ノー天気画家の本音生活 

これが私の生き方などとヤセ我慢するよりも、今日の風に流されましょう!

新企画「100円ショップでそろえた画材でここまで描ける!」開始

2008-02-27 16:06:59 | 犬たち

「絵は描きたいんだけど、道具を一通り揃えるだけでお金がかかりそう・・・」
「高価な画材でなくちゃ いい絵が描けないのでは・・・」

絵を描くにはお金がかかる、いい画材でなければいい絵が描けない、それは迷信(?)なのか本当なのかを実験をすることにしました。

新企画 「100円ショップでそろえた画材で、ここまで描ける!」  を開始します。
誰もが入手できる最も安価な画材で絵を描き、わがHPのミニシリーズとして作品を発表し、検討していく企画です。上手に描くには道具など関係ないのか、安いだけあって下手な絵にしかならないのか、結果やいかに?ぜひお楽しみください。

トレース水彩画を描くためのすべての道具を100円ショップ「ダイソー」で揃えました。ダイソーは取扱い商品が9万点、毎月700点の新しい商品を店に並べるのですから、カンタンに画材のすべてを揃えることができました。
購入した道具(上の写真)は7点で合計700円+消費税35円=735円となりました。昼食代で画材一式がそろえられた、ということになりました。

具体的な商品アイテムは
   1. 絵具 パレット水彩絵具 8色
  2. 筆  ナイロン画筆 丸型8号
  3. ボールペン  ゲルボールペン0.38㎜ 赤色
  4. カーボン紙  片面筆記用・黒 A45枚入り
  5. スケッチブック  水彩用 A4・12枚
  6. パレット  つかいすてパレット4枚入り 25×13㎝
  7. マスキングテープ  2巻入
  ※これ以外に使う道具は、水道水、筆洗いのバケツとティッシュペーパーのみです。
スケッチブックは12枚しかありませんので紙さえ追加すれば、この画材だけで100枚や200枚の絵を描くことが出来ます。

 絵、特に水彩画は他の趣味や習い事より金銭的負担が少ないのではないかと思います。その理由は2つあり、ひとつは材料費が安く、画用紙以外は絵具などの消耗度が低いこと。そしてもうひとつは、絵を描けば長い時間熱中し、よけいな出費機会が少なくなるからです。
この企画の主旨とするところは、ひとりでも多くの方が絵を描く楽しみを味わってほしいことです。金銭的な理由で絵を描くことを躊躇している方や、どの画材を買ったらいいか迷っている方に、ぜひ絵を描くことへ一歩踏み出してほしいことです。

しかし、私は悩んでいます。小さな胸をいためています。100円のいかにも安っぽい画材を使ってレベル以上の絵を描ける自信が全くないからです。
たとえば現在使用している画用紙は1枚300円、今度の企画では1枚8円。4000円の筆が100円の筆。値段にはそれなりに理由があるはずです。
トホホ・・・もう後戻りは出来ないし・・・ バカなことを考えなければよかった、と後悔しているのです。

 

 


私は「富士山と白山」2つの名山を持つ幸せ者です

2008-02-24 05:01:25 | 犬たち

上の絵は「湘南100描」の最後の絵となる「No100 逗子マリーナから見た厳冬の富士山」です。手前の島は江ノ島です。
私は愛犬との朝と夕方の2回の散歩を日課としていますが、その楽しみのひとつは富士山を見ることです。特に冬は晴天が続き空気が澄んでいるため、上のような素晴らしい富士山を連日見ることが出来ます。
地元の不動産屋さんによると、同じ物件でも海が見える物件は2倍になり、富士山が見えるとなると4倍でもすぐ売れるとのことで、富士山の魅力は、単に美しいとか雄大だとかだけでないものがあるようです。

今の私が「富士山」が見えることを自慢するようにいやそれ以上に、私の少年時代は「白山」に強い思い入れがありました。
私は石川県で最も大きな平野・加賀平野のど真ん中で生まれ育ちましたが、「白山」はその平野を見下ろすように鎮座していました。その思いは私がない知恵を振り絞るより、ドンピシャの名文があったのでその一節を引用します。それは作家・深田久弥氏「日本百名山」より「白山」の一節です。ちなみに深田氏も石川県生まれです。  

   日本人は大ていふるさとの山を持っている。
   山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。
   そしてその山を眺めながら育ち、
   成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている。
   どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、
   あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。
   私のふるさとの山は白山であった。
   ・・・・

私の大学時代に白山の見える村から金沢に引越しして白山との別れを余儀なくしたのですが、ふるさとの人は平成の大合併を期に仰ぎ見る白山の山までを合併し、名前も「白山市」としました。
まさにわがふるさとの敷地内に名山「白山」があるのです。エッヘン!

