ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『痴人の愛』 谷崎潤一郎

2017-07-30 20:36:28 | 
東京へ行く電車の中で手持無沙汰だったので、なんとなく携帯で青空文庫を開いてみたら『痴人の愛』が今日から公開されているではないか。ものすごく読みたい作品というわけではなかったが、やはり大人としては読んでおくべきだと思い開いてみた。

結論から感想を述べると「面白い」である。文学性云々は抜きにして単純にエンターテインメントとして楽しめる。言葉の使い方や時代をもちろん感じる節は多々あるものの読むうえでの障害となることない。
上手くは言えないけ、この読後感は絶対に海外小説では味わえない日本ならではのものだった。映画とかでもそうだけど、日本の作品は派手さでは海外には敵わないけど、日常に隠れる狂気を描かせたら一番だと思う。

なんとなしにストーリーは知っていたが、予想以上に激しい愛だったな。この愛を純愛と呼ぶか屈折した愛と呼ぶかは人それぞれだが、私には狂っているとしか思えなかった。主人公だけでなく登場する男性全員がナオコの虜になるなんてちょろいなと思ってしまうが、なんとなく羨ましくもある。
ナオミが純な女性から悪女へと変貌していく姿が、実によく描写されている。この変貌は環境が要因なのか、主人公がそうさせてしまったのか。いずれにしても主人公は世間とはずれているとはいえ幸せになっているのだから、愛の形は多様だなと感じた。

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