ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

「ゲルニカ」・・・やっと行けたパルコ劇場

2020年09月11日 | 演劇

【ゲルニカ】

パルコ劇場

脚本 長田育江

演出 栗山民也

遠い遠い昔にマドリードのプラド美術館でピカソの「ゲルニカ」を見た。

新婚旅行でスペインを訪れたときのこと。

ただ、怖い絵だな~とぼんやり見た。

歴史が苦手だったのだ。

展示されたいた子供のころのピカソの絵を見て、天才は子供のころから絵がうまいんだなあ、などとぼんやり眺めて回っていた。

もっとちゃんと見ておけばよかった、と悔やまれる・・・。

お芝居の内容は・・・

現在上演中なのであんまり細かくは書けないけれど。

1936年、スペイン、バスク地方

戦いを好まず、話し合いですべてを大きな樫の木の下に集って決めてきた平和なゲルニカの民は、市民の士気喪失の実験のための爆撃によって殺された。

その事実もなかったことにされるところだった。

結婚式を当日に控えて、何不自由なく幸せに暮らしていたゲルニカの元領主の娘サラ(上白石萌歌さん)の運命とともにゲルニカの悲劇がじわじわと迫ってくる。

サラの厳格な母親マリア(キムラ緑子)さんの凛とした中に秘める報われない愛や寂しさや悲しさ。

サラを純粋に愛していたのかと思えば、苦悩しながら冷酷に置き去りにするイグナシオ(中山優馬)

戦火を潜り抜け、真実を伝えようと奮闘する二人の記者クリフとレイチェル(勝地涼さんと早霧せいなさん)

抒情的な小説のような記事で戦場を美しく表現するクリフにレイチェルが激しく意見する。

見たままの事実を伝えなければいけない、

自分たちは事実とは違ったことに書くこともできる。

書かなかったことは歴史の中で無かったことになる。

というような内容だったと思う。

これはまさに今私たちの周りで起きていること。

公的な文書が改ざんされたり、破棄されたり・・・

覚えている人がいなくなればなかったことになってしまうのだ、ということが実感できた気がする。

そしてまた、「戦争は人々の普通の暮らしを奪う」というようなセリフもあった。

今のコロナ禍でさえ、少し前までの普通の生活ができなくなっている。

「平和」って尊い。


爆撃が終わり、静かな静かな舞台の上に、焼けたかしの木のシルエット。

そこに重なって次々と写し出されるゲルニカの絵のいくつものカット。

ちょっとコミカルにも見えるピカソの画風がより悲惨さや悲しさ、無念さをそそって、胸が痛む。



長田さんの脚本はとにかくいつもセリフが心に響く。

すっとストレートに心に刺さる気がする。

心の中を伝える言葉が的確でわかりやすくて好き。


それにしても、やっとパルコ劇場に行くことができた。

4月初めの「ピサロ」(渡辺謙さん主演)

6月の「佐渡島他吉の生涯」(佐々木蔵之介さん主演)

はいずれも公演中止で払い戻し。

7月の三谷幸喜さんの「大地 ソーシャルディスタンスバージョン」(大泉洋さん主演)はチケットが取れたのに、上演されたのに、義母の介護中で泣く泣く払い戻し。

これは、イープラスの生配信を観ることができたけど。

4度目にしてやっと劇場に足を運ぶことができた。

入り口はすっかりスタイリッシュに様変わり。

上演前や休憩時間にはテラスに出て外の空気を吸こともできる。

日影が無いので夏はきびしいかも。

夜はきれいかもしれません。

旧パルコ劇場で最後に観た舞台は中井貴一さん主演の「メルシ―おもてなし」という落語をお芝居にしたコメディーだった。

その時のロビーは

パルコの中にあるとは思えないレトロ感。

売店では珈琲などと一緒に、おばさんがホットプレートでおにぎりを焼いて売ってたりもした。

この素朴な感じが好きだったけど、今はパルコの中、って感じになった。

ちょっと寂しい。

気になるコロナ対策は・・・

靴裏の消毒に始まり、検温、手指の消毒。

座席は一人おき。

前後も互い違い。

このところ、前の席に頭が大きな人、座高の高い人が座る率が高かったので、ものすごく快適に観ることができた。

隣の席に荷物を置けるのもうれしい。

少しずつ、演劇やコンサートが復活しているけれど、なんとなく様子を見ながらチケットを買うようになった。

だって、中止になった時のがっかり感がハンパない。

さらに今は、自分が感染することよりも、それによって義母の介護のローテーションが崩れたり、義母に感染させてしまったり、というのが怖い。

久しぶりに渋谷に行ったけれど、すべてを素通りして帰ってきた。

観劇の前や後にご飯を食べたりお茶したり、ということもなく、一人ですっと行ってすっと帰ってきた。

友達と誘い合い、美味しいものを食べながら感想を話したり・・・ということが普通にできる日々に一日も早く戻れることを願うばかり。

そして、この日の夜は鶴瓶さんの「スジナシ」を、劇場には行かず自宅で生配信で観たのでした。

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「ちりとり」をチョイスしたら思い出した「醤油さし」のこと

