ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

悪戦苦闘しながら「日本の心」を描いています

2009-01-21 09:56:20 | 犬たち

出版のための絵をつづりその都度HPで発表している「詩歌の情景」の仕事はまだまだ道半ばですが、とても面白い出版となりそうな予感がします。
上の絵は土井晩翠の「荒城の月」の詩をもとに描いた絵ですが、いかがでしょうか。この歌は小学校の音楽の時間に習ったこともありよく知っている詞ですが、何度も読み返しているうにちにこのような情景が浮かび上がり、それを素直に絵にしました。
すばらしい文章があり、それに添える絵を描くのがこんなに楽しいのかとしみじみ実感しています。

この仕事は、歌を前に絵の構想をひねり出す作業が8割、構想を素に絵を仕上げる作業が2割という作業配分になっています。
構想のポイントは、詩歌の絵解き・絵で詩の説明は避けるようにしています。詩歌の世界が小さくなってしまうからです。
そうではなく詩歌の世界と絵の世界が共鳴しイメージが膨らみ、広がっていくような表現を目指しているのですが、それがとても難しいのてす。
そんな悪戦苦闘の日々が続いているうちに、本来の「陽気なおじさん」の私が、すっかり思慮深い「わび・さび・もののあわれおじさん」に変身してしまいました。
しかし大丈夫です。仕事が終わればすぐにメッキが剥げてしまいますから。

私は構想の浮かんだものから絵にし、浮かびにくい歌は後まわしにしているのですが、必然的に目の前には絵にしにくい歌が残ることとなり、難し過ぎでたぶん最後になるだろうと思う歌は下の歌と思いますのであなたも構想を練ってみるのはいかがでしょう。  

      やわ肌のあつき血汐にふれも見で
             さびしからずや道を説く君

 これは与謝野晶子さんの短歌ですが「やわ肌」といっても私には遠い昔の記憶しかないこともあり、この歌の構想がまったく浮かばないのです。
それにしても100年以上前の古い時代に、女性である与謝野晶子さんはものすごく大胆な歌を創ったものだとつくづく思うのです。
この「詩歌の情景」には彼女をはじめ日本を代表する歌人、石川啄木・若山牧水・北原白秋・島崎藤村・・・の諸氏の歌が登場するのですが、その歌の鮮烈さ、純粋さ、豊かさに驚き入るばかりです。
それが長い歴史と風土が培った「日本の心」かもしれなく、この本のコンセプトでもあります。 私の絵のポイントもそこにあります。

私も含めすっかり忘れてしまった「日本の心」を取り戻す本が出来そうです。

 

 


第7冊目の出版の仕事はライブ中継で行います

2009-01-10 16:26:55 | 犬たち

年のはじめより出版の著作依頼があり、2月いっぱいまでその制作作業に没頭することになります。
そのため「初心者のためのトレース水彩画教室」などのレギュラーの仕事を一時中断いたしますのでご容赦いたしたくお願い申し上げます。

 振り返ればこれまで6冊出版しましたが、その発行累計が12万部を超えました。このジヤンルの出版としてはかなり売れたのではないかと思っています。時系列的にみると

2004年  「トレース水彩画入門」(アーティストハウス社)
2005年  「大人が楽しむぬり絵」(池田書店)「大人のぬり絵・こどもペット風景」(池田書店) 
2006年  「ぬり絵画法」(アーティストハウス社)
2007年  「なぞる・ぬる2ステップレッスン帖」(清流出版) 「なぞってカンタン・スケッチドリル」(ブテック社)

画家としては新米の私に立て続けにこれだけ出版の依頼があったのですがその理由として、地味な絵画の世界にも2005年を中心に「ぬり絵ブーム」が押し寄せたことにあります。そのため出版の仕事だけでなく、デパート等の催事場でのデモンストレーションにも駆り出され、それなりのマスコミの取材もあり、冷や汗の連続でした。
しかし2006年から潮が引くように「ぬり絵ブーム」が去ってしまいました。
たとえば書店の絵画技法書コーナーがブーム時3メートルほどの幅で鎮座していたものが、現在では30センチもない状況になってしまいました。
そんな冬枯れの中に新規の出版の依頼が来たわけですが、この感謝の気持ちはいい仕事をしてお返しするしかないと思っています。

