のあるサンポートビルのエレベーター前に行くと周りは報道陣らしき人々がチラホラ・・・エレベーターに乗ろうとしたら係員が映画の方はこちらの階段からお願いしますとの事、階段の方に向かうと一人の男性が近付いてきて「すみませんサンケイ新聞ですがお話しを・・・」と物腰のやわらかそうな態度はまるで新聞を取ってくれと勧誘にきたスタンドのおっちゃん見たい「ご主人すんませんけど2ヶ月だけお願いできません・・・?」と言うがセリフが似合いそうな人だが、この人記者のようですね。
朝日新聞も続いて寄ってきた・・・今日の家を出た時間とか公開中止問題に付いてなどを質問され、それに対して答えたけど続々と劇場に人が来てるので、チョイ焦り気味です。



階段を上がり6Fの第七藝術劇場を目指すと5Fでストップ!
ここが列の最後尾のようですね~ やはり早くから来てるんですね。
並ぶとアッという間に私の後からドンドンと行列が伸びていきます。
しばらく立ってたらスタッフらしき人がゾロゾロ降りてくる・・・こここんなに従業員おったか?しかも厳つい体格のいい連中も混じってる!
もしかしてその筋の人・・・?と思ったが後で知ったことだが、大阪府警がスタッフにまぎれてるようで、きっとこの方々は私服警官なんでしょうね。
道理でスタッフが「ご苦労様です!」って言ってたな~

さてスタッフが丁寧にこの後の予定を説明に来ました。
切符を買って整理券をもらってそのまま館内に入ってくださいとの事。
座席数は96席しかないからそれ以降は立ち見になるらしい・・・ただ今ここに居るお客様は座れますとの事でまずは安心、安心・・・



並んでたら途中、私の少し前の列で、知り合いが居たのかして後から来たおばちゃんが列に割り込んで知り合いと話し込んでそのまま居座ってる・・・ま、誰も何も言わないんだが、そこに更に新たな知り合いが来てまたそこに割り込んで話ながら並び出した・・・「おいおい・・・」と思ってらさすがスグ後ろの兄ちゃんが「最初から並んでいる人が居るんだからこれ以上割り込まれたら・・・」とやさしく文句を言ったら「ごめんごめん!」と言ってチョイむっとして下がっていきました・・・

更に1人2枚まで購入可能というシステムに付いてスタッフに抗議するおっちゃんも登場!
2枚買えるってことはもし例えば前に並んでる人間が全員2枚買ったら50番目の人は間違いなく立ち見になってしまう・・・そんな感じの抗議です。
何か緊張感溢れる映画鑑賞になりそうだ・・・まさに靖国狂詩曲!

上映20分前に開場らしいけど後1時間もここで待つのか?と思ってたらなんと予定を早めて1時間前の8時10分に開場!
前列に陣取り1時間座ってのんびりと待機ですね~ 続々と席が埋まっていき、気が付けばもう96席全部埋まったようです。

ロビーに出て様子を見るとどうやら今から来る方は立ち見覚悟で見るか、あるいはこの後の回を見るか、もしくは1階下の中華レストランで緊急追加上映をするのを見るか・・・お客様にスタッフが説明してます。
レストランで上映って・・・何でもレストランにミニホールがあるらしくそこでDVDプロジェクターによる上映が10分遅れで急遽決まったようだ。

いよいよ上映間近・・・スクリーンの横の壁際にパイプ椅子があり、そこで2名の男性が座って鑑賞・・・補助席か?と思ったらこれが私服警官!
上映中に何かあったとき時のために監視するようです。
いよいよ比較的普段と変わらない落ち着いた雰囲気だが、どことなく異様な光景の中、上映が始まります。



(あらすじ)

戦後60周年を迎えた2005年8月15日、軍服を着て参拝する集団や合祀(ごうし)に反対する遺族たちなど、靖国神社は狂乱の様相を呈していた。
一方、神社のご神体である日本刀「靖国刀」を作る刀匠にもカメラを向ける。
日本人が知っているようで実は知らない靖国神社の現実と精神構造に、中国人監督リー・インが切り込んでゆく

映画の感想より見る前の方が確実に長文ですな・・・
正直、上映中止騒動とかやれ反日映画だとか言われたりしてけど、そんな印象は全然受けなかった・・・そんなセンセーショナルな映画でもないし、言わば普通のドキュメンタリー映画です。
ただドキュメンタリー映画としてはよく出来てると思うし、個人的に知らないことが多いので「へぇ~」と思うことが多々あったんで自分としては良かったですよ。
中国人監督が撮った映画だが、そんな偏った表現は感じないし、むしろ余分な主観的なナレーションが省かれてる分、冷静な視点で描かれてるんではないでしょうか?



