ゆるゆるらいふ

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【観劇メモ】ゲゲゲの先生へ

2018年10月18日 | 演劇



「ゲゲゲの先生へ」
原案 水木しげる
脚本・演出 前川知大
東京芸術劇場プレイハウス

なんとも不思議な舞台だった。

そもそも、前川氏の主宰する「イキウメ」の舞台は、いつも現実世界と隣り合わせのちょっと異次元の世界、みたいな不思議な空間に迷いこむっていう感じだけど、今回は最初から不思議世界。

もわっとした舞台セットがもう怪しいし、出てくる人たちも、子供の怖い夢の中に出てくる
「これはいつものお母さんじゃない❗何かに身体を乗っ取られてるんだ❗」的な雰囲気を醸し出している。

なんと言っても、いつもシュッとして、誠実なイメージの佐々木蔵之介さんが、うさんくさくて、だらしなくて、とにかく嫌な感じ。
おしりをボリボリ掻きながら、煙つきのおならなんてしちゃう。

「ゲゲゲの~」なんて言うタイトルから水木しげるさんの半生的なお話なのかな、なんてぼんやり思いながら行ってみたけど、これは水木しげるさんへのオマージュで、前川氏自身が色んな妖怪の力を借りて 現実世界を強烈に皮肉っている。

佐々木蔵之介さんが演じるのは半妖怪の詐欺師。
苗字が「根津」さん。
飄々と嘘をつき、にたっと意地悪な笑みを浮かべ、卑怯な裏切りをくりかえす。
途中から顔さえもねずみ男にしか見えなくなる。

けれど、子供のころに亡くなってしまった(どうやら殺されたらしい)一緒の施設にいた弟分が時を超えて現れるときの優しい笑顔に救われる。

松雪泰子さんの雪山の精霊の美しいこと。

白石加代子さんの砂かけばばあっぽい土地神の存在感のハンパないことったら。

我が子を政策の犠牲にされた母親の悲しみが産み出した妖怪コケカキイキイに池谷のぶえさん。
「コケカキイキイ」と繰り返し叫びながら街を破壊していく姿が滑稽でチャーミングでそして悲しい。

政治と医療の癒着、経済格差、勝手にルールを変える権力者たち。
その犠牲になる無力な市民。

社会がすさんでくるにつれ、一度は姿が見えなくなる妖怪たちが、やがて再び姿を現し始めて、希望を感じつつ幕が降りる。

見終わった後「???」って部分も残りつつ、不思議な世界を妙にリアルに垣間見た気がした。

今まで観た「イキウメ」の舞台とは異次元具合がちょっと違ったけれど、それはそれで新鮮かも。

座ったままで異次元が体感できたちょっと得した気分の舞台でした













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