Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

人工衛星と宇宙ゴミが衝突!

2009-02-12 19:03:46 | Thinkings

 スペースデブリというと何となくサイバー且つスマートでかっこいい気がしますが、宇宙ゴミというのは何となく泥臭い・・・そう感じるのは横文字に弱い証拠なんでしょうけど。

 なんでも、デブリと稼働中の人工衛星が衝突、ともに破損して、デブリの雲ができてしまったみたいですよ?

[WSJ] 米露の衛星が衝突、宇宙ごみへの懸念高まる ITmedia

 米企業の商業衛星が、使われていないロシアの軍事衛星と衝突して破損し、宇宙ごみの危険性をめぐる新たな懸念を呼んでいる。米航空宇宙局(NASA)は「軌道上でこの種の事故は初めて」としている。

 衝突は2月10日、低軌道上で起きた。米Iridium Satelliteの所有する衛星1基と、数年前に機能を停止したとみられるロシアの衛星がぶつかったと米政府と衛星業界関係者は語る。

 宇宙ゴミ=スペースデブリとは、地球の衛星軌道上を回る「切り離されたロケット」「使い終わった人工衛星」「作業中に飛んでいった工具箱」「小惑星とか彗星由来の塵」などで、簡単に言えば、人類にとって有用でない、衛星軌道上にあるもの全般を指します。
 衛星軌道上にあるものが地球に落っこちてこないのは、ものすごい速度で地球の丸みに従って常に落ちているためです。地上では空気抵抗があるため速度を保つことができず、すぐに地面に落ちてしまいますが、空気抵抗のない宇宙空間では速度を落とすことも無く、延々と地球の周りを回ることができます。

 ものすごい速度と言ってもピンとこないでしょうから、もうちょっと具体的な数字を出しますと、静止衛星以外の通常の衛星・・・つまり今回事故を起こした衛星等は、秒速7.9km程度、およそマッハ23くらいで空を横切っています。デブリがやっかいなのは正にここで、地上では考えられないような速度で物体が衝突することになるため、比較的小さな破片であっても甚大な影響を及ぼすことになるのです。

 これまで、いくらデブリがたくさんあるとは言え、宇宙空間は地上に比べてすかすかですので、衝突事故の起こる可能性はそこまで深刻ではありませんでした。しかし、続々と商業衛星が打ち上げられる中、そうも言っていられない状態になってきました。現時点ではデブリの回収は不可能であるため、今後もこのような事故が起こった場合、事故の連鎖の可能性が高まり、加速度的に安全な領域が減っていくことが考えられるのです。

 宇宙は人類にとってのフロンティアではありますが、決してバラ色というわけでもありません。何しろ、玄関口から”50年掛けてばらまいてきた”危険が広がっていますから。今後も宇宙の商業利用を進めていくために、デブリの回収や除去を真剣に考える時期に来ているのかもしれませんね。