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ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『AWAKE』

2020-12-26 23:04:16 | 邦画
今に始まったことではないけど、映画館で映画を観ることではなく、映画館に行くこと自体が目的になっている。動画配信サービスが充実してきている今日ではあるが、映画館で映画を観る文化はきっとなくならないだろうな。

そんなわけで街へ行ったら自然と映画館に足を運んでしまった。丁度やっているのがこの映画だけであった。全然知らない映画だが、タイトルからしてスカした雰囲気があったからあんまり観たくなかった。観たけどね。

いざ観たら、前言撤回、スカしたなんてとんでもない。熱量たっぷりの素晴らしい映画でした。
棋士になれなかった青年が将棋ソフトの開発をするという映画だが、将棋とプログラミングなんてインドアの極みみたいなものだが、こんなに熱いものだとは知らなかったね。熱量たっぷりとは言ったが、役者がわめいているだけのうるさい映画という意味では決してない。むしろ、役者の演技のトーンはかなり抑えられている。しかしながら、登場人物の情熱はこれでもかというくらいに伝わってくる。
ちなみに私はプログラミングの知識0、将棋は駒の動かし方は知っているというレベルである。

まず、映画のストーリーの構図がいい。棋士になれなかった青年と棋士になった青年の二人の物語だが、棋士をあきらめた時点で本来ならば二人は交わることはない。しかし、将棋のソフト開発をしたことでライバルとして棋士の前に再び現れるという展開は胸熱すぎる。また、二人が歩む道の対比の描写が見事である。
将棋とプログラミングというなじみのないテーマではあるが、展開的には王道を行っていると思う。

この映画の何がいいって、余計な恋愛描写が一切ないということ。これを頭の悪い奴が作ると、棋士の姉を恋人に置き換えたり、主人公が先輩の妹と恋仲になったりするんだろうが、そんなことせず二人の青年のストイックさをきっちり描いている。

今年最後の劇場鑑賞映画ではないだろうが、年の瀬にこんなに素晴らしい映画を観られてうれしい。それも必然ではなく隙間時間に映画館に行っただけの偶然の出会いというのもうれしい。

観ている最中、これが実話とか凄いなと感動しっぱなしだったが、いざ調べたら将棋電王戦から着想を得たというだけで、物語自体はフィクションとのこと。だからと言って映画の価値が損なわれることは全くないけどね。

地味にロケ地となった大学はどこなのかなと気になっていたが、群馬大学が舞台らしい。






劇場には実際に吉沢君が着用した衣装が展示してある。確かにダサいなとは思ったが、こんなにはっきり言わんでもと思ってしまう。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 』

2020-10-31 23:57:07 | 邦画
ブームに乗っかって慌ててテレビシリーズを観たのが、夏のこと。正直予想以上に面白くて一気に観てしまった。

それにしてもこの社会現象っぷりはすごいね。大げさでなく右見ても左見ても鬼滅だらけ。連日のニュースもそうだが、コンビニやスーパー行っても鬼滅商品が自然と目に入る。
中にはブームになっているから観ないという人もいるようだが、自分は逆にコンテンツの優劣とは別にブームに乗っかている楽しさも楽しんでいる。

物語はテレビシリーズのがっつり続き。主人公一行が列車に乗り込むところから物語は始まる。物語の途中から始まって、途中で終わるというのに、これだけの盛況ぶりはほんとにすごいなと思う。

前半は列車の鬼との戦いなのだが、こちらは非常に面白く観られた。柱も眠らされて一体どうやって勝つのかと非常にスリリングだし、主人公と家族との絆が改めて強いものだと感じられる。

ところが後半の鬼と柱との戦いはう~んという感じ。確かに熱い戦いで評判もいいようだが、いきなり出てきた柱といきなり出てきた鬼との戦いに自分はそこまで気持ちを入れられない。もちろんバトル自体は非常に見ごたえあるし、作画は全編を通じてすばらしいものだった。

