昨年受講していたセミナーの受講生のみなさんに人気があった脚本・演出家の中屋敷法仁氏。
昨夏の特別セミナーで彼のワークショップがあったのだけれど、残念ながら都合が悪くて参加できなかった
このとき、参加した女性受講者の方たちは口々に素敵だった、とおっしゃる。
グループワークでご一緒した男性も、彼が主宰する劇団「柿喰う客」の大ファン。
今回は中屋敷氏と俳優の矢崎広さんの相思相愛ユニット、とのこと。
ユニット名は「なかやざき」
劇場は新宿御苑駅の近く、シアターサンモール。
中屋敷氏は、6月に観に行った、野田秀樹さん脚本の舞台「赤鬼」の演出をなさっている。
この時はそもそも舞台が円形ってこともあり、立体的な円形の舞台で海や陸地を見事に表現していた。
内円と外円に段差があり、しかも全体的に傾いている舞台は、その上を動き回る役者さんは大変だろうなあ、
なんて思って観ていた。
今回の舞台も、円形ではないものの、舞台上にハート形にくりぬかれた大きな穴があって、その周りを出たり入ったり、
というもので、系列が似ているような・・・。
ほとんど何の予備知識もなく、矢崎さんも知らずに、「フランダースの犬」のパロディなのかな、と
お笑い系を想像して行ってみたのだけれど、とんでもない
もちろん随所に笑いはちりばめられてはいるものの、内容はシリアス。
まずは出演者全員が舞台に立って、「フランダースの犬」のラストシーンのおさらい。
「パトラッシュ、疲れたのかい?おやすみ。僕も疲れたよ。なんだかとても眠いんだ・・・」
大聖堂のルーベンスの絵の前でネロとパトラッシュが息絶えるあの有名なシーンだ。
お話の舞台は第1次世界大戦下のドイツ。
士官学校時代から優秀なエリート軍人ヒュンケルに矢崎さん。
とんとん拍子に出世して、第3部隊の司令官となる。
就任の挨拶で彼はこう言い放つ。
自分は「フランダースの犬」のネロがきらいだ。
ひもじさで死ぬくらいならパトラッシュを殺してその肉を食べ、生き延びて願いをかなえる、と。
犬と一緒に息絶えるような負け犬にはなりたくない、と。
作戦を立てるときに、ただ一人、冷静に見通しを立てた彼の意見は聞き入れられず、
出世のために、不安材料に目をつぶった第1、第2部隊の司令官の指示通りに動いた結果、
結局撤退することとなり、前線の第3部隊は見捨てられる。
ヒュンケルが負け犬と見下していた劣等生バラックといつしか友情が芽生え、
大けがをしたバラックをなんとか連れ帰ると、作戦の失敗の罪をすべてバラックにかぶせて殺すよう命じられる。
その時に上官は、彼が就任挨拶で述べた「フランダースの犬」の話を引き合いに出すのだが、
ヒュンケルにはバラックを殺すことがどうしてもできない。
劇中、バラックがヒュンケルの失敗を自分のものとしてかぶる場面でバラックはこう言う。
「これがバカの使い道だ。」
あいつはバカだからこんな失敗をしても仕方ない、あいつならやるだろう、とみんなが思う、
優秀な君が失敗するのとは訳がちがう、と。
ちょっと違うかもしれないけれど、災害や大きな事件が起こった時や、政治家が事件を起こしたときに、部下や秘書のせいにして
トカゲのしっぽ切りみたいに終結するのと同じ構図を見たような・・・。
結局、もう一人の友人の裏切りでこの二人が命を落としたことにより、すべての責任をなすりつけられる死人に口なし状態で、
上官たちは自分たちの責任を回避して、友人は出世していく・・・
というなんとも後味の悪い、でもとてもリアルな内容だった。
中屋敷氏はこの脚本を19歳の時に書いたという。
「才能がある」ってこういうことを言うのね
私は演劇のパンフレットを熟読するのが好きなので、大抵の場合は開演前に買うことにしている。
でも、有名人が出演する商業演劇に匹敵するくらいちょっとお高いので、
どうしようかな~と とりあえずスルーしたのだけれど、あまりの面白さに終演後、迷わず購入・・・
が、このパンフレットはちょっといただけなかった・・・
出演者がイケメンぞろいで、レンジャー系や仮面ライダー系の方たちも交じっているせいなのか、ほぼ写真集だ
そういえば観客は女性がほとんど・・・。
うかつだった・・・
ま、それはともかく、お芝居が面白かったことには変わりがない。
