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ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『モリのいる場所』

2020-09-10 22:09:27 | 邦画
熊谷守一の美術館に行ってみたいなと思って、予習がてら観てみた。

画家の映画ながら絵を描いているシーンは一切ない。しかしながら、それがかえってモリのキャラクターを強調させるものとなる。
本人は変人ではないというが、どう考えても変人ではないか。しかし、あの広くない庭をフル活用できる姿勢はうらやましくも思える。

日本を代表させる画家なのだから、もっとドラマチックに撮ろうと思えば撮ることは容易だったろう。それをあの晩年の日常にスポットを当てたのはとても面白い試みだと思う。

普通の映画と思わせといてちょこちょこ非現実的な演出があるのに最初は戸惑いがあったが、なんか途中からそれもありかなと思えるから不思議。それもいい意味で映画のゆるさが許してくるからか。

監督は『南極料理人』も撮っている人だが、そちらと通ずる空気感はある。

『アゲイン 28年目の甲子園』

2020-09-07 23:22:02 | 邦画
この映画を観たきっかけ?もちろん浜田省吾が主題歌を担当してるから。

重松清の作品に触れるのは、小説も読んだことなく完全にこれが初めて。にもかかわらず、「いつもの重松作品か…」なんて思ってしまった。
根本的なストーリーもそうだが、セリフの一つ一つがクサいんだよな。観ていてこっちが恥ずかしくなるくらいに。ある意味では日本映画の典型だな。甲子園に娘が突然出てきてキャッチボールするのも唐突感が半端ない。

まあ、それでもなんだかんだでそこそこ楽しんでしまった。やっぱり野球映画に大ハズレはないな。
でもやっぱり浜田省吾の新曲が聴けるということが、一番のポイントだ。映画を通してあらためて曲を聴くと、「家族の歌」なんだなというのが一層感じられる。

いつかMVのロケ地で映画の舞台にもなった石巻の浜辺には行きたいと思う。


『検察側の罪人』

2020-08-24 22:06:43 | 邦画
劇場で何度も予告を観たが、やたら印象に残っている。キムタクのセリフもそうだが、あの容疑者の「パッ」ってやつが強烈。一体どんな映画でどんなキャラなのだろうかと。
結局劇場では観ずにアマプラでの鑑賞になってしまったが。

キムタクとニノのジャニタレが出ているということで敬遠する人もいるかもだが、なかなかに見応えのある映画だ。
タイトルはおそらくクリスティからもじったものだろうが、映画を観ていくとタイトルの意味が分かってくる。まあ、そのまんまと言えばそのまんまだが。

ミステリーとしては特に特筆するべきものがない。が、その謎に振り回されるキムタクとニノの演技、そして不快極まる凶悪犯を演じた酒向芳だけでも見応えがある。キムタクは相変わらずキムタクではあるんだけど、あんなに焦っているキムタクを観るのは初めてかも。

各々の求める正義の違いの比較も興味深い。中々の一作であった。


『アルプススタンドのはしの方』

2020-08-16 15:49:17 | 邦画
ほぼ毎週行っている映画館なのに、予告も見ていない映画だった。なんとなく面白いという評判を耳にしたので、予備知識もほとんどなく行ったが、ホントに面白くて困った。まさかのダークホース映画ながら、今年一番かもしれない。

タイトル通り甲子園を舞台にした映画ながら、野球シーンは一切出てこない。甲子園のアルプススタンドのさらに端という限られた空間ながら、その会話劇はタランティーノ映画や『12人の怒れる男』と比べてもそん色ないと言ってもいいだろう。それでいて『桐島、部活やめるってよ』の要素も入っているかな。

私の母校はこの手の全国大会とは無縁だが、考えてみれば興味もない、ルールも知らないスポーツの応援に夏休みに駆り出せるなんてたまったもんではないよな。原作は高校教師作のようだが、ひょっとしたら、ここまでドラマ的でないにしろ結構リアルなアルプススタンドの端の再現なのかもしれない。

(多分)無名ながら役者の演技もすごく良かった。セリフにはない心の声もしっかり演技に出ていた。園田君の好きなものなんて知らないなんて言われた直後に、「TRAIN-TRAIN」が好きなんだよという言葉を聞いた宮下さんの顔、さっきまで自分と同じく野球に全く興味なかったのに急に熱くなりだした友人に戸惑いを見せる安田さんとか。
それでいてしっかり熱い青春展開も待っているから、キワモノ映画ではなく王道的な青春映画だと胸を張って薦められる。

ラストは原作にないらしく、ちょっと蛇足かなとも思えた。原作を観てないから何とも言えないが、ひょっとしたら差別化、映像化という点では悪くないのかも。というか、普通に舞台版も観たい。

終始変わらないのが、顧問の厚木先生。応援しない生徒を「反乱分子」呼ぶ姿はうざいが、いい先生なのだろう。しかし、出てきたのが綾鷹ではなく、お~いお茶だったのが悔やまれる。
茶道部の全国大会ってなんやねんと思い、気になって調べたが、そんなもんはないらしい。

『孤狼の血』

2020-08-07 22:19:52 | 邦画
観るまでは『アウト・レイジ』的なものだと思っていたが、全然違う。あちらは突き抜けているのに対して、こちらは原作小説があるだけに、やはり文学作品の香りがする。原作者が女性だからと言っては失礼かもだが、泥臭さ、汚さが足りず、どこか模倣感は否めない。まあ、『アウトレイジ」が(いい意味で)バカ映画すぎるというだけかもしれないが。

他の映画と比べても仕方ないので、この映画について言及するが、普通に面白い。アウトローな刑事と生真面目な若い刑事というステレオタイプの組み合わせながら、新鮮味を感じるのは、やはり役所広司の存在が大きい。良くも悪くも。

役所広司側にも彼なりの信念があることは間違いない。だが、それは許されるものでなく、結果無残にも殺す潔さにはあっぱれ。やっぱり比べててしまうが、そこには武イズムを感じざるを得ない。警官だろうが、結局はぐれ者は真っ当に生きられないんだと。

しかし、広島大学出身て広島では相当なブランドなんじゃな。