なんだかんだでしっかり堪能はしたし、これから再開するであろうテレビシリーズも楽しみ。また、映画の売上もどれだけ伸びるかも気にかかる。

煉獄ファミリーが同じ顔で笑ってしまった。あそこまで濃い家族もおらんだろ。

『秋刀魚の味』

2020-10-26 21:42:24 | 邦画
やっぱり映画好きとしては小津は避けては通れないと思いつつ手を出すまでずいぶん時間がかかったな。

世の中には昭和懐古の作品はたくさんあるが、やっぱりどれも作りものだな。昭和の時代に撮った作品なのだから当然昭和なのは当然なのだが、時代の空気まで映像に盛り込まれている。

物語は一般家庭のささやかな出来事に過ぎない。しかし、これでしっかり画を撮れるのは監督の手腕なのかな。主演の笠智衆という俳優は恥ずかしながら初めて知ったが、いい俳優だね。昭和の父親というと頑固おやじというイメージを持ってしまうが、それとは対照的な人柄のいいキャラに非常に好感を持てるとともに映画の雰囲気を作り出している。

面白いというのは違うが、安心して観られるタイプの映画。この毒にも薬にもならない感じがたまらない。

『小説の神様 君としか描けない物語』

2020-10-10 23:51:34 | 邦画
時々アイドル映画を観て自分の脳みそをふやかしたい時期が来る。学生時代はそんなこと絶対なかったが、年を取ったせいかな。

観ていて何となく見覚えがあるシーンがちょこちょこある。半年くらい前にこの映画の番宣を観た気がしたが、コロナで公開が延期になっていたんだね。

宣伝ではナイーブな男とドSな女の物語とあるが、実際はネガティブな男と性格が悪い女の物語でしかない。おまけに二人ともメンタルの方はかなり弱いときている。登場人物には何一つ共感することなく、不快に思うところもあった。特にヒロインが自分のアンチについて苦言を呈すシーンがあるが、ほぼ初対面の人物の顔を数発叩くような人間が何を言っても説得力に欠ける。よくあんなことが言えたもんだと、驚いてしまったよ。

登場人物の設定に関しても、どうかと思う。売れない作家だった父と重い病の妹を持つとか、思いついても普通は避けると思うんだけどな。そんでこの手の作品のお約束だが、すごい才能があるとか言っておきながら具体的にどうすごいかの描写はほとんどないということ。
後輩ももっと物語に絡んでくるのかなと思ったが、そんなことなく中途半端な存在だ。

期待はしていなかったが、低いハードルのさらに下に来た。さすがにちょっとこれは脳みそを甘やかしすぎるな。

しかし、噂には聞いていたけど、環奈ちゃんの声ってホントに低いね。

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』

2020-09-12 21:04:49 | 邦画
公開が延期して来年に本公開とのことだが、一足早く鑑賞。

冒頭のナレーションを菅田君が担当していたが、彼も森山大道のファンなんだね。一緒に仕事していたのは知っていたが、そうだと知るとちょっと好印象を抱いてしまう。

この作品は森山大道のドキュメンタリーであると同時に彼の作品『にっぽん劇場写真帖』の復刻(再構築)のドキュメンタリーでもある。森山大道に興味がなくとも、写真集ができるまでの過程は非常に興味深く観られると思う。

一方で当然ながら森山大道の偉大さというのも画面を通して伝わってくる。私も一度サイン会に行ったが、オーラは非常に感じた。海外でも評価されている人だというのは何となくは知っていたが、あらためてその評価がわかる。海外の人から見て日本のストリートスナップというのはどのように目に映るのだろうか。

映画の内容以前に思うのは森山大道が年の割に非常に若く見える。髪は当然染めているだろうが、それでも量は同年代に比べれば圧倒的に多い。ファッションだってジーパンにTシャツを華麗にこなす体型。
そして何よりもたたずまい、歩き方に年齢を感じさせない。背筋もちゃんとまっすぐだし、被写体を追って小走りまでしている。やはり若さの秘訣はストリートスナップか。

地味にショックだったのは作中で使用しているカメラがcoolpix だったこと。森山大道に憧れてGRを買った私としてはちょいとさみしい。
が、カメラにこだわりがない、いい意味で写真とラフな付き合いをしている氏には何も不自然はない。自身の名言「量のない質はない」をいくつになっても実行している人なんだろうな。作中のインタビュー中も気になるものがあったらすかさず撮影をしている。

しかし、森山大道もケルアックのファンなんだな。なんで私の好きな著名人はこうもケルアックが好きなのだろうか。