次回は「柿喰う客」の作品もぜひ行ってみたい
昨夏の特別セミナーで彼のワークショップがあったのだけれど、残念ながら都合が悪くて参加できなかった
このとき、参加した女性受講者の方たちは口々に素敵だった、とおっしゃる。
グループワークでご一緒した男性も、彼が主宰する劇団「柿喰う客」の大ファン。
今回は中屋敷氏と俳優の矢崎広さんの相思相愛ユニット、とのこと。
ユニット名は「なかやざき」
劇場は新宿御苑駅の近く、シアターサンモール。
中屋敷氏は、6月に観に行った、野田秀樹さん脚本の舞台「赤鬼」の演出をなさっている。
この時はそもそも舞台が円形ってこともあり、立体的な円形の舞台で海や陸地を見事に表現していた。
内円と外円に段差があり、しかも全体的に傾いている舞台は、その上を動き回る役者さんは大変だろうなあ、
なんて思って観ていた。
今回の舞台も、円形ではないものの、舞台上にハート形にくりぬかれた大きな穴があって、その周りを出たり入ったり、
というもので、系列が似ているような・・・。
ほとんど何の予備知識もなく、矢崎さんも知らずに、「フランダースの犬」のパロディなのかな、と
お笑い系を想像して行ってみたのだけれど、とんでもない
もちろん随所に笑いはちりばめられてはいるものの、内容はシリアス。
まずは出演者全員が舞台に立って、「フランダースの犬」のラストシーンのおさらい。
「パトラッシュ、疲れたのかい?おやすみ。僕も疲れたよ。なんだかとても眠いんだ・・・」
大聖堂のルーベンスの絵の前でネロとパトラッシュが息絶えるあの有名なシーンだ。
お話の舞台は第1次世界大戦下のドイツ。
士官学校時代から優秀なエリート軍人ヒュンケルに矢崎さん。
とんとん拍子に出世して、第3部隊の司令官となる。
就任の挨拶で彼はこう言い放つ。
自分は「フランダースの犬」のネロがきらいだ。
ひもじさで死ぬくらいならパトラッシュを殺してその肉を食べ、生き延びて願いをかなえる、と。
犬と一緒に息絶えるような負け犬にはなりたくない、と。
作戦を立てるときに、ただ一人、冷静に見通しを立てた彼の意見は聞き入れられず、
出世のために、不安材料に目をつぶった第1、第2部隊の司令官の指示通りに動いた結果、
結局撤退することとなり、前線の第3部隊は見捨てられる。
ヒュンケルが負け犬と見下していた劣等生バラックといつしか友情が芽生え、
大けがをしたバラックをなんとか連れ帰ると、作戦の失敗の罪をすべてバラックにかぶせて殺すよう命じられる。
その時に上官は、彼が就任挨拶で述べた「フランダースの犬」の話を引き合いに出すのだが、
ヒュンケルにはバラックを殺すことがどうしてもできない。
劇中、バラックがヒュンケルの失敗を自分のものとしてかぶる場面でバラックはこう言う。
「これがバカの使い道だ。」
あいつはバカだからこんな失敗をしても仕方ない、あいつならやるだろう、とみんなが思う、
優秀な君が失敗するのとは訳がちがう、と。
ちょっと違うかもしれないけれど、災害や大きな事件が起こった時や、政治家が事件を起こしたときに、部下や秘書のせいにして
トカゲのしっぽ切りみたいに終結するのと同じ構図を見たような・・・。
結局、もう一人の友人の裏切りでこの二人が命を落としたことにより、すべての責任をなすりつけられる死人に口なし状態で、
上官たちは自分たちの責任を回避して、友人は出世していく・・・
というなんとも後味の悪い、でもとてもリアルな内容だった。
中屋敷氏はこの脚本を19歳の時に書いたという。
「才能がある」ってこういうことを言うのね
私は演劇のパンフレットを熟読するのが好きなので、大抵の場合は開演前に買うことにしている。
でも、有名人が出演する商業演劇に匹敵するくらいちょっとお高いので、
どうしようかな~と とりあえずスルーしたのだけれど、あまりの面白さに終演後、迷わず購入・・・
が、このパンフレットはちょっといただけなかった・・・
出演者がイケメンぞろいで、レンジャー系や仮面ライダー系の方たちも交じっているせいなのか、ほぼ写真集だ
そういえば観客は女性がほとんど・・・。
うかつだった・・・
ま、それはともかく、お芝居が面白かったことには変わりがない。
次回は「柿喰う客」の作品もぜひ行ってみたい