ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

南潔『質屋からすのワケアリ帳簿 シンデレラと死を呼ぶ靴』

2018年10月24日 | 読んだ本(日本語)
南潔著『質屋からすのワケアリ帳簿 シンデレラと死を呼ぶ靴』

裏表紙にあるように、まさに「ダークミステリー」!

「モノをめぐって問題が起こるとき、悪いのはモノではなく人間の方だ」(p281)という言葉に、
質屋の経営者、烏島の性格が凝縮されています。

彼は値段の高いものではなく、人の不幸や欲望に値段を付ける。持ち込まれたワケアリの品を
コレクションしている一風変わった男性です。

今回は遺品整理を頼まれ、売れなかったものを持ち込んだ羽毛鷲(はげわし)さん
から買い取った、片方だけの靴が事件の鍵。

血塗られた靴なわけですが、そこには悲しい恋の想いが絡んでいます。
想いゆえに手を血に染めた人たちがいるのですが、烏島は警察に突き出すのでもなく、
私刑にする。それがなんともダークです。うん、ダークミステリー、言い得て妙。

女性主人公・千里にほのかな恋心を抱く宗介くんががんばるわけですが……
なかなか報われないねぇ。報われることあるのかなぁ。

あ、ちなみに千里はモノに触れたら、そこに宿る人間の記憶を読み取ることができるという
不思議な能力の持ち主です。