少年時代は「白山」そして今は「富士山」と2つもの名山を持つ私は、とても幸せ者なのです。


「湘南100描」、お好きな絵を探してください

2008-02-21 04:59:54 | 犬たち

「湘南100描」がようやく完成しましたので、約束どおり原画を販売します。販売価格は1枚1万5000円とすることにしました。
この価格設定に先立って、私の古くからの友人の画商のAさんに相談したところ、あまりにも安すぎると叱られました。彼の言の断片を正確に書きますと

   「最低価格はこの10倍にすべし!」
   「そんなに安い価格だとあなたのレベルが低いと思われるぞ!」
   「あなたよりずっとヘタな奴も何十万円で売ってるゾ。高いほど売れるんだ!」

・ ・・しかし、あえて当初の金額1枚1万5000円で販売することにしました。

 絵画をビジネスとしての視点から見ると、バブル期以降これほど落ち込んだ業態はないのではないでしょうか。銀座は画廊のメッカですが、多くの画廊が閉店に追い込まれました。
その原因は消費者の絵画離れにあるようです。生活スタイルや嗜好が変わったなどと、購買者のせいにするのはカンタンですが、原因は一重に私も含めた絵画関係者に責任があります。

 私の子供時代といえば今よりはるかに貧しい時代でしたが、どんな家にも床の間があり、何本かの掛け軸を持っていました。屏風もありました。生活の中に素直に美術を取り入れる心の豊かさがありました。
しかし今展覧会にいけば、絵の上手ヘタは別にして畳ほどの大きさで絵が描かれています。あんな大きな絵は居間や玄関に入らないと思いますし、何とか入れてもインテリアとしてのバランスを欠いてしまいます。
今の展覧会の絵は、最初から生活の中で楽しんでもらうことを拒否しているのです。

 そして決定的な失敗は、絵画や美術品を資産、いわゆる「お宝」としての販売戦略にあるようです。
バブル期に絵画がブームとなったのは、美術を楽しむことよりも、資産価値つまり値上がりを期待しての購入でした。TV番組「お宝鑑定団」はまさに資産の価値を番組化したものです。だから絵は高いほど売れるという不思議な常識がまかりとおりました。しかし、資産価値が目減りすれば深刻な不況となることまで考えていませんでした。
本来絵画は資産ではなく、癒されるものであり楽しむものであるはずです。だからネームバリューや肩書きで買うのではなく、好きだから・気に入ったから気軽に買う、そんなポジションでなければならないと思っています。それにはもっともっと安くする必要があります。
金額を低くするには販売システムを見直す必要もあります。はっきりいえば従来の販売システムでは中間マージンが高すぎました。展覧会しか販売する方法がないことも問題のようです。
「湘南100描」の販売方法は、描いた私がインターネットを通して直接販売するいわゆる産直ですが、それもこれからのひとつの方法かもしれません。

・・・というわけで2月21日より「湘南100描」販売開始です。
あなたの部屋に一枚の絵を飾れば、微かな波の音とさわやかな潮風が吹く・・・とかなんとか言っちゃって。

 

 


「秘伝などない」という秘伝の話

2008-02-17 09:39:25 | 犬たち

湘南100描」も2月17日現在で97枚まできました。
原画を整理しながら感じたことは、1枚1枚にその時々の思い入れ、いってみれば1枚1枚に小さな恋をしてきたような気がします。同時に小さな100の恋の集積は、湘南という大きな1つの恋となり、100枚の達成感よりも、恋人と別れなければならない切なさを感じ始めているこの頃です。(ほとんど60過ぎのジジイの言葉でない)
100枚描こうとした理由は、当然ながら絵の上達を目指すことだったのですが、100枚も描けばいろいろな発見があり、上達もしました。
そのもっとも大きな発見は、NHKの番組「プロフェッショナル」での日本を代表するパティシエ(菓子職人)杉野英美氏の修行時代の逸話を連想し、杉野さんの足元にも及びませんが、その入口を発見したことではないかと思っています。

