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ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

農薬「パラチオン」、私の恐怖の記憶から

2008-03-04 09:45:02 | 犬たち
農薬入りギョウザ事件を機に、中国からの冷凍食品を検査したところ、いろいろな農薬が食品の中から検出されました。そのひとつが農薬の「パラチオン」。その名前は私には忘れえぬ恐怖の記憶の中にありました。

見渡す限りの田んぼの真ん中の地で私は生まれ育ちました。わが家は自宅で食べるくらいの田んぼしか持っていなかったものの、まわりのほとんどはお米の専業農家でした。ここでの日常的な話題はいかに収穫量を拡大するかで、その最大の問題は害虫被害で、その打開策が農薬でした。もちろん農薬散布はしていたもののその効果は小さく、害虫被害は深刻な減収の原因となっていました。
そこに登場したのは「バラチオン」。劇的効果があるとのうわさで、地獄に救世主が登場したしたかように、全員の期待の中で導入されました。
厳重な装備をした複数人の農夫が共同で行う「パラチオン」の散布風景を遠くから眺めながら、新しい時代の農業が始まったような気分になりました。
しかし・・・その夜から、街灯の光に群がる虫がいなくなりました。蛙の鳴き声が聞こえなくなりました。一地区だけの散布にもかかわらず。
そして突然事件が起こりました。パラチオンの農薬散布を終えた農婦が水道水で手を洗い、その手でおむすびを作ったのですが、その一家全員が強烈な中毒症状となり、ひとりが帰らぬ人となったのです。
パラチオンにより虫がいなくなり、蛍が舞わなくなり、かえるが鳴かなくなり、魚がいなくなりました。外見上は美しい田園は、死んだ田園になってしまいました。
それ以降私たちに農薬に対して過剰なまでの恐怖感が植え付けられました。「バラチオン」は救世主などではなく悪魔だったのです。散布した田畑には赤い旗が立てられるのですが、その前を通ることが出来なくなりました。

それからまもなく、パラチオンは全面使用禁止となりました。それは今から40年前のことです。中国ではバラチオンの販売禁止は昨年のことですが。

人間の世界にはたくさんの無駄がありますが、自然界では無駄というものが全くありません。微生物から鯨まで、生きているすべてのものが自然界という世界の中で存在意義があるのです。動物・植物を問わず生きとし生きるものは、見事なまでの調和の中で共生しているのです。
そして食物連鎖の頂点にあり、生物界で最も強い人間は、強いがゆえに、そして他の生物をコントロールする力を持っているがゆえに、自然界の調和を守る絶対的な義務があるのです。

人間は自然と共生するしか生きる道がないのです。その人間がエゴをむき出しにした醜さが「バラチオン」を作ったのです。
この地球が健康に存続するカギは、人間の「謙虚さ」にあるのですが・・・。


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