Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Google、中国から撤退か

2010-01-13 22:05:40 | Thinkings

 今、世界の経済活動のトレンドは、間違いなくアジア、それも中国、インドに向いています。人口が多く、経済成長の余地が高いこの二国は、先進国の”次の”市場として大いに有望であるから、と言うのが理由です。なんと言っても、中国のディファクトスタンダードとなることは、10億人のシェアを手に入れることになるのですから、その魅力は計り知れないものがあります。

 しかしながら、その中国から撤退するという選択を下そうとしている企業が存在します。言わずとしれた世界のウェブ企業であるGoogleですが・・・そもそも、なぜGoogleは中国から撤退しなければならないのでしょうか?

Googleが中国からの撤退示唆、「検閲をこれ以上容認できない」 INTERNET Watch

 米Googleは12日、中国の人権活動家のGmailアカウントに対して攻撃が行われたことを明らかにした。この問題などを受け、場合によっては中国事業からの全面的な撤退も辞さないとの見解を公にした。
ー中略ー
 Googleでは「Google.cn」における検閲をこれ以上容認する意思はないとし、今後数週間をかけて中国政府と話合いを持ち、フィルタリングを行わないサーチエンジンを合法的に提供できるかどうか検討する。ただし、最終的に「Google.cn」および中国支社の閉鎖も辞さないとしている。

 中国人人権活動家への攻撃にGoogleが巻き込まれたことを引き金として、検閲を理由に撤退を示唆していると言うことは・・・直接的に口外していないとは言え、背景は言わずもがなですね。

 Googleとしては、これ以上中国政府の検閲を容認し続けることは、自社の展開するクラウドサービスに大きく影を落とすと考えたのではないでしょうか?
 Googleの顧客はGMailやカレンダー、Docsなど、実にたくさんのデータをGoogleのサーバーに預けています。重要なデータを預けることはGoogleに対する信頼ありきですが、今後検閲と称したこのような攻撃が頻発するならば、その信頼性を大きく損なうことになりかねません。これは、今後クラウドサービスを事業の柱に据えていこうとOSまで作ってしまった同社にとって、中長期的な成長阻害因子となりかねません。・・・検閲無しの合法化を勝ち取るのは限りなく不可能に近いと思いますので、撤退の都合の良い理由としても最適ですしね。

 Googleとしては、特殊な事情、環境を抱える中国にこれ以上こだわるよりも、既存の自社サービスを守るという選択をしたのではないでしょうか?確かに中国市場は魅力的ですけれど、Googleのような多種多様な情報を扱う企業にとっては大きなリスクを抱え込む必要性が常について回ります。果たして、Googleはそのリスクを取り除き、サービスを継続するでしょうか?それともやはり撤退してしまうのでしょうか?