Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

「ブロガー向け」という市場

2010-01-11 23:59:59 | Thinkings

 今から冷静になって考えてみると、大学時代は何であんなにゲームを買っていたんだろうと思います。今だったら絶対に手を出さないようなジャンルのタイトルにも果敢に立ち向かってましたし、明らかに消費する時間が足りないので積みゲーもどんどん増えていきました。それらの半分以上は未だに開封すらできていません。・・・実にもったいないですね。
 雑誌をぱったり買わなくなってから、そのような状況はほぼ改善しました。そうなると面白いもので、ゲームを買うには買うのですが、話題になるようなメジャーなゲームしか買わなくなったのです。佳作ゲームの情報が入ってこないから当然と言えばそうです。これは一般的な傾向と重なると思うのですが、つまり、メジャー以外のその他のゲームは、ざっとくくって「ゲーマー向け」の商品と言えるのではないでしょうか。

 このように、現在の消費市場は様々な分野に細かく区分けされています。カーオーディオやPCパーツもそうですし、ルクルーゼの調理器具もある種のこだわりでしょう。デザイナーズ家具なんて、一般的な日本人にとっては完全にあちら側の製品です。
 しかし、移り気な大衆向けよりも、こだわりのあるヘビーユーザーのみに向けて商売をやることで、規模こそ小さくても確実に事業を継続していけるという強みがあるのが、いわゆるニッチの特徴です。

 最近、ネットニュース等でちらほら見かけるようになった新たなニッチ市場の区分けとして、「ブロガー向け」というものがあります。例えば、小さくて取り回しのよいけど画質がそこそこなカメラとか、出先で記事を更新しやすい携帯電話とか、使いやすいフォトストレージとか・・・そういった、ブログを書く人にとって「便利であろう」ツールをそう呼ぶわけです。
 確かに、ブロガー向けと名前が付いているだけで、なんというか、ある種のブランドを感じるような”気が”します。言ってみれば、よく高機能?製品に付いている枕詞の「~プロ」とか「ハイアマチュア向け」と同じくくりです。そのような製品を買うことで、「ブログをやっている人のためのこだわりのツール」という優越感をくすぐるカテゴリ分けですね。

 しかしながら、それらのブロガー向けとされている製品のほとんどは、ほぼカメラ関係に集約されています。つまり、ここみたいにほぼ文章のみのブログには全く訴求力が無い訳ですね。また、ブログの数自体は増えていても、定期的に更新しているブロガーの数は推して知るべし、です。つまり、ブロガーのみを相手にしていては、他のニッチと同じようには行かないってこと。携帯電話というライバルもいますしね。
 そんなわけで、いわゆるエントリークラスからミドルレンジ商品へ誘導するための、都合の良い枕詞としてブロガー向けという言葉が存在しているだけで、市場は幻というのが個人的な考えです。だいたい、ブログにもいろんな種類がありますし、載せる写真に求めるクオリティにしても人それぞれなんです。そんな中で「ブロガー向け」とくくってしまうのは、よく考えるととても乱暴。にも関わらず、本当にブロガーやSNSユーザーのみに向けた製品を作ってしまうと、非常に痛い目を見るような気がしてなりません。
 どうやら、あくまで「ブロガーにとって”も”便利な機能を搭載」くらいにとどめておいた方が良さそうですね。