ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

柚月裕子『蟻の菜園』

2021年05月05日 | 読んだ本(日本語)
柚月裕子著『蟻の菜園』

現代と過去を行き来しながらストーリーが展開される。

婚活サイトを利用した連続男性不審死事件に関与したとして、殺人容疑が
かかった円藤冬香。彼女の写真を見たフリーの週刊誌ライターの由美(40代、バツイチ)は、
こんな美人なら、結婚詐欺を企てたり殺人を犯したりしなくても、幸せになれるんじゃないか、と
思う。だが、冬香には完璧なアリバイがある。

そんなところから、由美は冬香の過去を追い始める。

読んでいるうちに、過去の冬香とその姉の生い立ちがあまりに悲惨で残酷でかわいそうで、
この二人にはどうにか幸せになってほしいと思うのだけど、幸せになって然るべきだという
姉の思いが、強すぎるというかちょっと違う方に行っちゃうというか。

姉妹の反転(?)みたいなところは読めたけど、話を読み進めるうちに、
こんなにつらい思いをしてきたのだから、という冬香たちへの思い入れが薄れて、
だからってこんなに簡単に人を殺しちゃダメだろ、という気持ちが芽生える。

不条理に憤って終わる小説もあるんだけど、これはまたそういうのとは違った。
児童福祉の現場に見えない障壁があるということを訴えたい、という由美の気持ちに
期待します。

近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』

2021年05月03日 | 読んだ本(日本語)
近藤史恵著『ときどき旅に出るカフェ』

どんなお話かな~と思ってたら、カフェ・ルーズというカフェがだいたい舞台の
プチ謎解きの本(うううん、簡単に言いすぎだな)。

カフェのオーナー円が主人公瑛子の元同僚で、月初に旅をして気に入ったスイーツや
ドリンクを出してくれる。日本の小さなカフェに居ながらにして世界のスイーツやドリンクを
味わい、それにまつわるお話を聞くことができて、旅をしたような、世界が広がるような
気分になれる。

よくライトノベルでスイーツを取り上げた小説を読むけど、
出てくるお菓子が「あ、知ってる」「聞いたことある」というのが多い。でも、この本では
(月餅とかライスプディングとかも出てくるけど)、知らないスイーツやドリンクに
出会えて、それにまつわるあったかい知識が増える。自分が囚われている常識が、
世界に出てしまうと実はそうじゃない。自分が当たり前だと思っていることが、実は
苦しい。みたいな、心を楽にしてくれるお話です。

そのセリフが、最後の1ページでさらに深いなぁと思わされました。

おいしそうで優しくてあったかいお話ばかりです。