ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

水彩画上達のコツ 絵のテーマの決定

2013-07-30 09:47:41 | 犬たち

何を描けばいいのでしょうか? 

絵画教室などでよく聞かれる質問ですが、私はこのように応えています。
「あなたの好きなモノを描いたらどうでしょう」と。
これは当たり障りのない回答のようですが、実は絵の本質でもあり、トレース水彩画の特質を取り入れた答えなのです。

人間は感動すると、その感動を人に伝えたいと願望する動物なのです。
その方法として、音で表現したものが音楽であり、言葉で表現したものが俳句や詩であり、視覚で表現したものが絵画なのです。
だから絵は「感動」を表現するメディアなのです。

というわけで「感動を描きましょう!」といわれても戸惑うだけですが、感動を好きなモノに置き換えて「好きなモノを描きましょう!」となれば、誰もが即座に描きたいものを思い浮かぶはずです。
そうなのです!「好きなモノ」の中に感動がインプットされているのです。

私は学校以来はじめて絵を描いたのは50才の時で、溺愛していた愛犬スキッパーを描いたのが最初の絵でした。
それからず~と脇目も振らずスキッパーの絵を描き続け、そして3年、「スキッパー」というタイトルの個展を開くまでになりました。
最初は好きだからで始めた出来心が、熱中にかわり、熱中するからこそ上達してきたことがそれを証明しています。

トレース水彩画は写真を素に描くため、絵を描くための最初の行動は、写真を写すことから始まります。
上の絵の写真ですが、湘南の絵をシリーズで描く機会があり、明るく陽気な湘南の情景を探し出そうと、カメラ片手にドライブしていた時、まさに海岸道路で絵のような情景に出会いました。
「これだ!」とばかり、左手でハンドルを握りながら、窓を開けて右手を伸ばし、シャッターを切ったその一枚描いた絵ですが、ここをクリックして素になった写真ご覧ください。


この絵を通して従来の水彩画の描き方よりも、トレース水彩画が決定的に優れている点が2つあることがお気づきでしょうか。

ひとつは一瞬を写す写真のインパクトは、スケッチブックを持って写生するやり方を圧倒的に凌駕しており、従来の描き方では到底こんな絵は描くことは不可能なのです。

もうひとつは初心者でも、最初から風景でも人物でも静物でも好きなものが描けるということです。
従来の描き方では高度なデッサンが要求される人物を描くなどは到底無理で、デッサンが狂っても目立たない花などから描き始めるのですが、トレース水彩画では最初から完璧なデッサンが描けるため、「好きなモノ」から始められるのです。・・・というわけで

最初の一枚の絵は、自分の大好きなものを写真に撮り、その写真を素に描きましょう。
そしてその次からも、その「好きなモノ」を・・・

 


水彩画 上達のコツ2 描く前のイマジネーションの構築

2013-07-25 17:22:36 | 犬たち

絵を描く前に、何か準備することがありますか?

絵を描く前の行程として、イマジネーション(想像・仮想)の構築がとても重要で、その行程をしっかり行うことで、完成度の高い絵が描けるだけではなく、絵の上達が加速します。

イマジネーションの構築とは、これから描く絵の完成予想図を具体的に頭の中にイメージすることをいいます。
トレース水彩画では初心者の方は写真を模写するように描くことが必要といいましたが、何枚も描き上達するに従い写真の模写だけでは飽き足らず、自己表現のほうに比重をかけた絵を描きたいという願望が強くなってきます。
それはステップアップへの信号であり、イマジネーションの構築能力が必要となる時でもあります。

絵をドラマに例えれば、絵の素となる写真は原作、イマジネーションの構築は脚本となります。
いいドラマは脚本が重要な役割を持つように、絵では写真の魅力を引き出しながら、絵という違うメディアの中で最大化していくのがイマジネーションの構築の仕事です。

しかし現実はイマジネーションした仮想世界と、完成した絵の世界とでは(大きな)ギャップが出てきます。
しかしそれが大切で、なぜギャップが生じたのか?どこにその原因があるのか?を探ること、それが上達の貴重な財産となっていくのです。
イマジネーションなど関係なく即物的に描く人は、完成した絵と事前のイマジネーションとの比較検討ができないため、失敗の原因があいまいとなり、結果として同じ失敗を繰り返してしまうのです。
つまりギャップの原因をしっかり把握して描けば、何枚も描くうちにギャップの幅が徐々に小さくなり、別の言い方をすれば上達していくのです。

