日本には観光資源が豊富と言われていますが、外人観光客数において苦戦しています。
最近来日する外人観光客数が増えているとニュースで伝えられていますが、それでも世界の外国人観光客ランキングのトップは、フランスの(年間訪問数)7680万人に対し、日本は861万人で30位となっており、近隣国の中国・韓国はもとより、マレーシアやタイなどにも負けているのが実情なのです。
日本は地理的なハンデがあるとの見方もありますが、ヨーロッパの端の国イギリスは2800万人であることから、観光に対する戦略そのものの練り直しが必要なのではないでしょうか。
観光産業は外貨を獲得できるだけでなく、新たな産業や雇用の創出、国としてのこの上ないPRと、きわめて重要な役割を持っているのです。
そのため政府は2016年には1800万人をめざしているのですが、国民的な盛り上がりと次代を見越した戦略があってこそ、その数字が到達可能となるのではないでしょうか。
私は仕事も含め30回以上海外旅行をしていますが、その中に「こんな旅こそ外人観光客を引き付けるのでは・・・」と思う旅を、観光立国・フランスの旅で体験したのですが、それを紹介しようと思います。
その旅は西フランスの田舎めぐりの旅ですが、そのコースには(私の知識での)名前の知れた観光地などはなく、日本的な価値観からすれば、観光地とは程遠いごく普通の田舎めぐりでした。
その第1日目、旅先のホテルというよりおしゃれな民宿で、旅行カバンを整理していたところ、「ヒゲ剃り」を忘れてきたことに気づきました。
ホテルに問い合わせたところ、倉庫を探してようやく取り出したきたのは、年代ものでヒゲが剃れる代物ではなく、私は次の宿泊地の雑貨屋で買うことで解決しようとしました。
しかし次の宿泊地には雑貨屋さんなどなく、その次もなく、そして4つ目の宿泊地は、山に隠れるように小さなスーパーマーケットがあったのですが、その時この旅には無精ヒゲ姿に何の違和感もないことに気づき、そのまま伸び放題のヒゲづらで旅を終えることにしました。
この話で言いたいことは、「ヒゲ剃り」ひとつ買うことが出来ないそんなデープな(日本で言えば、まさに上の絵のような)ド田舎が旅のコースであり、そんなコースは日本では観光地として無視される場所であったことです。
しかしそんな旅だからこそ、人の営みがダイレクトに私たちの心に響き、そこに目からウロコの多くの発見があり、深い感動を味わうことが出来たのです。
その感動をもっと言えば、フランスと言えばパリを代表するように、おしゃれで華やかさが売り物ですが、それとはまったく違う、自然と対峙するフランスの奥深さと、強かさ、そして深いやさしさを知ることが出来たのです。
さすが!観光立国フランスは、観光とは何か?を実に深く考えているのです。
観光といっても多様な観光がありますが、その神髄は風土と歴史から育まれた「文化」を発見し、そして体感することにあるのではないでしょうか。
日本の観光は、パッケージ化し過ぎ、着飾り過ぎ、もっと言えば至れり尽くせりのオーバーサービスのため、その魅力がぼやけてしまっているのではないでしょうか。
誰もが知ってる見慣れた観光地で、Vサインをしてパチリと写真を撮り、ハイ次に行きましょう!という、ガイドブックの情報の確認のような観光には、日本人のみならず、外人であろうともうんざりしているのです。
日本は豊かな観光資源に恵まれた国です。
何といっても自然が豊かで、独自の文化が息づいています。
それだけでなく、こんな小さな国でありながら、経済大国であり技術立国でもあるのですが、その源は人間力にあるといわれています。
日本人は勤勉で礼儀正しく、社会秩序を守り、協調性を重んじる気風があります。
その日本の不思議を解明する観光資源を商品化できるとすれば、多くの外人が強い興味を持ってやってくると想定されます。
情報化が地球のすみずみまでいきわたった今、新しい観光の形が求められています。
そんな中で知恵と工夫を働かせば、日本文化の中に数多くの観光資源がヒット商品として顕在化すると思います。