Reflections

時のかけらたち

大江健三郎のことば ・・・ message from Kenzaburo Oe

2023-04-16 23:35:17 | thoughts

大江健三郎が亡くなられて、坂本龍一も旅立って行ってしまいました。

友人から大江健三郎の追悼番組がすごく良かったと教えてもらったので、NHKプラスで見ました。

追悼 大江健三郎さん ノーベル賞の旅(1995年放送)

初回放送日: 2023年4月1日

1994年、日本人で二人目のノーベル文学賞を受賞した大江健三郎さん。NHKは、家族と共にスウェーデンでの授賞式
に臨む大江さんに密着取材を行った。話題を呼んだ受賞記念講演「あいまいな日本の私」を中心に大江さんのメッセージを
伝える第1回「日本人の祈り」、作曲家として歩み始めた長男・光さんとの心の交流やスウェーデンの人々とのふれあいを
通して、大江文学の未来を見つめた第2回「新しい方へ」を続けて放送する。


  



 

大江健三郎さんの本は高校生の時くらいに「ヒロシマノート」しか読んだことはありませんが、その後の著作の原点
になっていたようですね。

この放送はノーベル文学賞を取った時のスウェーデンでの様子を撮ったものと光君を見つめる父親としての大江健三郎
の二つで成り立っていました。ノーベル賞を取ったときの記念講演「あいまいな日本と私」は力強いわかりやすい英語で
語られ、何回も聴きました。

友人も古さを全然感じさせないと話していましたが、今の私たちに本当に大切にしなくてはならないものは何かを
思い起こさせてくれます。あとから読んだ山田洋二監督のコメントと同じことを感じました。こういう人が今の時代の
日本にいて欲しかったと。彼に代わるような人が今いるだろうかと思いました。

彼は文学賞の受賞者ですが、一番感じたのは平和に対する思いと人間性の復活です。
平和憲法の重みを改めてかみしめ、外国に対しても経済的援助だけをするとはっきり言えないのかときっぱり言っています。
武器をどんどん作って供給している時代にこそ、耳を傾けなければならない言葉です。防衛費が増していく中、武器よりも
身の安全を守るシェルターを備えるべきと最近の北朝鮮や、ロシアの動向を見ると思うばかりです。
大江さんの思いは繋いでいかないといけないと思います。また障害のある光さんに対する温かいまなざしは多くの人に
励ましと感動を与えたと思います。

山田監督は「物事を考える上で、正しい指針を与えてくれる人がいなくなってしまった不安と悲しみに包まれています。
加藤周一さんと大江健三郎さんの存在が長い間日本人にとってどれほど大切だったかを思いつつ、今大江さんを失うことが
現在のような混沌としたこの国の、さらに世界の状況にとって大きな損失だということを考えます。心ある日本人にとって
羅針盤を失ったような気持ちではないでしょうか」とコメントを発表した。

 

記念講演は受賞時にも聞いたか新聞で読んだと思いますが、師である渡辺一夫から引き継がれたラブレーの思いも
初めて認識しました。

 ラブレー文学者、ラブレー研究の渡辺一夫

渡辺一夫 『ヒューマニズム考 人間であること』 : 不寛容に対して不寛容になるべきか

大江健三郎は渡辺一夫氏を「人間性をゆがめるすべてのものに抵抗した人間」と紹介し、ヒューマニズムや寛大さの大切さ
人間が思い込みや自分の作った機械の奴隷となりがちなことを伝えました。

 

大江健三郎「あいまいな日本の私」に見る、戦後の引き受け方

 

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