ここで私流のイマジネーションの構築の仕方についてお話しします。
絵の素としての写真を決めてもすぐ絵を描くことはせず、2~3日はイマジネーションを構築することに費やします。
散歩やドライブしながら、ぼんやり風景を見ながら、あ~でもない、こ~でもないと仮想世界を創っては壊し、壊しては創りとするうちに、徐々にゆるぎないイマジネーションが構築され、仮想世界が明確化されていきます。その作業の概略は・・・・

何を描きたいのか?
より魅力的な絵やドラマチックな絵にするための、選択と集中を行っていきます。

どのように描くのか?
表現方法や表現の手順を決定します。
必ず新しい技法や分野に挑戦しているかも重要なポイントとなります。
ドラマではキャスティングが重要な作業であるように、絵の中に登場するものすべてに役割を設定します。
   1.主役=絵のテーマとなり主役となるもので、絵の中心として強く描きます 
   2.脇役=主役を補佐するもので、主役を生かすように描きます 
   3.エキストラ=ドラマの背景をつくるもので、雰囲気づくりとして描きます
   4.邪魔者=電柱や看板など絵の魅力を邪魔するもので、消去し描きません

ここをクリックしてその具体例をご覧ください。

これまでの数多くの失敗してきましたが、その経験からイマジネーションの構築があやふやのまま絵を描くと、必ずその部分から失敗の亀裂が生じてきます。
それを教訓にイマジネーションをしっかり行うのですが、実はこの空想する行程が、絵を描く上での私の最も楽しい時間かもしれません。

絵を描く前に、これから描く絵の出来上がりを頭の中でイメージする。
強調する部分や弱める部分を決め、失敗しそうな部分や難しそうな部分の対策・・・、そして何よりもこの絵は「何を表現したいのか?」を再考することが大切です。

ごぼう抜きで上達していく人は、絵の技術に差があるのではなく、イマジネーションの構築の行程をしっかり行っている場合が多いのです。
私は2~3日と書きましたが、そんな長い時間は無理ならば、せめて絵を描く前の5分間、主役を決めることと、その主役をどのように際立たせるかを考えるだけでもずいぶん違ってきますよ。


水彩画 上達のコツ1 正確な写真の模写からの開始

2013-07-15 08:44:40 | 犬たち

初心者は何を目標にしたらいいのでしょうか?


トレース水彩画の上
達は2段式で、成長行程を2段階に分けるからこそ、大きく飛躍できるのです。

そしてその1段目ロケットの目的は、写真を正確に模写することです。

私は10年近く絵画教室を開いており、その経験からの2段階(2段式ロケット)のやり方が最も効果が高く、受講者の方も絵を堪能できていると自負しています。
特に1段目ロケットの目的は、写真に正確に描く=模写することは、大きな成果を得ていると思っています。
それは難しすぎる!とお思いでしょうが、意外とカンタンなのです。 

それでは通常の絵画と、トレース水彩画のどこがどのように違うのでしょう。
たとえば2人の絵画初心者AさんとBさんの、Aさんは通常の絵画教室、 Bさんはトレース水彩画教室に入講したとして、その足跡を追ってみました。

Aさんは絵を描く第一歩からデッサンの難しさに直面し、何枚描いてもその壁を乗り越えることができず、つまり稚拙としか言いようのない絵しか描けなく、自信を失って絵を描くことをあきらめ止めてしまいました。
実はAさんは絵の才能がないのではなく、初心者にはあまりにもデッサンは難しいのです。
私のように美術学校出身者もデッサンで苦労し、最初の志望であった油絵科を断念し、デッサン力が弱くても許されるデザイン科に変更したくらいですから。

一方トレース水彩画教室に入講したBさんは、写真の下にカーボン紙を挟んで輪郭をなぞるだけですから、初心者でも一枚目から正確に形を描く、つまりデッサンの壁を簡単にクリアしたことになるのです。
そしてBさんは、学校以来久しぶりに描いた自分の絵の出来栄えに、密かに自信を深めていくのです。

しかしBさんに次の試練が待ち構えており、それは線画の次の彩色をどのように描いたらいいかわからないからです。
ここで先生(私のこと)はこのように言うのです。
「私ではなく写真が先生と思い、ひたすら写真そっくりに描けばいいのです」と、そして「写真に写った風景を描くのではなく、風景の写っている写真を模写すればいいのです」と。
・・・と偉そうに先生は言いましたが、この描き方のポイントや極意については、別の機会にくわしくご説明しますが、ここをクリックしてひたすら写真そっくりに描いた事例をご覧ください。 

