人間一人当たりの炭酸ガスの排出量は平均1時間20ℓ、重さに換算すると40gとのことで、1年間では24×365×0.4=3.5tとなり、一人1年間4tトラックに軽く一杯の重さの炭酸ガスを吐き出していることとなります。
しかし、4tトラック一杯の量といいましたが、それは文明から隔絶された無人島で仙人のように自給自足している人のことで、文明を謳歌している私たちははるかに多い炭酸ガスを排出しているのです。
炭酸ガス排出に関して、日本人は一人につき40人のサーバント(召使い)を持ち、アメリカ人は日本の倍の80人のサーバントを持っているといわれています。
文明を謳歌するということは、生活の中のありとあらゆるもの、たとえば電気や自動車・食品・生活物質などに形を変えた無数の炭酸ガス排出機能=サーバントによって成り立っていることになります。
だから日本人の炭酸ガス排出を計算すれば、一人につき40人のサーバントが支えているわけですから、一人当たり1年間に4tトラック40杯分の炭酸ガスを撒き散らしていることになるわけです。
突然話は60年前に戻ります。
私の生まれは昭和18年北陸の片田舎で生まれ、育ち盛りの頃は日本全体が終戦直後の赤貧の時代でした。
半農の我が家は少ないながらも田畑がありましたから、食べ物といえば時折行商から買う魚以外は自給自足の生活でした。
ゴミや糞尿は貴重な農作物の肥やしとして、衣服や生活物質の再利用・再々利用と、リサイクル型ライフスタイルが当たり前でした。
あの時代は物理的には非常に貧しい時代だったかもしれません。しかし決して暗い時代ではなく、辛い時代でもありませんでした。
むしろ逆に人間が人間らしいのんびりした時代だったような印象があります。それはサーバントなどいない時代だったからかも知れません。
それからの日本は全力疾走で豊かさを追求してきました。それは羨望と嫉妬・ストレスの時代になったかもしれません。それはサーバントの数を増やす時代になったことでもありました。
しかし地球温暖化が叫ばれ、これまでの方向に大きな修正が求められる今、とりもなおさずサーバントの数にストップがかけられ、減少の方向を示唆していることに他なりません。
私は加齢とともに遠い故郷と遠い過去が懐かしく、最近とみにサーバントの少ないシンプルな生活を夢見ているのです。