シェール革命で世界のパワーバランスが大きく変ろうとしています。
それでは シェール革命とはどんな革命なのでしょうか?
地球の地下に石油が埋蔵されていますが、その中で液体としての石油は数%に過ぎず、残りのほとんどの石油はシェール層という岩盤の中に染みこんだ状態で存在しており、これまではその抽出は不可能といわれていました。
しかしアメリカの最新技術はその中から石油やガスを抽出する技術を開発し、すでに実用化され、安価な価格で生産される段階に入っているのです。
特にシェールガスの大量生産が実現し、圧倒的な価格破壊が世界を駆け巡っています。
それは世界最大の石油輸入国であり消費国のアメリカが、一転してエネルギーのほとんどを自国でまかない、それどころか輸出国となる見通しが見えてきたのです。
それはアメリカにとって国際収支を左右し、安定的なエネルギーや化学原料の確保に対応できるために、巨大な新規産業の創出が注目されています。
シェール革命はそれだけに留まらず、これまでのアメリカの石油の大部分は中東に依存してきたのですが、その安定供給のためには政治的・軍事的対応も必要となり、その影響からかアフガニスタンやイラン・イラク問題、アルカイダのテロ事件と、アメリカにとっても大きな代償を支払ってきました。
しかしシェール革命以降、自国でエネルギーが確保できるのですから、中東のイスラム諸国とは付き合いが希薄になることになり、アメリカの国際戦略そのものが見直される可能性が出てきました。
その逆に中東の石油産出国はアメリカという最大顧客を失うことになるわけですから、その代替として成長著しく大きな需要を期待できる中国に依存せざるを得なくなります。
中国はそのチャンスをもとに、東南アジア、アフリカのみならず、中東までにも大きな影響を持つ国になるわけです。
それでは日本はどのようになるのでしょうか?
原子力からの離脱を国の方針として打ち出されている日本は、そのひとつとして新たなエネルギーの国内資源化を模索しており、その流れの中で秋田県でシェールオイルが産出されました。
といってもその埋蔵量は微々たるもので、これからのシェールオイル産出のための研究としての役割が主たる目的で、その技術開発により、世界のシェールオイルの大部分を占めるアメリカ・カナダとの産油国への技術の提供による共有化をめざしているとのことです。
それよりも日本近海に膨大な量が眠っているメタンハイドレードこそ、大きな可能性を持っており、2018年にはメタンハイドレードの商業化を打ち出していますが、近い将来その可能性がより鮮明に見えてくるのではないでしょうか。
しかしシェールオイルもメタンハイドレードもCO2を排出し、地球温暖化を促進することになるわけで、長期目標の本命は再生可能エネルギーであり、シェール革命は再生可能エネルギーにつなぐためのショートリリーフとしての役割かもしれません。
エネルギーの未来をより長期的視点でみれば、50年後には太陽光発電はエネルギー全体の70%に迫ると予測する研究機関の発表があります。
その可能性を開くには優れた技術が前提条件であり、その技術を開発したところが世界をリードする時代がくるのです。