高齢者の不眠症やうつ病が社会問題化されていますが、それらの原因のひとつは現役を退きタイアした後も、現役時代の価値観をそのまま引きずっているからのようです。
そのひとつが時間への意識で、学生時代やビジネスマン時代は1日のほとんどの時間が細かく定められ、スケジュール化されている中で生きてきました。
特にビジネスマン時代は、時間を守らないことは厳に慎むべきことと体に叩き込まれ、現役から退いて10年経つ今も私は、その習性が抜け切れていないことを感じる時もあります。
しかしその意識が、第二の人生を豊かに生きるための大きな障害となっているかもしれないのです。
定年退職後の生活意識を端的に表した言葉として、「悠悠自適」という言葉がありますが、「悠悠」とはのんびりと落ち着いた様をいい、「自適」とは自分の思うままに楽しむことをいいます。
思うがままに楽しむ・・・その実現は簡単なようで、実はけっこう難しいのですが、私は試行錯誤を通して以下のことに到達し、実施しています。
そのポイントは、ルールや時間割などの決め事は、最小限・最低限にし、その反対に自己の中から生ずる感情や気分を大切にし、その感情や気分を最大限取り入れた生活行動にすることです。
具体例には、私は2つの時間的な決め事をしており、逆からいえば2つしか決め事をつくっていません。
決め事1 : 午後9時前には寝ないこと
決め事2 : お酒は午後6時20分以降に飲むこと
決め事1の理由は、私には早寝早起きの体質があり、取決めをしないと9時就寝が、8時になり、7時になるようにドンドン早くなり、終いには正午に就寝となる恐れがあるからです。
だから眠気に耐えながら、1年365日の中で90%の確率で9時~9時10分の間にパタンキューとなるわけです。
決め事2は、酒好きの私はつい飲みすぎるため、飲む量を時間の短縮で調整しているのですが、、この時間を厳守することは自分を誉めてあげたいほどしっかり守っています。
たとえば私の睡眠時間の実情をお話します。
私の睡眠時間は6時間で充分、というより体が勝手に6時間しか眠らせてくれません。
だから9時に就寝しても、朝7時に妻が起きてくるのですが、その間の時間は10時間ですから、10-6=4、つまり6時間は眠り4時間は起きていることになるわけです。
その起きている時間帯は一律ではなく、ずっと連続して眠れば早朝3時に起きるのですが、そんな日もあれば、深夜1時に起き、4時~6時まで再度就寝する日もあり、多様なパターンで睡眠と覚醒をしています。
つまり、眠くなったら寝て、眠くなければ起きているというように、体に素直に生きています。
その10時間の起きている時間は何ものにも邪魔されない完全なる自由時間なので、深夜ひとり自室にこもって心の赴くままにすごしますが、実はこのブログや絵の大半はこの時間に描いているのです。
それほどこの時間は私にとって貴重な時間で、私には「眠れない」という意識はなく、「起きていられる」という喜びが優先されるため、不眠症に悩むという概念はありません。
そして万一睡眠時間が足りなくなっても、1日は24時間ありますから、眠りたかったらいつでもどこでも眠ればいいのですから何の心配もありません。
悠悠自適の神髄は、自分に正直になることです。
眠りたかったら眠り、腹が減ったら食べ、歩きたかったら歩き、そして絵を描きたかったら描く・・・。
体が自然の一部になったような気分になる時こそ、悠悠自適の言葉が似合うのです。