2020年09月08日 | 思い出

日本橋高島屋で開催されていた民藝展を見に行って、寄木細工のちりとりを買ったことを数日前に書いた。

ちりとりはとても使いやすくて、

テーブルの上の食べこぼしとか、

シュレッダーで粉砕された小さな紙片がこぼれたのとか、

ささっと掃けてストレスフリー。

それにしても

あのとき民藝展には実にたくさんの素敵なものが展示されていた。

美しい色の陶器やガラス。

小さくて軽くて使いやすそうな鉄のフライパン。

伝統の織物。

幻想的なろうそくと燭台。

どれも立ち止まってじ~っと眺めて欲しいな~と思いつつ結局買ったのは「ちりとり」。

あんなにいろいろあったのに、ちりとりを買ってきたんだあ、なんて思い返していたら、遠い昔の「醤油さし」を思い出した。

それは、高校を卒業後、進学のために上京して間もないころのこと。

すでに、東京にいた(正確には神奈川だけど)3つ年上のイトコが、食事に誘ってくれた。

その日は叔父と叔母も上京していて、一緒にランチをごちそうになった後、入学祝に何か新生活に必要なものを買ってあげる、と渋谷東急の食器などを売っている売場に連れて行ってくれた。

好きなものを、と言われても、まったく思い浮かばなかった私は、その時ホントに持っていなかった「醤油さし」を指さした。

おそらく1000円したかしないかのどこにでも売っている普通の醤油さし。

あの時の3人の「え?」っていう顔は今でも目に浮かぶ。

私は嬉しくて、大満足だったのだけれど、

それだけではなんだかちょっと、と思ったらしい叔母が一瞬消えたと思ったら図書券を買ってきて手渡してくれた。

あとになって、なんでもう少し気の利いたものを思いつかなかったんだろう、と申し訳なく思ったものだ。

デパートの食器売場なんて行ったことが無かった田舎から出てきたばかりの女の子には、東急の食器売場はキラキラしすぎてどうしていいかわからなかったのかもしれない。

その時の醤油さしは恐ろしく丈夫で、結婚するまで引っ越しのたびに持ち歩き、数十年たった今も母が使っている。

叔父は10年以上前に亡くなり、叔母は90歳を過ぎて施設で暮らしている。

あの時も、その後も彼らはいつも穏やかで優しくて、その思い出は大切な宝物だ。

「ちりとり」をチョイスしたことで、思いがけない引き出しが開いた。

二度おいしい、とはこのことだろうか・・・。

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いつもと違うフラワーアレンジレッスン

2020年09月07日 | フラワーアレンジメント

日本橋高島屋の民藝展を堪能した友人と私は、

本来の目的地である東日本橋のお花屋さん「gigi」さんに向かう。

そこでフラワーアレンジの単発レッスンを受けることになっている。

実は今年の2月、この友人がこのお花屋さんでお片付けのセミナーとアレンジレッスンをセットにしたイベントを催した。

私も参加することになっていたのだけれど、その直前に気管支を痛めて、咳が止まらない。

ちょうどコロナが流行り始めてきたころ。

原因ははっきりわかっているけれど、周りの方たちが不愉快な思いをしてはいけないので、欠席した。

で、私が残念がっていたため、彼女が今回のレッスンに誘ってくれた、というわけだ。

東日本橋には以前に何度か「マルニ木工」という家具メーカーのショールームを訪ねたことがあったが、担当の営業さんが辞めて以来だなあ。

gigiさんのお店は、そのショールームからほど近い小さなお店。

シンプルだけどディスプレイも素敵。

この日の花材は秋の気配が漂う色。

撮影があってたくさん仕入れたので普段ならレッスンには入れられないちょっとお高い紫陽花が入っています。

今日はラッキーですね、と先生はおっしゃる。

そのアジサイをはじめとして、

ベル型のクレマチス

秋明菊

段々菊

フジバカマ

スカビオサ

ヤマゴボウ

木いちご

ゼラニウム

などなど・・・

野に咲くイメージでアレンジするらしい。

最初に大きい紫陽花の位置を決め、どんどん挿していく。

ヤマゴボウが大きくて扱いが難しそうだな、と思っていたけど、ばさっと入れると意外といい仕事をしてくれる。

高さとか、お花の向きとか先生がちょくちょく教えてくれて、なんとなく出来上がりました。

確かにとても自然で野に咲くイメージ。

淡い色合いも素敵。

ゼラニウムのいい香りもする。

買ったみたいラッピングしてもらい、お菓子もいただいて、大満足。

家に帰って早速玄関に飾ります。

帰りがけにお店で売っていた「黒ほおずき」がかわいくて、ついつい買ってしまう。

これはちょっと「和」っぽい気がして、床の間に飾る。

