液晶は、今や映像表示デバイスの旗手となっています。電卓からテレビまで、ありとあらゆる表示デバイスに液晶が使われています。
液晶は、低消費電力、低発熱、そして大きさの自由度が高いことで、ニキシー管やブラウン管といった数々の表示デバイスを駆逐してきました。しかしながら、液晶にも欠点はあります。
液晶は光を遮るシャッターの役割をすることで表示を制御しています。つまり、別に光源が無いと表示デバイスとして使えません。反射型のように外部光源を使うこともありますが、PCや携帯電話のディスプレイやテレビといった用途ではバックライトを使うのが一般的です。これが原因となって、薄型化に限界があり、暗部のコントラストが低めになりやすく、消費電力をこれ以上抑えるのが難しいといった問題が出てきているのです。
これらの問題を一挙に解決し、「液晶の次」の最有力候補として目されているのが「有機EL」です。
自ら発光する有機材料を使ってディスプレイを作ることで、液晶よりも薄く、高コントラストで、低消費電力である有機ELディスプレイ。昨年、ソニーから世界初の有機ELテレビが発売されて話題をさらっていきましたが、他の国内メーカーも製造に参入するようです。・・・もっとも、携帯電話用みたいですが。
有機EL画面を本格量産 東芝松下ディスプレイ msn産経ニュース
東芝と松下電器産業が出資する東芝松下ディスプレイテクノロジー(東京)は25日、石川工場(石川県川北町)で携帯電話などに使われる「有機EL」画面の本格的な量産を始めると発表した。約160億円を投じて生産設備を新設し、来年10月から稼働させる。
液晶に比べて薄く、低消費電力である有機ELディスプレイは、確かに携帯電話には最適といえます。有機ELの問題点として「低寿命」が挙げられますが、携帯電話のライフサイクルである「2年」ならば十二分にクリアできますので、当面問題はありません。
もう一つの問題として、「大画面化が難しい」という点がありますが、これは時間に任せるしかないでしょう。液晶だって、大画面化が進んだのはここ最近の事なんですから。とりあえずは携帯電話用などの小型ディスプレイでノウハウを積んでいただいて、ミニノートやデジタルフォトフレーム、ノートPC、PC用ディスプレイとステップアップ・・・まるっきり液晶の歴史に沿った物ですけれど、そう考えると後5年くらいで大画面有機ELが拝めるようになるかも知れません。
ソニー、松下、東芝と、国内主要メーカーが本格参入したことで、今後、世界的に有機ELのイニシアチブを日本がとれる可能性が出てきました。最近は液晶もしょっぱいですので、是非、未来につながる技術として育てていってもらいたいですね。