野心に満ちた駆け出しパティシエの杉野さんは、どうしても一流のパティシエになりたく、なけなしのお金を握り締めて無謀にも本場パリに乗り込みました。とはいえコネもなく言葉もできない中で、師匠となるのはこの人だ!と勝ってに決めたパティシエを発見しました。
彼は名声もさることながら、その店に並べられたすべての菓子がずば抜けておいしかったからです。
何度もの門前払いの末、あまりのしつこさに無給という条件でその店の下働きとなり、必死に働いた熱意により少しずつ認められ、ようやく彼の作るおいしさの秘伝を知ることが出来るまでの仕事をまかされました。
そしてその秘伝がわかりました。「秘伝などない」という秘伝だったのです。
作り方は杉野さんが日本の料理学校で学んだ教科書そのものだったのです。
ただし、そのノウハウを頑なまでに完璧に守るのです。労を惜しまず、ていねいに、心をこめて・・・。たとえば65度に暖めるとは、64度もなく66度でもなく65度なのです。
効率化・省力化、利益追求を重視して作られたケーキと、彼の作ったケーキ。2つのケーキは作り方も似ていて、原材料も似ていても全く別物だったことを教えられたのです。それを知ったことが、彼のパティシエとしての再出発の時でした。

 私なりに心を込めて描いた「湘南100描」の絵、100枚達成後すべての原画を販売させていただきます。価格販売方法等はその時点でお知らせしますが、失礼ながら先着順にさせていただきますので、発表時点が受付開始といたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 


それぞれの役割を分業して描く

2008-02-14 18:19:03 | 犬たち


CDなどの原曲は、フルオーケストラをバックに歌手が高らかに唄い、それを一挙に録音するなんてことはしません。リスクがあまりにも大きいからです。
CD制作のほとんどは、最初は基本となる打楽器のみでリズムを定着させ、そのリズムに合わせて弦楽器・管楽器などと重ね、ようやくカラオケを完成させます。そしてそのカラオケをもとに歌手が何回も歌をトライし、全部重ね合わせて初めてCDが出来るのです。

透明水彩は先に描いた線や色の上に別の色を重ねても、下の線や色が透けて見える特徴を持っています。CDの録音は音を積み重ねたように、それぞれの役割を持った線や色を、順番に塗り重ねて描くのが最もカンタンな描き方なのです。
昔の天才画家で一筆で一挙に描いた人もいましたが、それは昼夜を惜しんでの長く厳しい訓練の末のことであり、初心者の方はシステマチックに描くことにより、「エッ!ホントに初めてなの~?」と疑われるまでにはカンタンに描くことが出来ます。その秘訣は分業して描くことです。

 絵は一般的には見えるものを描くのですが、見えるものとは大雑把にいえば A・形(輪郭) B・明暗 C・色 の3つの重ねあわせからなっています。もちろんこれにブラスして質感、ディテール、シズル感、イメージ等がありますが、それも3つの中で表現していきます(上級偏)。
その3つを分業の作業としてバラバラにし、それを画用紙の上で順番に定着させていくのが最も簡単な描き方なのです。

その順番とは
① 写真をトレースする        正確な形をとらえます
② モノクロで描く          明暗で全体を捉えます
③ 素地の色をぬる         明るい色から濃い色へとぬり重ね
④ 影の色を塗る       B+C 絵全体に一体感を持たせます

湘南100描 No96 木漏れび・・・ぬり順偏」をご参考にしてください。
水彩画のコツは、どの段階でもそれなりに絵になっているように描き進めることです。それにはたえず全体を見渡し、ハーモニーを意識して描き進めることがポイントのようです。
それともうひとつ。分業して描く場合、その役割をたえず意識して描くことのようです。