■■【中国経済の読み方】 中国への海外投資不充分
最近の経済ニュースのエッセンスを、時系列的に、独断と偏見でもってまとめてみました。
◆ 中国への海外投資不充分 2012/11/13
中国への海外からの投資比率は1.2%と、他の新興国が20%から30%であることに比べて非常に少ない状況が続いています。
中国では、個人投資家の割合が極めて高く、株価の乱高下を招く要因になっています。海外からの機関投資家が増えますと、株式市場全体の規模が大きくなり、株価が急速に乱高下することを防ぐことができるというのが狙いです。
また、中国への企業進出は、リスク懸念から、まだまだ少なく、国別に見ると日本がダントツでトップです。日中関係がぎくしゃくしていますが、中国はまだまだ日本への投資依存度が高く、経済面での日中関係の改善希望は多いにあるはずです。
政治的には日中関係のごたごたは続くでしょうが、経済面では拡大の方向に動いてくるのではないでしょうか。
◆ 4年後にGDPで中国がアメリカを抜く 2012/11/11
OECD(経済協力開発機構)が、衝撃的な発表をしました。
「向こう半世紀の間に世界経済のバランスは劇的に変化する」とし、中国が、いずれアメリカを抜いて世界最大の経済大国になることは予測されていました。しかし、それは数十年後の話で、まだまだ遠い先と考えていました。
ところがOECEの2060年までの長期的な世界経済予測では、「早ければ4年後」だというのです。
2060年には、GDPで世界全体の28%を占めるに至る予測です。その時には、インドもアメリカを抜いて、全体の18%を占めるることになります。
気になる日本は、「高齢化の進行などを背景に世界全体に占めるGDPの割合が2011年の7%から、2060年には3%まで低下」という予測です。経済大国としての地位は大きく低下し、国際的な存在感は薄くなります。
その理由の一つが、少子化と考えます。
子供を持てる家庭環境を早く築くことにより、労働人口の減少に歯止めがかかり、やがて増加して行くでしょう。それには、先を見据えた政治がなされる必要があります。
今の政治家のやっていることは政争に過ぎず、このままでは新興勢力の伸びに抗しきれなくなるでしょう。それが解っていないわけではないでしょうに、体質改善をしようとしない今の政治家は、一体何を考えているのでしょうか?
今度の選挙で、それを思い知らされると思います。
◆ 中国の減税政策が内需を拡大 2012/10/30
ヨーロッパの信用不安が落ち着き始めているとはいえ、その影響は元気だった中国でもまだ深刻です。
中国政府は、輸出の伸び悩みなどで景気の減速傾向が強まる中、全人代を前にして、事実上の減税政策を進めてきました。
今年に入ってから上海や北京などで運輸業などを対象にした減税政策が功を奏してきました。「営業税」の代わりに「増値税」と呼ばれる付加価値税を適用しましたところ、サービス産業が10%を超える高い成長を遂げたのです。
金融緩和や巨額の公共投資といった政策ではインフレを誘発しかねません。そのような中でこのような新たな政策は、景気を刺激し、安定した成長を図ることができて来ています。
なぜ、日本政府は効果ある施策をとれないのでしょうか?
◆ 中国のGDPが連続で前期を下回る 2012/10/19
中国の国家統計局が7月から9月までのGDP(国内総生産)について発表しました。
前年同期と比べて7.4%のプラスとなりましたが、これまでの四半期と比べると7期連続で伸び率が前の期を下回ったことになります。リーマンショックの影響を受けた2009年第1四半期以来の低い水準となりました。景気の減速傾向が一段と鮮明になっています。
ヨーロッパの信用不安の長期化で、中国経済をけん引してきた輸出の伸びが大幅に鈍っています。それに加えて中国国内において、個人消費の伸びが鈍化しています。先行きの不透明感が主因です。
日本車の販売が激減しているのは、反日感情に加えて個人の買い控えが営業しているといえます。
中国政府は、所得格差是正のため、今年の経済成長率の目標を、去年までの8%前後から7.5%に引き下げたのですが、予想以上の鈍化といえます。IMFも中国のGDP伸び率を下方修正しました。
11月には最高指導部が交代するのですが、共産党大会を前に新たな対応策が打ち出されるのでしょうか。
◇ 中国貿易動向 2012/10/15
中国の税関当局の発表によりますと、9月の輸出額は、1か月の輸出額としては過去最高を記録しました。これは前年同月比で9.9%上回る1863億5000万ドルでした。
電子機械などの輸出が好調、落ち込んでいた衣料品などの輸出も増加に転じたためです。
一方、輸入額も、前の年の同じ月に比べて2.4%増えて1586億8000万ドルでした。
日本との貿易は減少、尖閣諸島の国有化をきっかけに中国各地で反日デモが行われるなど、日中関係の冷え込みが影響したものとみられます。
北朝鮮との貿易促進など関係強化も進んでいます。北朝鮮の企業約100社が参加して、中国東北部で初めての大規模な見本市が開催されました。
◇ 中国の反日デモの被害 2012/10/05
9月に起きた中国の反日でもの被害総額は算出できないほどの被害が想定できます。
イオン一社の建物と商品の被害額だけでも約7億円といいます。これには、修理費や店舗を閉めている間に本来あったはずの収益の機会損失額などを計算すると有に10~20億、あるいはそれ以上になるかもしれません。
当初70店舗の新設を20店舗余りに修正したといいますから、その機会損失を勘案すると一企業で補える金額ではないですね。もちろん、保険に加入しているでしょうが、その求償は実損にも追いつかないでしょうから、泣きっ面に蜂ですね。
その影響は日本企業だけではありません。
中国経済にも大きなマイナス影響を及ぼすでしょう。
保険会社は、再保険を利用しています。再保険の相手は海外の保険会社ですから、日本以外の保険会社も損失を被ることになります。
オーストラリアが、中国の経済成長の減速で、鉱物資源の輸出が減少したことから、およそ4年半ぶりの大幅な貿易赤字となったと発表しました。
これは、今回の直接的な影響ではありませんが、それが中国経済の減速に拍車をかければ、各国の輸出に影響を及ぼすでしょう。
早く沈静化して欲しいですね。
◇ 中国経済停滞気味 2012/09/11
6ヵ月連続で増加していた中国の8月度輸入額は、国内の景気の減速などを背景に前年同月を2.6%下回り、7か月ぶりに減少に転じました。輸入額は1513億1300万ドルでした。
国内景気が減速し、ヨーロッパの信用不安・輸出鈍化に伴う原材料や部品などの需要減少が原因でしょう。
8月の消費者物価指数は、世界的な穀物価格高騰による食料品価格高騰で、前年同月比で2%上昇しています。それに対して生産者物価指数は、3.5%減少しています。6か月連続のマイナスです。
胡錦濤主席が、APECで国内景気重視の発言をしたのは、TPPへの当てつけだけではなく、このような背景があったと考えられます。
【 注 】 括弧内日付は、ブログ掲載日