■■【日本経済の読み方】 牛肉が安くなる? 近況のエッセンスをコンパクトにまとめました
◆ 牛肉が安くなる? 2012/11/08
「BSE」という言葉が私たちの記憶から大分遠くなっています。
Bovine
Spongiform
Encephalopathyという言葉の頭文字を取ったもので、「牛海綿状脳症」と日本語では言います。牛の病気の一つで、脳がスポンジ(海綿)状になる病気で、「狂牛病」と一般的には略称されています。
脳やせき髄などに病原体が蓄積しやすく、感染した牛を食べるとけいれんを起こしたり、重症化すると運動機能が低下したりすると言われています。
生後20か月以下ですと、病原体が少ないことから、これまではアメリカ産牛肉は園条件に合ったものが輸入されてきました。過去10年間に感染した子牛が生まれて規定にことから「30か月以下」に緩和されることになります。
アメリカ牛肉は、安さが売り物ですが、味はいまいちです。
今年の穀類の価格急騰で、その安さもオーストラリア産などと差が少なくなってきています。
味の方は、日本向けに工夫していますので、以前に比べると良くなる可能性があります。
私事ですが、1970年にアメリカに赴任し、カルチャーショックの一つが「わらじステーキ」でした。わらじのステーキが饗されるわけではなく、わらじのような大きさ、形状のステーキで、当時2ドルでおつりが来ました。ただし、1ドル=360円の固定相場制時代の話です。
◆ 求人あるのに就職しない大学生 2012/11/07
内定が得られないで、いまだに就活をしている大学生が36%にあたる20万人もいるほど、就職難が続いています。
ところが、求人数は、大学生の数を上回っているのです。
大学生が選り好みをして、大企業志向でいるだけの問題ではなさそうです。
人を求めている中小企業の情報が、大学生の目に留まらないと言うことがその原因の一つです。中小企業だけの力では、求人活動が思うように言っていないのが、残念ながら現状です。
大学生の中には、大企業志向者ばかりではないですが、就職支援をしている職員が大企業志向ですから、情報提供もアドバイスもそれをベースにしてしまっています。
ある大学に、「経営コンサルタント歴35年の経験から中小企業の見分け方という視点で就活支援をしたい」と申し出ました。ところが「その様な情報提供は自分達でできる」と言って、平素中小企業を相手にしている経営コンサルタントの話を、就職課の職員と同列に見るしか能力がないといえます。
また中小企業のための団体が、中小企業の力の及ばない部分で支援すべきです。
ところが中小企業のための団体である商工会議所が、まだまだ充分な役割を演じていません。なぜなら、日本商工会議所の役員の大半が大企業出身者で占められているからです。これでは、中小企業の現状をキチンと把握して、そのニーズに即したサービス提供をすることができないのはあたり前と言っても過言ではないでしょう。
◆ 新米価格が上昇 2012/11/04
農水省が今年の新米における卸価格について、平均で前年同月比10%上昇したと発表しました。
卸売業者などに販売した新米の価格は、全銘柄の平均で60キロ当たり1万6650円でした。福島県産の「ひとめぼれ」のように20%も上昇したものもあります。
農林水産省によると「震災のあと業者間で在庫確保の動きがある」という見方です。
気になるのは、小売価格への転嫁ですが、厳しい経済情勢の下、消費者はより安いコメを求める傾向が強く、小売業者としては値上がり分を十分に販売価格に転嫁するのは難しそうです。
◆ 東京駅の利用者が30%増加 2012/11/02
赤煉瓦の東京駅丸の内駅舎が、10月1日にリニューアルオープンして、早くも1か月が経ちます。東京駅を利用する私ですが、まだ新しい駅舎は見ていません。余計なことですが、東京スカイツリーもまだ登っていません。
さて、その東京駅ですが、太平洋戦争末期の空襲で焼失してしまいました。今までの駅舎はドーム部分がとんがり帽子で、新しい駅舎のように丸みを帯びたドームではないのです。また、今までの駅舎は2階建てでした。
外観だけでなく内装のレリーフなども復元されました。
100年程前は、オランダのアムステルダム駅と酷似した姿ですが、戦前の3階建ての姿に復元されたのです。
リニューアルオープンしてから1か月間に駅を利用した人は、去年と比べて30%余り増加しています。とりわけ土日を中心に訪れる人が多いようです。
丸の内ホテルも全面改装し、最高級のスィートルームは1日50万円近くもするといいますので、一度覗くだけでも覗いてみたいですね。
設計者は、辰野金吾氏(1854.10.13~1919.3.25)です。もともとは武士で、現在の東京大学で学び、そこの学長を務めたこともあります。
◆ デフレ脱却ができるのか? 2012/11/01
政府の介入を嫌う日銀ですが、両者が共同文書という形で政策を発表しました。
2か月連続で追加の金融緩和を決め、市場に大量の資金を供給する基金を11兆円積み増しすると発表しました。消費者物価の上昇率1%の実現を目指し、デフレの早期脱却を目途としています。
その背景には、再来年4月からの消費税率の引き上げを控え、経済環境を整える必要性に迫られていることが挙げられます。それには、あらゆる対応をとる姿勢を内外に示すべきだという、政府側の思惑があったものとみられます。
日本経済を取り巻く環境は、海外経済の減速や長期化する歴史的な円高を背景に一段と厳しさを増している中で、政府・日銀が実効性のある政策を打ち出すことができるのでしょうか。
◆ 消費支出が前年同期比マイナス 2012/10/31
総務省げ家計調査の結果を発表し、「弱含みとなっている」と基調判断を下方修正しました。
9月の消費支出は、住宅の修繕や衣服の購買などに対する支出が26万6705円に減ったことから、8か月ぶりに前の年より0.9%減少しました。
1人暮らしを除いた世帯の消費支出は、物価の変動を除いた実質で、去年の同じ月に比べて0.9%減少しました。
住居 14.5%減少
被服・履物 2.9%減少
「住居などに加え、さまざまな品目で支出が減り、このところの日本経済の減速が消費面にも現れている形になっている」と総務省は分析しています。
日銀は、景気が弱含みになっているとして、2か月連続で追加の金融緩和に踏み切りました。金融市場に大量の資金を供給する基金の規模を増やします。
また、政府と日銀が連名で異例の共同文書を作り、デフレからの早期脱却を目指し最大限努力するとして、協調していく姿勢を強く打ち出しました。