土地を媒介にした人間関係が成立した時代を「中世」と呼びます。これは日本で言えば鎌倉時代の「一所懸命」の主従関係が該当しますし、イスラム世界では「イクター制」の成立(10世紀ころイラクで)をもって中世といいます。 また、多くの地域でこれら土地を媒介にした人間関係を成立させる基礎になる「精神」が存在しているといえます。西洋では「キリスト教倫理観」が社会を支配します。西アジアでは9世紀ころに完成した「イスラム倫理観」です。日本の場合「武士道」と言いたいところですが、「武士道」は江戸時代の中期以降でしょうか。「いざ鎌倉」という倫理観。まさに命がけで土地を守る為に、もしくは土地を新しく手に入れるために戦う。これが坂東武士たちの「一所懸命」の精神です。 一方、このような意味における中世は、中国ではあまり顕著ではありませんでした。10世紀前半の混乱がそうさせたのかもしれません。中国では地主階級が王朝に治安維持など、自分の土地を守る為の行為を委ねていたようです。その代わり彼らは「科挙」を通じて王朝の政治に関与していったわけです。この点についてはまたの機会に触れたいと思います。 「中世」は非常に興味深い時代です。「ダビンチコード」が西洋世界でベストセラーになるのもわかるように思います。21世紀の世界は中世に向かっていくと思います。世界史であつかうような「遅れた」時代では決してないのです。
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