出版は私ひとりの著作ではなく共著となりますが、今その概要はお話できませんが上の絵をご覧ください。桐の花の絵の上に「詩歌の情景」という言葉がありますが、この言葉は本のタイトルではなく今回の私の受け持つ仕事のコンセプトをロゴ化したものです。
詩歌とは 石川啄木 北原白水 宮沢賢治 等巨匠の書いた日本人の心に沁みる詩をいい、情景とは、私がその詩のイメージを絵にするということで、途方もない難しい仕事なのです。
そこでいっそのこと新しいチャレンジをしてみることにしました。
難しい仕事は秘密裏でおこなうのが一般的ですが、難しい仕事だからこそオープンにし、ご覧になっている方の息づかいを感じながら緊張感の中で進めたほうがいい結果となるのではと思い、作品一点一点が出来次第、わがHP内の「詩歌の情景」に発表していくことにしました。
つまり音楽でいえばスタジオ録画ではなく、ライブ中継ということになるのではないでしょうか。
ぜひ個々の作品と本の出来行く様をご覧ください。私とあなたが絵を描く面白さを共有できるのではないかと思うのです。

 

 


描いた絵は人に見せることで グッと絵が上達する

2009-01-04 19:17:01 | 犬たち
絵は描き終えたらそれでおしまいではありません。
その次にとても重要な作業をしなければなりません。それはその絵を人に観せることです。
観せることで飛躍的に絵が上達することもあるのです。なぜなら絵は創る人と、それを観る人、発信者と受信者の二者がいて初めて成立するものだからです。

私がデザイナーとして広告制作していた若かりし頃の話です。
広告制作の最もホットな仕事といえばなんといっても新聞広告、それも朝日や読売の1ページ広告でした。なぜなら読売新聞の発行部数は1000万部ですから、1000万世帯の方が観るわけで、新人がいきなりメジャーの舞台に踊り出ることとなるからです。
だから肩に力が入り、唇が乾く緊張の中、必死に仕事に取り組むこととなります。
脳から雑巾を絞るようにアイデアを出し、必死でクライアントを説得し、何度も何度もデザインをやり直し、それこそ原稿に穴があくほど見つめ続け、そしてようやく新聞社に原稿を渡し終えて作業が終了します。
ほどなくしたある朝眠むけまなこで新聞を広げれば、なんと自分の作った広告が載っているではないですか!そのとき全身に100万ボルトの電流が走りました。
なんと!あれだけこだわりにこだわった部分は取るに足らぬどうでもよい要素でしかなかったのです。
それ以上に読者視点からみれば欠点、それも致命的な欠点をあちこちに発見したのです。
そうです!これまで制作者=発信者だったのが読者=受信者に変わったとたん、情けないほどの自己能力の未熟さを発見することとなりました。
そのような痛い経験が次への飛躍となったような気がします。

絵は創る人と観る人・発信者と受信者の二者がいて初めて成立するわけですから、その出会いの場所=メディアを何にするかを決めることはとても重要です。
私はこれまで4回個展を開きました。それも画家に成り立てのころに集中しています。
それから学んだ結論は、個展や展覧会はもう古い!時代遅れ!と感じました。

①個展や会派の展覧会なんて他の画家と同じ方法だ!→②へ       
②同じことをやっていては60歳過ぎの後発者には不利だ!→③へ  
③目新しく、かつ今後発展するメディアでなくちゃ!→④へ       
④そうだ!インターネットがこれからのメディアだ~!
 
というわけで、コンピータなんてジンマシンが出るくらい苦手な私は、美人先生にパソコンを習い(美人でなかったらたぶん無理だったかも・・・)、何とか「主張する犬・猫たち」というHPを開設しました。
私がインターネットで作品を発表しているので、コンピータが大好きと思われていますが、今でも苦手で好きになれたとはいえませんが、最適のメディアだとますます確信するようになりました。
おかげさまで苦節5年、ありがたいことに毎日数百名のレギュラーの方がご覧いただくまでになりました。そのように観る立場に立つみなさんの存在が私の最大の励みなのです。


もし絵を描き始めるとしたら、観せるといっても家族や知人に観せることから始まって、玄関や居間に額装すること、絵手紙として出すこと、展覧会・インターネットといろいろありますが、どんな方法でもあなたの描いた絵を勇気を持って他人に観せましょう。
絵は創る人と観る人の二者がいて初めて成立するわけですから、観せることで自己の長所や短所だけでなく、目標や方向が見えてきますよ。