明けましておめでとうございます。
新年にあたり今年のモットーなどといった大げさなことを書くつもりはないのですが、日ごろから考えていたことをテーマにしたいと思います。 題して
いい男は、振り返らない。
それは男に限らず、人の生き方、特に中高齢者の生き方についての話です。
ここでの「振り返らない」という意味は、後ろの過ぎ去った過去よりも、前の未来に心を置く生き方を提唱しており、具体的には明日への夢や希望、そして目標を持つことであり、その夢は夢で終わるのではなく、その実現のために計画を立て、実現するための具体的な行動を起こすことを言っています。
若者は未来に重きを置くのは当然としても、老人ともなればこの先の長さよりも、これまで生きてきた過去のほうがずっと長いため、これからの心のよりどころは、過去を振り返ることに価値があるという意見もあります。
しかし私はその考え方は間違っていると断言できます。
なぜなら私の知る限り、夢と希望を持って明日を見つめる老人のほうが、過去の栄光の思い出にすがる老人よりも圧倒的に輝いているからです。
だから年少者であろうが年配者であろうが、もっと言えば余命いくばくもない人であろうが、夢と希望を持つ未来志向こそが、活力ある生き方が実現できるのです。
ホームランの世界新記録を作った王選手はこんなことを言っていました。
ホームランを量産するその秘訣は何でしょうか? という質問に答え、「最も大切なことは、これまでの過去のホームランの栄光をすべて忘れること」にあるということ。
そして「次の試合・次の打席でいかに1本のホームランを打つか、ただそれだけにこだわり、すべてを集中すること」・・・つまり過去を捨て去り、すべてを次に賭けることこそ最大限の自己能力を発揮できたのです。
私は70才ですが、退職してからすでに10年も経ちましたが、退職後こそ心の持ち方ひとつで、その後の人生が大きく変わるということを思い知らされました。
その選択を象徴する言葉として、「卒業」と「出所」2つのキーワードがあります。
退職者に向けたはなむけのあいさつの常套句として「長く務めたこの会社を卒業して、新たな世界に・・・」と言いますが、その時の「卒業」という中に、これからもこれまでの経験や人脈を生かすという継続性の意味が込められています。
一方の「出所」は、過去に罪を犯し、その罰としての刑期を終え娑婆に出る状況を言っているのですが、「出所」の際には、過去との継続性は微塵もなく、ゼロからの出発という強い決意が感じられます。
結論から言えば、「卒業」よりも「出所」の心構えで再出発した人の方が、はるかに高い確率で第二の人生を充実しているようです。
それは過去を断ち切り、未来に人生を託したからでもあります。
もっと言えば、第二の人生を歩むうえで第一の人生で引きづってきた経験や人脈は手足まといとなって、生きがいづくりの進行を遅らせてしまうのです。
つまり過去を潔く捨て去ることこそ、未来が拓ける鍵となるのです。
ちなみに私の退職は明らかに「出所」のパターンをたどりました。
40年務めた会社で深く感謝の念を持っていますが、退職以降一度も会社を訪れたことはなく、偶然街で出会った以外は、仕事仲間の誰とも会っていません。
私にとっての第二の人生は画家になることでしたが、その「出所」の気持ちが、画家としてのロケットスタートとなれたと思っています。
・・・というわけで、いい男だけでなく悪い男も、いい女だけでなく悪い女も、今年は後ろなど振り返らずに、そして過去のことでくよくよせずに、気持ちのおもむくままにドンドン前にすすみましょう!