夏の新作『母が口にした「進歩」その言葉はひどく嘘っぽく響いていた』の上演を終え、東京演劇集団風では秋の全国巡回公演がスタートしました。
2016年秋は、『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』が西日本・東日本地域を、『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』が九州地方、広島県を巡演します。『ジャンヌ・ダルク』の九州でのツアーはこの旅が初めてとなります。
『ヘレン・ケラー』は9月23日 大阪府の槻の木高校で、『ジャンヌ・ダルク』は9月26日 大分市の大分大学教育学部附属中学校でツアーの初日を迎え、舞台を通して中学生、高校生のみなさんや先生たちと出会う旅を続けています。
出演するメンバー、ひとつひとつの公演の準備を重ねてきたメンバーを含め、ほぼすべての風のメンバーが関わりつくっていく秋のツアーがスタートしました。人と人とが出会うことの可能性を探しながら、舞台を通じてそこにどんな瞬間が生まれるのか懸けていきたいと思います。
『ジャンヌ・ダルク』第1週目大分県・大分舞鶴高校での公演後、撤去を手伝ってくれた文化委員会、バスケットボール部のみなさんと。
『ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎』九州・広島公演第1週目は、
9月26日 (大分県)大分大学教育学部附属中学校
27日 (佐賀県)白石高校
28日 (佐賀県)神埼清明高校/神埼高校
29日 (大分県)佐伯鶴城高校
30日 (大分県)大分舞鶴高校
10月1日 (広島県)尾道中学校・高校
での公演を行いました。
大分大学教育学部附属中学校
公演後に行われたバックステージの様子
大分大学教育学部付属中学校での風の公演は今回で11度目となりました。暑い体育館でしたが、生徒さんたちはじっと舞台に視線を注ぎ、何が起きているのか、何を伝えたいのか考えながら鑑賞している様子でした。公演後、生徒さんたちの観劇の様子を後ろから見ていた演出の浅野は「生徒さんたちの“見る力”は本当にすごかった、驚かされた」と俳優たちに、また座談会で生徒さんたちに話していました。公演後には文化祭で演劇に取り組む3年生のみなさんが舞台裏や撤去の体験、座談会に参加しました。私もみなさんの表情や話しから、ものごとに真剣に向き合い、考えているみなさんの日々の様子に触れさせてもらったように思います。みなさんのつくる文化祭、すてきな時間となりますように!
公演後の座談会で。
白石高校
まだまだ真夏のような暑さの九州、白石高校の体育館での公演も熱気に包まれました。その暑さの中で、最後まで、みなさんが舞台とともにいてくれたことがうれしかったです。公演後何人かの生徒さんが「暑かった、けど、楽しかったです」と声をかけてくれました。小さな瞬間でも、全校のみなさんで観た舞台やその空気がみなさんの心に残ってくれたら嬉しいです。公演後の撤去ではバレー部、バスケットボール部のみなさんがお手伝いしてくれました。一緒に撤去をしながら、みなさんの元気な姿に触れ、話し、楽しい時間でした。みなさんありがとうございました!
撤去を手伝ってくれたバレー部、バスケットボール部のみなさん。
神埼清明高校/神埼高校
神埼清明高校の生徒さん、先生たちと。
9月28日は神埼市中央公民館で、午前中に神埼清明高校、午後に神埼高校の公演を行いました。客席の雰囲気も違い、私たちも今この瞬間に、どんなふうに客席を、みなさんを感じながら舞台をつくれるのかどきどきしながら公演に向かいました。神埼清明高校の公演後には生徒さんが「普段生の舞台に触れる機会などない私たちに貴重な経験をさせてもらいました」と話してくれました。神埼高校の公演後には生徒会長さんが「みなさんはどんなシーンが心に残っていますか、心の中で考えてくれても構いません」と生徒さんたちに問いかけてくれました。生の舞台を通して、日常とは違う発見、また日常を見つめ返すような発見がみなさんのなかに生まれてくれたらと願っています。
神埼高校の生徒会長さん、今回の公演で任期が交代されるそうです。お疲れ様でした!
佐伯鶴城高校
佐伯鶴城高校の公演は佐伯文化会館で行われました。「この物語は“声”をテーマにしています。みなさん一人一人の中に美しい世界、美しいものを持っていると思います。社会の矛盾や、その心を圧殺するようなものもあること、そのようなことも感じながら劇に触れてほしい」と開演前にお話をしてくれた副校長先生の言葉が、とても心に残っています。すっと静まる空気の中に、みなさんが何を見ているのか想いながら舞台に立っていました。芸術鑑賞の場という時間は2時間という短い時間ですが、その時間への先生たちの生徒さんたちへの強い思いがあることも感じさせてもらいました。副校長先生が話してくださった言葉の一端でも舞台を通して感じてもらえることがあったらうれしいです。
大分舞鶴高校
公演後のバックステージの様子
大分舞鶴高校の公演は学校の体育館で行われました。全校1000人近くになる生徒さんたちが集まった迫力のある客席。じっと舞台の出来事を見つめ、反応しながら、刻々に、最後まで共に舞台をつくってくれました。公演後には文化委員会のみなさんがバックステージを見学し、撤去を手伝ってくれました。みなさん一人一人とお話しながら、質問を受けながら、感想を聞きながらという公演後の時間は、様々なことに興味を持って日々をおくっているみなさんの学校生活を少し覗けたような、嬉しい時間となりました。撤去ではバスケットボール部のみなさんも手伝ってくれました。ありがとうございました!
公演後のバックステージの様子
尾道中学校・高校
撤去終了後、演劇部のみなさんと。
旅班は九州から広島へと移動し、今週最後のステージとなったのは尾道中学校・高校(同校体育館)での公演でした。朝7時に学校に到着した私たちを、準備の手伝いのためにラグビー部70人のみなさんが待っていてくれました。尾道中学校・高校は翌日が文化祭で、文化祭の準備のために学校全体が盛り上がっている風景があちこちで見られました。生徒さんたちの厳しく、真剣な眼差しに、舞台に立ちしっかりと対峙できるか、生の舞台だからこそ大切なものを感じさせてもらいました。公演の進行、舞台の撤去などは演劇部のみなさんが行ってくれました。「体育館に入ったときにまずびっくりしました。音や光と演技がぴったりと合っているところがすごかった」などの感想を聞くことができました。そして学年を問わず、一緒に舞台をつくるために仲よく活動されている演劇部の暖かい雰囲気にも触れることができました。
舞台の搬入、撤去を手伝ってくれた生徒さんたち。
『ジャンヌ・ダルク』の旅班は広島から九州へと戻り、来週は長崎県から公演が始まります。ひとつひとつの公演と、出来事を振り返りながら、生徒のみなさんの心に何かが生まれることを願いながら、旅は続きます。
ジャンヌ・ダルク役/白根有子
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