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『ジャンヌ・ダルク〜ジャンヌと炎』九州・広島巡回公演 第8週目

2016-11-21 22:38:09 | 全国巡回公演
今週は、
11月14日(月) 宮崎日本大学中学校・高校
   15日(火) 上天草高校
   16日(水) 鹿児島情報高校
   17日(木) 八女農業高校
   18日(金) 福岡大学附属大濠中学校


での公演でした。

宮崎日本大学中学校・高校(同校さくらアリーナ)
宮崎日本大学中学校・高校は本来、10月5日に公演を行う予定になっていましたが、前日までの台風の影響で中止になっしまった学校でした。
しかし、学校の先生方と劇団の話し合いから、何とか今年の公演が実現した学校です。
開演前に担当の先生からの挨拶で、「今年の公演はできないと思っていた。一度は中止にしました。しかし、高校3年生にとっては最後の芸術鑑賞。何とか今年、この公演を実現したかった」と生徒の皆さんの前で話していました。
この話し合いのために学校に伺っていたのは、語り手役の柳瀬太一でした。
風の劇団員もこの公演のためであれば、どんな距離からでも学校に向かい宮崎日本大学での『ジャンヌ・ダルク』を創りたいと切に願っていました。
先生方と劇団の願いが公演という形となって結ばれた一日でした。



前日は日曜日にもかかわらず部活動に出ていた生徒さんのお手伝いもありました。



そして、宮崎日本大学中学校・高校では2014年に『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』の公演を行っています。
ほとんどの生徒の皆さんは、髙階ひかりのアニー・サリバンを観ているので、ジャンヌ・ダルクを演じる髙階にとまどいながらも「サリバン先生ですよね?」と確認していました。



上天草高校(同校体育館)
上天草高校は全校生徒が300名の学校ですが、観劇中の真剣な表情、そしてピンと張り詰めた緊張感は驚きを覚えました。
沈黙の中でも生徒さんの視線は、ジャンヌの生きる1分、1秒を逃さぬかのように舞台に向けられていました。



そして、終演後には図書委員、放送委員、バドミントン部の皆さんが片付けの手伝いをしてくれました。
その姿を見ていた他の部活動の生徒さんが参加してくれて、当初20名くらいのお手伝いがこんなに参加してくれていました。



何よりも印象的だったのは、先生方が率先して片付けに参加してくれる姿でした。
生徒さんと共に動き、声を出し、片付けを眺めていたみんなに声をかけ、参加する勇気のきっかけを創りだす。
片付けを作業としてではなく、生徒と共に楽しみながら団結して動いている姿は、一日だけ公演に伺い、また次の場所へ向かってしまう私たちには、決してできない上天草高校の日々の積み重ねを感じ、とても素晴らしい時間でした。



鹿児島情報高校(宝山ホール)
鹿児島情報高校は3年前に『Touch〜孤独から愛へ』以来で6回目の風の公演です。
午前中の公演とは思えないくらい開演直後の彼ら、彼女たちの盛り上がりは目を見張るものでした。
そして、話が進むごとにその盛り上がりは集中力となり、時に笑いを起こしながらも真剣な大人の表情も見せてくれていました。



終演後にはバックステージツアー、座談会も行われ、出演者の話を興味深く聞いていました。







演劇部の皆さんは衣装や小道具を実際につけてみることから、俳優だけではなくそれを支えるスタッフの存在にも触れようとしていたように感じました。



八女農業高校(同校体育館)
八女農業高校は2011年の『Hamletーto be or not to be』でも伺いました。風は3回目の出会いになります。
体育館での公演は、生徒の皆さんはフロアに座っての公演となります。
劇場で観劇を行うのとは違い、一人ひとりに座席はありません。しかし、その代わりに隣や前後の境界線が存在しなくなります。
この日の公演は、舞台と最前列が少し離れていましたが、登場してきた俳優の呼びかけに即座に反応し全校生徒が舞台により近いところまで座る位置を移動してくれました。劇場での公演では決してできない瞬間に、胸が熱くなりました。
せっかくの出会いの瞬間を舞台も客席も、お互いに求め合っているようにして芝居が始まっていきました。



終演後は生徒会の皆さんが片付けを手伝ってくれました。
舞台を解体していく中で、出演者やスタッフからどのようにして舞台装置が作られたのかを、真剣に聞き入っている姿がとても印象的でした。





福岡大学附属大濠中学校(ももちパレス)
この週、最後の公演は初めて風の公演を行う中学校です。
ももちパレスに向かう途中、大濠中学校の正面をバスが通り、その近代的な建物に驚きながらも、数時間後には劇場で出会うことができると期待に胸が躍りました。





終演後、退場しながら「難しいと思ってたけど、観ていくうちに観ちゃってたよね。」と会話していく生徒さんもいました。



確かに、ジャンヌ・ダルクの物語は世界史を勉強していない中学生には難しいと思われますが、演劇を観ることが歴史的人物との出会いを生み、その人間への関心や興味を創りだし、観る自分を自身の力から創りだしていくのではないかと感じました。
観劇の最中は、中学生らしい楽しんでいる笑い声と、集中から音も立てず刺さるように舞台を見つめる真剣な姿の両方が舞台から見えました。



終演後に担当の先生の声かけもあり、ジャンヌ・ダルクと話をしてみたいと、急遽、座談会が行われました。

11月半ばを過ぎ、ジャンヌ・ダルクのツアーは後半に入りました。
このツアーに参加して以来、芸術鑑賞の場の中で、演劇が様々な願いや発見の場、人間の可能性を生み出していることを実感しました。
そして、一人の願いや可能性をそこに関わる誰かに結びつけ、より多くの出会いを生み出していることを観劇している客席の中から見ることができました。

今、学校に通っている生徒に観せたいという願い、ジャンヌの生きた瞬間と出会いたい、難しいと思っていても観てしまっている自身との出会い。これらは全て、客席にいる生徒の皆さんの演劇を見る姿が、小さな願いや出会いの瞬間を一つひとつ結びつけています。
この小さく結ばれた願いが、繋がりをもって各学校の絆となってほしいと願います。

アンセラン/ピエール・コーション 白石圭司

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