ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

東野圭吾『ラプラスの魔女』

2019年06月15日 | 読んだ本(日本語)
東野圭吾著『ラプラスの魔女』

東野圭吾さんの本、わりと好きでよく読みます。んで、気づいたんだけど、
結構大胆に非現実的な要素を取り入れているような気が。

『プラチナデータ』でも近未来感満載だったし、今回の作品は世界でたった一人しか
できない手術をする医者とか、雨が降る時間とか風の流れをぴったり当てちゃう力とか
出てくる。

でも! それが「本当にありそう」と思えてしまう(というより思って読み進めてしまう)のが、
この人の作品のすごいところなんだと思う。

甘粕氏の奥さんの子育てにまつわる孤独とか(うんうんうんって頷いちゃった)、
青江教授の父親としての寂しさ(?)とか、なんでこんなに想像できちゃうんだろうっていう
リアリティがすごい。それもあってか、ファンタジーっぽいけどフィクションっぽいという。

あれ、説明うまくないな(笑)。


ええと。冒頭で女の子が竜巻に巻き込まれ、お母さんを亡くします。そのとき医師である父は
彼にしかできないある男の子の手術をします。

場面変わって、数年後。
温泉地で硫化水素中毒による死亡事故が発生。地球化学を研究する青江教授が警察の依頼で
事故現場を調べに行きます。まー、亡くなった人は金持ちじいさん(映画監督)で、30歳以上年下の美女と
結婚した直後(完全に直後ではないけど)。この美女、怪しいやん!と思わされるけれど、どうも
事故っぽい。他殺を疑う刑事も出てくるけど、意図的に殺害するのは無理っぽい。

それから少しして別の温泉地でも同じような中毒事故が起こる。その二人は映画関係者ということで、
なんとなくつながりがあるようなないような。二箇所の温泉地で十代後半女性を目撃した
青江教授。教授に人捜しをしていると伝える十代後半女性・円華。

一方で、円華のボディガード(というより監視役)として雇われた元刑事の武尾さん。
円華の父親の天才脳外科医、秘書的存在のクールな美女・桐宮さんとかいっぱい出てくるけど、
いろんな視点で語られて、どうやらその手術を受けた男の子(硫化水素を使った姉の自殺の
巻き添えで植物状態になったけど、天才脳外科医の新しい治療法で奇蹟的に快復)が
連続事故死事件をしくんだとわかり、その彼と同じ手術を志願して受けた女の子が彼を探しているのだとわかる。

男の子は復讐をしていたんだけど、その原因を作った犯人は単純に異常者という感じ。
この本では脳の父性を司る部分が欠損してて、それは遺伝するってことに
なっていた。この辺りはきっと完全にフィクション(ファンタジー?)でしょう。

ラプラスの魔女ってタイトルだから、魔法なんかと思ったら、違うみたい。
物理の法則だ~みたいに説明されてて、それがすとんと落ちる。
私たち一般の(凡庸なって書かれてたけど!)人たちが原子で、無自覚であっても、集合体として
物理法則ができる~、この世に存在意義のない人なんていない~みたいな。
魔法っぽいけど、魔法じゃない。

ざくっとしたあらすじが書けない複雑なストーリーだけど、読んでてわかりにくくはない。
むしろ、無駄な要素がぜんぜんない。読み飛ばすところがぜんぜんない。というところがすごい。

自分が小説を書くときにも気をつけなくちゃ……(いや、レベル違いすぎますけどっ!)