ふつうのほおずきだと、茎はピシッとまっすぐだけど、

この黒ほおずきはちょっとうねっとしてるのがたまらない。

ここ数年のうちに、最寄りの駅の周りのお花屋さんが次々と閉店してイオンのお花売り場でしか花を買えなくなって久しい。

こんなことを言うと申し訳ないが、いつも同じようなお花だし、なんといっても鮮度が悪い。

こんなに傷んで葉っぱや花が茶色くなってるのに値段はそのままってどういうことなんだろう、と癒されるどころか憤る。

コロナ禍のステイホームで都内へお買い物に行くこともなかった。

久々のデパートやお花屋さんでストレスが一気に解消された気がする。

声をかけてくれた友人に感謝感謝

今月はいつも通っているアレンジスクールでも秋の壁掛けを作ることになっている。

まだ暑いけれど、日は短くなって、庭でセミも鳴かなくなった。

暑いこと以外何もなかった夏が終わろうとしている。

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素敵な「ちりとり」を衝動買い!・・・民藝展で見つけた寄木細工

2020年09月04日 | イベント

ものすごく久しぶりに「百貨店」に行った。

日本橋高島屋。

日曜日の午後、東日本橋にあるお花屋さんでフラワーアレンジのレッスンを一緒にどう?

と友人が誘ってくれたので、「もちろん行く!」と出かけて行く。

その前に

日本橋高島屋で「民芸展」をやっているので、それを覗きがてらランチも。

コロナ禍のステイホーム中は、ビックリするくらい買い物に出かけなかった。

夏物バーゲンも参加しないまま秋の気配。

いつもの日曜日ならこのテのイベント会場は「密」どころの騒ぎじゃない。

けれど日曜日とは思えないくらいすいている。

おかげでゆっくり見ることができた。

「民藝」って聞くとなにやらお土産感が漂うけれど、とんでもない

全国の焼き物や織物、ガラスや鉄製品、木工、家具・・・

盛りだくさん、しかもデザインが洗練されている。

誘ってくれた友人は色々と詳しくて、ついついただぼんやり眺めている私に解説してくれる。

もう一人詳しい友人がいるが、こういうところに来るときは、詳しい人と一緒だと10倍は楽しい。

地方からやってきているお店の人やそれを作った作家さんなどが作品についての説明や熱い思いを話してくださるのもたまらない。

どれもこれも欲しくなるけれど、この後お花をアレンジして持って帰ることを考えると鉄のフライパンは重たくて無理、とか

大きなお皿は邪魔になるし・・・とか一人で葛藤しながら歩き回る。

そんな中、2回見に行ってあきらめきれなかったのが寄木細工の「ちりとり」。

箱根の寄木細工というと温泉のお土産やさんで売っている箱っぽいのを想像しちゃうけれど、「ちりとり」はとても柔らかくてしなやか。

説明してくれた若い作家さんによると、シート状(突板)のタモの寄木を和紙に貼ったとか。

ヘリンボーン柄みたいで素敵

縁や持ち手の所はウォルナットで補強している。

そして、軽い。

ちりとりにしてはややお高めだけど、1万円を超えるわけでもないビミョーなライン。

でも、何十年も一生懸命働いてきたんだからちょっとくらい贅沢(?)しちゃおう、と買っちゃいました。

ややかさばるけど軽いし・・・。

贅沢がちりとりっていうのもちょっと・・・だけど。

実は私がちりとりを買いたくなったのには訳がある。

10年以上前、どこか地方のお土産で、卓上サイズの和紙のちりとりと箒のセットを買って、ずっと使っていた。

大きさも使い勝手もちょっとの食べこぼしなどをささっと掃くのにちょどいい。

ところが、和紙のちりとりのほうがさすがに使いすぎてよれよれになってきていた。

箒ではいてもゴミがうまくちりとりに入らない。

箒は健在なので、使いたいけどプラスチックのちりとりとセットじゃなんだか味気ない。

と思っていたところにこのちりとりが現れた。

一回り大きいけど、箒の雰囲気やテーブルの色にぴったり

誰かのセリフにあった「やっと会えたね」って感じです。

縁が補強されているのでゴミもすっと受け止めてくれる。

和紙のちりとりは、庭のテーブルで作業をしたとき用にもうひと働きしてもらおう。

外なら少しくらい取りこぼして大丈夫

高島屋のお蕎麦屋さんで「はも」の天ぷらが付いた冷たいおそばを食べて、

しっかり腹ごしらえをし、怒涛のおしゃべりをした私たちは、このあと東日本橋に移動してフラワーアレンジのレッスンを受けるのでした。

※後日、リモートで説明するときに「寄木細工 ちりとり」で検索したら、説明してくれた作家さんが一番にでてきました。

るちゑ

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