今回は「失業率」の話をします。
失業率とは失業者数を労働力人口で割った数値で、失業者とは就業が可能で仕事を探しており、仕事があればすぐ行える人を言います。
よって私は悠々自適の身分ですから、仕事をしなくても失業者でもないことになります。
ずいぶん前の事ですが、TV等でも活躍する著名な経済評論家を取材した折、私は「素人でもわかる景気判断のデータなどありますか? 」と、まさにド素人丸出しの質問をしたことがあります。
その回答として、「失業率」の数字こそそれに該当し、失業率が4%より上が景気が悪く、下が景気がいいと判断すればいいという、小学生にさとすように話してくれました。
また、経済通で知られる政治家との会食の機会があり、その中で彼は「失業率」に最も注目しているという話がありました。
なぜなら、失業率が6%以上になれば、若者を中心に不満が噴出し、社会の秩序バランスが崩壊する恐れがあり、何としてでもその前に手を打つことが政治の使命であるという話でした。
そういえば数年前の就職氷河期のピークは、失業率5.3%で、確かにあの頃の若者の目は血走っていましたネ。
それ以降、私は「失業率」という言葉が頭の片隅にあったのですが、最近「アベノミクス効果」により失業率が改善され、その逆に人手不足が問題化しているという話を聞くようになりました。
日本最大の牛丼チェーン「すき家」は、以前からブラック企業との風評があり、その中でもワンオペといって深夜時間帯の一人勤務は過酷過ぎと言われていました。
そして最近になって退職する社員が続出し、人手不足での休店や閉店が相次ぎ、赤字に転落するまでになりました。
つまり過酷な労働は人余りの時にこそ通用する話で、人手不足の時代では、働く人を優遇するなどの雇用の安定に努めなければ、経営危機のおそれさえ出てくるのです。
インターネットで「日本の失業率推移」を見れば、完全失業率は 2011年から4.6%、4.3%、4.0%と続き、今年10月で3.5%と低下しています。
それを世界的視点で見れば、上から順に ギリシャ27% スベイン26% イタリア12% フランス10% アメリカ7%となり、日本の3.5%はとても優秀な成績と言えるのではないでしょうか。
ギリシャやスベインなどの失業率の高さは、経済破綻のデフォルト(債務不履行)によってであり、政治の失敗は国民に大きな犠牲をしいることになるのです。
そしてちょっと気になるのは 韓国3.1% 中国4.1%で、かなり数字が低いのですが、それにはうさんくさいにおいがします。
韓国の失業率は韓国独自の算出方法で出したものであり、国際基準から換算した数字では3倍弱の12%ほどになり、実態経済はかなり深刻な状況にあるのです。
韓国は無理をしてまでも健全な国に見せようとする、中身はさて置き外見をとても気にする、そんな国民性なんでしょうか。
中国は失業率以前のその基幹となる重要な数字として、GDP(国民総生産)の成長率の数字があり、それが7.3%と発表しました。
しかし多くの経済学者がその数字に首をかしげており、実態は-1~1%程度ではないかとの声がありました。
中国では大学出の失業者が街にあふれているとのことで、その実態を見れば、失業率の数字も信用できなくなるのは私だけでしょうか。
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今回の衆院選の争点は「アベノミクスの賛否」と言われていますが、私はデフレ脱却は道半ば、今更やめるとか大幅修正はすべきではなく、このまま突き進むべきと強く思っています。
アベノミクスの成果は、今のところ上記のように、「失業率の低下」と「株価の上昇」に繋がりました。
しかし肝心かなめのGDP(国民総生産)はマイナス成長となっており、そこに野党が付け入り「アベノミクスは失敗だ!」と叫んでいるのです。
考えてみれば、失業率の低下は雇用の増大であり、それは仕事が忙しく人手不足になったからとか、攻勢のチャンスで拡大が見込めるから雇用に踏み切ったことを示しています。
しかし今が昇給や賞与に跳ね返るまでのタイムラグの期間であり、一定の期間を経て確実に昇給や賞与に反映されると思います。
つまりデフレ脱却のためのインフレ目標政策と、消費税引き上げの、いわばアクセルとブレーキを同時に踏み、車が不安定になるような状況を招いた面にあるようで、近い将来に景気のスピードが加速するのではないでしょうか。
しかし景気を好循環にのせるには段取りがあり、まずは失業率の低下から始まり、紆余曲折をたどりながらゆっくりと景気上昇に向かうと信じる私は、やっぱりポジティブ志向の塊のようです。