8月15日に靖国神社でどのような人が集まり、どんな事が行われているのか?
そんな8.15の靖国神社をいろんな視点で切り取って見せてくれる・・・軍服を着て日の丸を掲げ行進する老人たち、大声で英霊たちに哀悼の意を叫ぶこれまた軍服を着た一団、更に「天皇陛下万歳!」と右翼団体が叫び、韓国や台湾人の遺族が「合祀を取り下げろ!」デモ行進すれば、「小泉支援」のプラカードを持ってビラを配るアメリカ人・・・それに「帰れ、帰れ!」とまくし立てて絡むご老人・・・とにかくこの日はTVのニュースなんかで見る以上に異様な世界となってるんですね。
それはある種見方に寄れば御幣があるかも知れないが滑稽にさえ写る・・・
それぞれの靖国がそこにあるんですね・・・

それと対照的に静かに描かれるのが90歳になる現役最後の刀匠刈谷直治氏。黙々と刀を作る姿に静かに彼に質問を語りかけるように聞く監督の声がかぶる。
知らなかったけど靖国神社の御神体が一振の刀だったんですね。
この映画を見てそれが一つの驚きでした(刀を振という単位で数えるのも知らなかったよ)



一見頑固そうなこの方だけど話し出すと田舎に居てそうな優しそうなお爺さん(サンテレビのCMで神戸新聞読んでる人見たい・・・ローカルネタすまん!)
この鍛冶場の作業と靖国神社での様々な8.15の模様が交互に描かれる。
それが作品の強弱となっているし、またそれらが一つに収束されて行ってるように思えます。

戦死者は遺族のものでなく国家のもの・・・理不尽な戦争で命を落とした戦没者の遺族の怒りは、名誉の戦死という形で褒め称え、勲章まで贈る国家の前では遺族の声は永遠に届かないという遺族の悲しみや、合祀をはずせと靖国の職員に詰め寄る台湾人遺族の女性、そして靖国の境内での様々なコスプレとも言うべきパフォーマンス・・・どれ一つとっても色々な思いの靖国がそこにあります。
人によって捉え方の違う問題を扱ったテーマだが、上映中止して封印するよりも堂々と上映して、そしてこの映画を見て様々な議論をすればいいのではないでしょうか?

南京虐殺や100人切り、軍刀で斬首する瞬間、あるいは処刑した中国人の生首を持つ日本軍の兵隊・・・そんな写真が刀が仕上げられる場面に被るように挿入されるのは意味心ですね。
偏った表現は感じないと書いたけど、唯一この監督が中国人ならではと思わせるのがこのシーンですね(このシーンの削除を刀匠の刈谷直治氏が求めたらしいが、刀を作る場面がこんな使われ方するとは知らなかったとご立腹の模様)

また刈谷直治氏に監督が靖国に付いて質問すると複雑な笑みでなかなか答えないのも印象的だった。



上映が終わりロビーに出ると長い行列が出来てます。
次回も立ち見のようですね~
下に降りると新聞記者やTV局のクルーでごった返してます。
出て来た人に感想聞いたり、カメラを向けてインタビューしてます。
私には誰も聞きに来ないけど、しばらく様子を眺めてると、これもまた一つの靖国か?と思えてしまった



☆☆☆☆ 2008.5.10(土) 第七藝術劇場 9:30 1列目


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お蝶さん (キング)
2008-05-18 02:05:20
ようこそお越しくださいました。
実際に靖国神社に行かれたんですね~
実際現場に行くとTVなどでは伝わらない生々しさとうものがリアルに伝わってくるんでしょうね~
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Unknown (お蝶)
2008-05-12 22:37:58
お休み?の日に早起きご苦労様です
十三に映画館があったんですね
知りませんでした

私、1年半程前に靖国神社に行きました。
いろいろ考えさせられました・・・
何か涙が止まらなかったのです


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えりりんさん (キング)
2008-05-11 20:39:24
たしかにある意味あの騒動はすばらしい宣伝になりましたね ただそこまでセンセーショナルな作品でもないと思います 初日の公開はなんかちょっとしたイベントでしたね
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行かれたんですね (えりりん)
2008-05-11 13:04:59
朝早くからお疲れ様でした。ウチは朝日新聞を取ってますが、残念ながらKingさんのコメントは載ってませんでした。でも記事によると香川県から見に来た人もいらしてビックリです。この映画は騒動のせいで余計話題になった気がします。普通に公開していれば、こんなに知名度あがらなかったんじゃないでしょうか?
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