アノネ がんばらなくてもいいからさ、具体的に動くことだね みつを
この言葉は「人間だもの」などの詩集で有名な書家・相田みつをさんの言葉で、数ある名言のなかで私がとても影響を受けた言葉のひとつです。
相田さんの小さな美術館は銀座にあり、その近くの地下鉄出口の階段の上に美術館の告知の電飾看板があり、その中に上の言葉があったのです。
その当時私は銀座にオフィスを構える広告代理業の役員をしており、毎朝の通勤にその地下鉄出口を通るのですが、必ずその看板を見上げて言葉を心に刻むことを習慣としていたのです。
広告代理業と言えば、時代の先端を行くカッコイイ職種で、机と電話さえあれば始められる実に初期投資の少ないビジネスでもありますが、裏を返せば猛烈な競合の中で、無理難題が降りかかり、冷や汗とストレスで正常な精神が保てなくなる職業でもあります。
そんな会社の役員として20年近くも働いてきたのですが、日々の仕事を乗り切り、明日を拓く方策として、相田さんの「がんばらなくてもいいから、具体的に動くこと」が、私にとっての福音でした。
そして第二の人生を歩む今も、その言葉は私の福音となっています。
大きな悩みや困難があったとき、前途が八方ふさがりのとき、私たちは苦悩します。しかし苦悩の中でもんもんとしていても、なんの解決も見出せないことが多いようです。
それよりも、今やるべき具体的な行為を発見し、それに向かってひたすら体を動かす・・・その積み重ねこそ解決の道であると確信しています。
「画家は挫折感に悩まされたり、スランプに陥ったりするのが常ですが、あなたならどうしてますか?」と、美術関係者や出版社の方から聞かれたことがあります。
しかしこれまで私には挫折感やスランプなどで悩んだりした体験がないのです。
まず楽しいから絵を描くのであって、悩んだり辛い思いをしてまで絵など描きませんし、描いてはいけないと思っています。
そんな私ですが、絵に行き詰まったり失敗したりすることがあります。
そんな時はその絵を途中でホッポリ出し、いやな夢を見たかのように忘れてしまうように勤めます。
そしてまったく次元の違う絵を描くことにし、いろいろ楽しく描いているうちに、以前に行き詰ったり失敗した箇所をカンタンにクリアしている自分に気づくのです。
人生は楽しく楽(ラク)して、具体的に行動していく。