「ささやきの詩想レジスタンス―桜前線2000キロの旅 Les Souffleurs commandos poetiques Sakura Zensen―Journey over 2000km」のため3月14日にフランスから“レ・スーフルール・コマンド・ポエティック(ささやきの詩想レジスタンス)”のメンバー12名が来日し、3月14日、15日と風のアトリエ・月夜野演劇工房にて、オリビエ・コントを中心に稽古が行われました。
前回お知らせしたように、東日本大震災の深刻な被害状況により企画は自粛させていただきましたが、現在、来年・再来年の実施を念頭に置いた両国での話し合いが進められています。
“桜の開花とともに、人々に詩をささやく”-ささやきの詩想レジスタンスは、人々の時を少しだけ盗み、人と人との間に起こる小さな交流を詩をささやきささやかれることによってつくりだします。人々にほんの少しでも安らかな時間が訪れるよう――。
パリで活動しているフランスのアーティストたちとの交流は、2日間という短い時間でしたがとても凝縮された時間でした。
私たちは、芸術集団として、一人一人のアーティストとして、たくさんのものを学ぶことができました。
そして次回は、日本の人々に少しでも安らぎの時間を与えられるよう、お互いの再会を固く約束し、メンバーたちと別れました。
ご心配いただいた方々、ご協力いただいた方々に少しでも稽古場の様子をお伝えしたいと思います。
↑フランス、日本、両国の詩人や作家の人たちから提供していただいた詩は、自分の詩としてそれぞれのアーティストが持ち稽古に臨みました。(栗山がささやいている詩―“いのちのじかん” 寺澤正)
↑スーフルールはロシニョル(うぐいす)という長い筒を使って、人の耳にそっと詩をささやく。
柴崎美納がロシニョルでささやいている詩は、和合亮一“そしてあなたは目覚める”
“もはや風景はない。大気を満たす震え、風に舞いながら落ちるつぶやきのようなこの花吹雪が、太陽を覆い尽くしている。陶酔に誘う渦のなかで、あなたはときおり、この輝きをもっとよく覚えておくには暗闇が必要ではないかと思う。力ずくで連れ去らねばならないと思う。花を枝ごと抱え、その純粋な美しさを胸元に感じながら、荒々しくその場にとどまるのだ。-グラスに入った生きた花には青白い萼と、はかなげな脈があり、不動の目をした昆虫のように息をしている。そして、花びらが地面に向かうちょうどその一瞬、あなたの唇に触れ、なおも揺れて、そのまぶしいほどの生気を見せるとき、花びらが洩らすあの物悲しい声……”
工藤順子のささやいている詩―ヴァレリー=カトリーヌ・リシェ 無題
↑エヴァンタイユと呼ばれているほのかな匂いのする扇子を使うときは、ロシニョルでささやくより少し短めの詩をそっと耳にささやきます。
花芽は開花の神秘を知らない
舞い散る花びらはすでに自分の歴史を忘れてしまった
扉は開いている
田中悟のエヴァンタイユの詩
アイシャ・アルヌー “桜/花見する人々/満開の下の光景”7
↑月夜野の野外で、フランスのメンバーと風のメンバーがいくつかのグループになって、稽古が行われました。フランスのメンバーは日本の人々にささやくため、自分が選んだ詩を日本語で覚えていました。
↑オリビエ・コントを長に、スーフルールは全員で心を合わせて動きます。
↑“たまご”と呼ばれている形を全員でつくるメンバー。
ご協力いただいた方々、ご期待いただいた方々、本当に有難うございました。
次回、企画の再開が決まりましたら、必ずまたお知らせします。
東京演劇集団風は4月から、次回公演『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の稽古に入ります。
そして、4月から7月にかけては『肝っ玉おっ母とその子供たち』『ヘレン・ケラー』の全国巡回公演も始まります。
また元気な活動の様子を、こちらのBLOGでお伝えしていきたいと思いますので、どうぞご期待下さい。
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