技術大国日本の代表格である家電業界は、空前の落ち込みにあえいでいます。
たとえば今期の経常利益では、パナソニック-8000億円、ソニー-4500億円、シャープ-3800億円と目を覆うばかりとなりました。
そんな日本を負け組とすれば、勝ち組はサムスンとアップルで、テレビとスマートフォン市場では完全に水を空けられてしまいました。
その原因は各社まちまちですが、グローバル対応の遅れと、過去の成功事例に頼り過ぎていて、世界のダイナミックな変化についていけなかったからなのです。
そもそも「日本の豊かさ」の基盤をなすのは、「技術」で世界をリードすることにあります。
あえて下品な言葉で言えば、技術力を武器に世界からお金をかき集め、その膨大な利益を購買や税金と言う形で還元することで、日本の豊かさが成り立っているのです。
だからその稼ぎ頭の家電業界が赤字になるのは、日本にとって非常にマズイのです。
しかし日本の家電企業はその屈辱をバネに、必ずや反転攻勢に打って出ると確信しているのですが、その中でパナソニックは以下の構想を次代の戦略の柱として打ち出しました。
私の藤沢の絵画教室のあるショッピングモールに隣接して、パナソニックの工場後の巨大な空き地があり、次代の構想がその空き地から始まります。
そのプロジェクの名は「fujisawaサスティナブル・スマートタウン(FSST)」で、サスティナブルとは持続可能性という意味で、環境と調和した最も進んだ未来型居住空間としての街づくりを、世界に提示しようとするものです。
それは住民の心地よい暮らしの実現と、CO2排出量70%削減などの圧倒的な環境貢献となるものです。
原子力発電に限界が見え、地球温暖化や環境問題が叫ばれる中、持続可能なエネルギーとして、風力や太陽光が注目されていますが、技術的にもコスト面からも問題点が多いのですが、「FSST」はそれらの問題点を打破する突破口と考えています。
「FSST」の目玉はすべての住宅に太陽光発電と蓄電池を設置し、最も効率的な電力の使用を、家まるごと・街まるごとでコントロールすることにあり、電気は自給自足を前提とし、不足分は外部からまかなう方式で、ハイブリッドカーがエンジンとモーターを併用して走るのによく似ている方式となります。
「なんだ、それはよく聞く話で、ちっとも新しくないじゃないか」と言われそうですが、これまでの太陽光発電や蓄電池の技術はまだまだ開発途上にある中で、パナソニックの技術は一歩先を行っており、他社の追従を許さない世界最高水準の家庭用ソーラーシステムが提供できることこそ、この企画のポイントなのです。
パナソニックの「FSST」の特色をまとめると、2つの特色を持っています。
ひとつは、これまでの家電メーカーは単体のモノを販売してきましたが、「FSST」では、家まるごと・街まるごとを総合的に提供するということです。
そしてもうひとつはで「FSST」は藤沢地区の不動産開発であるとともに、世界に発信し、世界の家や街を相手にビジネスを展開するということです。
ハイブリットカーが自動車業界を変えたように、スマートフォンがモバイル産業を変えたように、「FSST」構想が、エネルギー産業だけでなく住産業を変えるかもしれません。