ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』

2016年06月17日 | 読んだ本(日本語)
レイモンド・チャンドラー著、村上春樹訳『ロング・グッドバイ』

ミステリ翻訳家を目指しているくせに、今頃読んだのか、という突っ込みはナシでお願いします(笑)。

なにしろ世の中には優れたおもしろい作品がたくさんありまして、順番に読もうと思っても
なかなか時間がないのです。

さて。

私立探偵フィリップ・マーロウが酔っぱらいのテリー・レノックスを助ける。
普通ならほっときゃいいのに(と駐車場係も言っているが)、彼にどこかなぜか
惹かれるものを感じてしまうフィリップ。その後、彼と夜、何度かバーでギムレットを飲み、
友情(のようなもの?)を育む。

ある日、テリーの男癖の悪い妻が惨殺される。アリバイもなく、テリーが犯人とされるのは
避けられない。テリーの無実を信じるフィリップはテリーのメキシコ逃亡に手を貸す(もちろん、
探偵なので、事後従犯にならないように詳しいことは訊かない)。

けれど、逃げ切れないと悟ったのか、テリーがメキシコで自殺してしまう。
そのことに負い目を感じるフィリップ(でも、はっきりそうとは書かれていない。ただ
感じ取れるだけ)。

フィリップは取り調べの過程で警官にひどい目に遭わされたり、ごろつきに脅されたり。

そんなフィリップに接触してきたのが出版社の編集者。アル中のある作家を見張ってほしいと
いうもので、その作家はなんとテリーの妻の姉の夫をかかりつけ医とする女性の夫(おおう、複雑)。

その作家の妻アイリーンはもんのすごい美人で、ワケあり。アル中の監視の仕事は断ったものの、
「主人がどこかへ行ってしまった。探してください」とアイリーンに頼まれ、結局作家を捜し出す。

けれど、そのうちアル中作家はなにやらあれこれ匂わせながらも自殺をしてしまう。

自殺ばっかりやな~と思ってたら、すぐに作家は他殺であるとわかり、作家を殺したのも、
テリーの妻を殺したのも……っという流れ。それで終わりかと思いきや、なんとテリーが……
という話で、テリーとかわした友情が最後は悲しいものになって終わります。

ああ、こんな短いあらすじ&感想では、ぜんぜんフィリップ・マーロウの魅力が伝わってこないな。

義理と人情(うまくいえないけど)、そんなものを大切にし、筋の通らないことが大嫌い。
強い者にへつらわず、痛めつけられても信念を貫く男。

あー、こんな表現でも彼の魅力は伝わらないな~。すみません。

そうとは書いてないけど、そうと読み取れる。そういうのがすごく魅力的で、味のある文章です。
長いのに飽きさせない。

それから、村上春樹さんのあとがきもおもしろかった。チャンドラーが時間をかけて作品を書く人だったと
知って、嬉しかった。