気がついたら思っていた以上に仕事がつまっていた。
発表だの病理解説だので、2,3月で6つの研究会、学会がある。
3か月で都合9本発表原稿を作らないといけない。これは多すぎるし、厳しい。
もちろん、病院の業務が減るわけでもないし、人員が増えるわけでもない。これまでと変わらずである。
私のように、病院勤務の病理医が人様に何かお話しをするといえば、それは私自身が経験してきたことである。毎日の積み重ねから、幸運にも発見できたことを発表して、人に伝えていく。これは、調査、実験など前向きの能動的な研究を行うことが中心となる大学の研究者とは大きく異なる点だ。それだけに、こうやっていろいろなところから声をかけてもらえるというのはとても幸せなことだ。
毎日の病理診断に精を出し、その蓄積でさらに精度を上げる。そのなかから、世に知らせていくべきことがあれば、それを伝える。
臨床医とはそういうものだし、病理医も同じだ。
実経済ではトリクルダウンはお金持ちが溜め込んでしまうためにどうもうまくいかないようだが、学問の領域では独り占めは何の足しにもならない。