話変わってパリのルーブル美術館は午前9時開館なのですが、その30分前から大きなキャンバスを抱えた美術学生たちが、開館待ちの私たちに優先して次々と美術館に入っていき、場所取りを行います。
それは展示された名画の模写をするためなのです。
そのようにフランスは日本とは比較にならないほど芸術に対しての意識が高いのです。
それだけでなく、「模写する」ことを上達の最善の方法として、積極的に推奨しており、それだけ模写には上達する力があると確信しているからだと思います。
しかしなぜか日本では模写することが低く見られており、模写は胡散臭い方法のように思われているのが不思議でたまりません。
たとえば書道では、お手本を素に模写するのに・・・。 

さてBさんのそれからについて話は戻りますが、通常の写生では立体の世界を画用紙という平面の世界に置き換えるのが、とても難しいのですが、トレース水彩画では写真を模写するわけですから、平面から平面へ、それも同寸で模写するわけですから、バランス感覚さえ覚えればそんなに難しくなく、よってめきめき上達していくのです。
そしてBさんは写真そっくりとはいかないまでも、写真に似た絵を描けるまでに実力が向上するまでにそんなに時間はかかりませんでした。

そこで先生はおもむろに「そろそろ2段目のロケットの点火の時期が来ましたね」と言うのですが、それは 写真のように描ける=(写真は実物を正確に写すわけですから)=実物をしっかり描写できる、そんな能力を身に着け始めたことを意味しているのです。
そのようにトレース水彩画は実物をしっかり描写できることに特化した画法で、それはえを描くうえで圧倒的に有利なことなのです。
逆から言えば、絵を志す大部分の方は、いろいろな描き方をしているのですが 実物をしっかり描写できる能力のある人は少なく、デフォルメとか言いながらごまかしている(ごめんなさい)のです。

初心者の目標は1段目のロケット=それは写真を出来るだけそっくりに模写できるようになること
それにより個性という2段目のロケットは大きく飛躍できるのです。


さだまさしの「風に立つライオン♪」を聞きながら・・・

2013-07-02 16:50:01 | 犬たち

さだまさしさんは歌もさることながら、詞の才能にいつも驚かされます。
それは心を揺さぶる歌となるのですが、その中でも「風に立つライオン」には、しみじみ感じ入るものがあり、このブログでご紹介することにしました。
これは実在の青年医師がアフリカで医療活動に従事していることをヒントに創られたもので、その詞の内容は日本に残してきた恋人から届いた結婚報告の手紙への返信という形になっています。

風に立つライオン

突然の手紙には驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を怨んでいなかったということが
これから此処で過ごす僕の毎日の大切なよりどころになります
ありがとう ありがとう

ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更千鳥ヶ渕で昔君と見た夜桜が恋しくて
故郷ではなく東京の桜が恋しいということが
自分でもおかしい位です おかしい位です

三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました
ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

この偉大な自然の中で病と向かい合えば神様について ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど 何か大切な処で道を間違えたようですね

去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました
こんな処にもサンタクロースはやって来ます 去年は僕でした
闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム 南十字星 満天の星 そして天の川

診療所に集まる人々は病気だけれど 少なくとも心は僕より健康なのですよ
僕はやはり来てよかったと思っています 辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです

あなたや日本を捨てた訳ではなく
僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです

空を切り裂いて落下する滝のように 僕はよどみない生命(いのち)を生きたい
キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最後になりましたが あなたの幸福を 心から遠くから いつも祈っています

おめでとう さよなら
 

恵まれた環境と美しい恋人までも捨てて、世界の最貧国の劣悪な環境を自らの意思で赴き、ひとり医療活動に従事する彼こそ、まさに「風に向かって立つライオン」そのものではないでしょうか。
それは気高い精神と、ゆるぎない意思、強い使命感を持ってこそなしうるものではないでしょうか。

70才の今、私は風に立つランオンは無理かもしれないけれど、
風に立つ老いたライオンのような生き方をしたいと思っています。

加齢とともに、自分自身を甘やかすようになってきました。
簡単に妥協するようになってきました。
聞き分けの良すぎる老人になりつつあります。

しかし今だからこそ、自分の意思を貫こうと、あえて挑戦するそんな勇気が必要なのかもしれません。
とりあえず yourtubeの「風に立つライオン」をお聞きください。