Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

迷走するGPL3

2007-03-30 23:59:59 | Thinkings
 GPLの第3版がドラフト3版リリースがされました。しかしながら、正式な成立には、まだ一波乱ありそうです。

最新GPL3ドラフト、特許条項に批判の声 ITmedia

 GNU GPL3のドラフト第3版リリースに対し、早くも企業から反応が寄せられている。その多くは、特許の扱いに関する変更への批判だ。

 記事の内容に触れる前に、まずGPLについて簡単に説明します。
 GPLとはGNU General Public Licenseの略で、日本的なフリーソフトではなく、本当の意味でのフリーソフトウェアによく採用される汎用的なライセンスのことです。
 GPLに則ってのソフトウェア配布は無制限に許可されており、ソースコードの提供も保証されます。また、GPLの影響下にあるソースコードを含むソフトウェアを新たにリリースする場合、必ずGPLに従ってのリリースが”強制”されます。
 ソフトウェアはオープンで自由なものである、という思想の元に作られたGPLは、Linuxをはじめとする様々なソフトウェアに使われており、現在のコンピューター社会において大きな影響力を持っています。

 そのGPLの第3版が、ドラフト、つまり草案が公開されてからこちら、さまざまな批判を浴びているのです。
 ドラフト2版において、Linuxの作者であるリーナス氏から「LinuxはあくまでGPL2準拠である」という声明を出され、GPL3について批判をうけた事から端を発し、今回の第3版では、

「リチャード・ストールマン氏が気に入らない企業やビジネスモデルを罰するためのものになっている」

などと言われています。リチャード・ストールマン氏とは、GPLの中心的な「著作者」であり、フリーソフトウェア・ファウンデーションの代表です。
 今回の批判は、氏がソフトウェアの自由を求め続けるあまり、GPLにおいて過剰なまでの「制限」を加えているのではないかという疑念が根っこにあります。

 GPLは、ソフトウェアの配布や利用、改変の自由は認めていますが、一転して秘匿や制限という行為そのものを大幅に制限しています。GPL3では、特許など権利関係にも対応した内容となっているため、その傾向に拍車がかかっており、それが企業の不満になっているのです。

 元記事でも話題になっているのが、以下の部分。

 新しい特許条項は、ソフトウェア特許の保有者にすべての下流ユーザーに免責を提供することを義務付けることで、特許保有者がパートナーの顧客だけに知財関連の免責を提供できないようにすることを目指している。

 これは、先のNovelとMicrosoftの提携をねらい打ちしたかのような内容なんですけれど、要するにGPL3準拠のソフトウェアについては、特許で訴えることは出来ないと言うこと。一部企業にとってはビジネスモデルに大きな制限を加えられることになります。

 本来、自由なソフトウェアの為のライセンスであるGPLが、ソフトウェアの発展に大きな制限を加えるかもしれないという現実。GPLの象徴とも言えるLinux側からの批判。
 今後のフリーソフトウェアの未来を占うものであるだけに、慎重な協議をお願いしたいものです。