これから大きく成長する産業、それはなんといっても観光産業です。
アベノミクス効果による景気浮揚で、国内旅行者数を増加させるだけでなく、それ以上に外国からの観光客の増加が期待できるからです。
2020年に東京オリンピックが開催されますが、それも大きな要因ですがそれだけでなく、日本は観光資産としてのポテンシャルがあるにも関わらず、実力以下の結果となっており、その反動としてV字回復が期待されるからです。
観光ランキング(外国からの観光客数)1位はフランス 2位アメリカ 3位中国 から始まって、日本は30位前後で、アジアでは香港・韓国にも大きく水をあけられているのです。
そのため政府は観光に本腰を入れ始め、昨年はようやく外国からの観光客数は1000万人を超え、2020年には倍増の2000万人超えを目標に掲げ、専門家筋ではそのクリアは実現可能と読んでいます。
しかし観光は経済規模として小さいのではと誤解している方も多いようです。
日本の観光産業は49.4兆円と自動車産業に匹敵する巨大市場で、経済の波及効果も大きく、多くの雇用や、地域の活性化を創出しており、これからの日本経済の重要なけん引役として期待できるのです。
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日本の旅には世界に例のない個性的な魅力が詰まっています。
たとえば温泉旅館は日本文化のテーマパークそのものではないでしょうか。
そろいの浴衣を着るのもいいし、露天風呂では裸の付き合いで見知らぬ人と仲良くなり、何といっても和食は目でも舌でも喜ぶこと請け合いです。
その上日本の四季のすばらしさを堪能できるのです。
そのような隅々まで行き届いた「おもてなし」に、旅人は旅を満喫できるのです。
その「おもてなし」も日本独特の文化に立脚しています。
英訳すれば「ホスピタリティ」がおもてなしに最も近い言葉となりますが、ホスピタリティは西洋的考えに立脚しており、「お客」とは上下関係で結ばれ、より高いホスピタリティとは、お客のニーズをいかに具現化するかになるのです。
しかし「おもてなし」は、茶の湯の文化に代表されるように、「お客」と対等の立場にあり、サービスを提供する側を「主人」と呼ぶこともあります。
だからこそサービスを提供する主人は趣向を凝らし、お客はそのおもてなしを存分に堪能するのです。
おもてなしは主人からのメッセージそのものであり、時にはお客が想像もしていなかったおもてなしを受けることとなり、それは大きな感動となるのです。
日本の観光産業はこれから先大きく拡大すると前記しましたが、従来からあるすべての観光がすんなり成長していくわけではなく、これまで以上に激しく新規参入があり、それとともに長い伝統を誇るサービス業の淘汰を繰り返す・・・
生き残りをかけた戦いが激化していくことが容易に想像されるのです。
その勝ち抜くためのポイントなど、素人の私などわかるはずもないのですが、以下のコンセプトがひとつのよりどころとなるような気がします。
旅の醍醐味は異文化との出会いにあり、そこ感動があることです。
ここで言う文化とは、歴史や伝統だけではなく最先端の脈打つ現代もあり、自然や風土だけではなく産業や政治経済も含み、観ることや鑑賞する事だけでなく、食べる・遊ぶ・買う・学ぶなど生きることすべてを包括しています。
しかし重要なことは、それらを串刺ししている土壌=文化こそが、人を引きつけて離さない力となっているような気がするのです。
日用雑貨を見るのが大好きな私は、日本を代表する「ニトリ」と、スウェーデンを代表する「イケア」によく行くのですが、「ニトリ」はお値段以上の安価な品物が揃っている大型雑貨店以外のなにものでもありません。
一方の「イケア」は、単なる物売りに止まらず、スウェーデン文化のテーマパークそのものなのです。
だからとにかく楽しく、そして行くたびにいろいろな発見があるのです。
北極圏に近い過酷な自然に囲まれたその国だからこそ、これほどまでに強く「生きる喜び」を大切にしていることを改めて感じいるのです。
今私は、より静かに、そしてよりゆっくりと、この国「日本」を味わってみたいと思っています。