柚月裕子著『蟻の菜園』
現代と過去を行き来しながらストーリーが展開される。
婚活サイトを利用した連続男性不審死事件に関与したとして、殺人容疑が
かかった円藤冬香。彼女の写真を見たフリーの週刊誌ライターの由美(40代、バツイチ)は、
こんな美人なら、結婚詐欺を企てたり殺人を犯したりしなくても、幸せになれるんじゃないか、と
思う。だが、冬香には完璧なアリバイがある。
そんなところから、由美は冬香の過去を追い始める。
読んでいるうちに、過去の冬香とその姉の生い立ちがあまりに悲惨で残酷でかわいそうで、
この二人にはどうにか幸せになってほしいと思うのだけど、幸せになって然るべきだという
姉の思いが、強すぎるというかちょっと違う方に行っちゃうというか。
姉妹の反転(?)みたいなところは読めたけど、話を読み進めるうちに、
こんなにつらい思いをしてきたのだから、という冬香たちへの思い入れが薄れて、
だからってこんなに簡単に人を殺しちゃダメだろ、という気持ちが芽生える。
不条理に憤って終わる小説もあるんだけど、これはまたそういうのとは違った。
児童福祉の現場に見えない障壁があるということを訴えたい、という由美の気持ちに
期待します。
現代と過去を行き来しながらストーリーが展開される。
婚活サイトを利用した連続男性不審死事件に関与したとして、殺人容疑が
かかった円藤冬香。彼女の写真を見たフリーの週刊誌ライターの由美(40代、バツイチ)は、
こんな美人なら、結婚詐欺を企てたり殺人を犯したりしなくても、幸せになれるんじゃないか、と
思う。だが、冬香には完璧なアリバイがある。
そんなところから、由美は冬香の過去を追い始める。
読んでいるうちに、過去の冬香とその姉の生い立ちがあまりに悲惨で残酷でかわいそうで、
この二人にはどうにか幸せになってほしいと思うのだけど、幸せになって然るべきだという
姉の思いが、強すぎるというかちょっと違う方に行っちゃうというか。
姉妹の反転(?)みたいなところは読めたけど、話を読み進めるうちに、
こんなにつらい思いをしてきたのだから、という冬香たちへの思い入れが薄れて、
だからってこんなに簡単に人を殺しちゃダメだろ、という気持ちが芽生える。
不条理に憤って終わる小説もあるんだけど、これはまたそういうのとは違った。
児童福祉の現場に見えない障壁があるということを訴えたい、という由美の気持ちに
期待します。