“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

続・気分転換④~準1級の誤答練習問題(1)

2011-04-17 23:28:52 | 日記
前回の得点率に続き、

早稲田教育出版 2007年度版『出た順漢検ランキング 出題頻度順・完全トレーニング準1級』

で、しろねこが間違った練習問題を列挙します。今日は分野別問題から。

●音読み
①【廐舎】で馬の世話をしている。
②脱いだ服を【衣桁】に掛ける。
③【鹿茸】は薬用に使われる。
④突然おやじの【拳骨】がとんできた。
⑤今年は【甥姪】の結婚式が多い。

《解答》
①きゅうしゃ
②いこう
③ろくじょう
④げんこつ(文を読まず濁点を付けなかった)
⑤せいてつ


●訓読み
①浮き世の【柵】が多く思うようにいかない。
②我が家のネコは黒と白の【斑】だ。
③勝利の【凱】をあげる。
④人を【詑】くのはよくない。
⑤【縞柄】のパジャマを買う。

《解答》
①しがらみ
②まだら
③かちどき
④あざむ
⑤しまがら(「縦縞」と思い込んだ)


●表外訓読み
①外国で【擬】物をつかまされた。
②同僚の不正を【劾】く。
③受験のために勉学に【勤】しむ。
④そろそろ【羅】の季節になってきた。
⑤恩師に手紙を【認】める。
⑥君の意見を【諾】うわけにはいかない。
⑦子供が【拐】された。
⑧何度食べても【堪】えられない味だ。
⑨父から手紙を【託】かる。
⑩当選祝いで【薦被】りの樽をあける。
⑪庭の草木が【末枯】れてきた。

《解答》
①まがい
②あば
③いそ(送り仮名ミス)
④うすぎぬ・うすもの
⑤したた(何も考えず常用の「みと」と読んだ)
⑥うべな
⑦かどわか
⑧こた
⑨ことづ
⑩こもかぶ
⑪うらが


●書取
①【キンショウ】の差で破れた。
②用紙に【ケイセン】を引く。
③海に潜って【サンゴ】を見る。
④【ショウニュウドウ】を見物する。
⑤小鳥がえさを【ツイバ】んでいる。
⑥病院で長く【フ】せっている。
⑦【フトウ】に船を見に行く。

《解答》
①僅少
②罫線
③珊瑚(「冊」の横画を左右飛び出したのは許容字体なのですが、自分としては気に入らなかった)
④鍾乳洞
⑤啄
⑥臥
⑦埠頭


●国字読み
※間違うのがおかしい分野な筈が…完答でなく無念。
①硲
②堀
③粁

《解答》
①はざま(しろねこの記憶と相性の悪い字。「こだま」と読んだ)
②へい(何も考えず「ほり」と読んだ)
③キロメートル(気を抜いて「千」をそのまま「せん」と読んだ)


●常用漢字の書換
①【饗】応
②【昏】迷
③連【繋】
④【絃】歌

《解答》
①供
②混
③係
④弦


●二字熟語・一字訓読み
①【肇める】・肇国
②【哀咽】・咽ぶ
③【盈ちる】・盈虚
④【諫輔】・諫める
⑤【諮諏】・諏る
⑥【擾らす】・擾化
⑦【丞相】・丞ける
⑧【蕩く】・蕩用
⑨【弥く】・弥漫
⑩【輿い】・輿望
⑪【嬰れる】・嬰鱗
⑫【訣れる】・辞訣

《解答》
①はじ
②あいえつ
③み(送り仮名ミス)
④かんほ(「ほ」を「ぽ」とした)
⑤ししゅ
⑥な
⑦じょうしょう・しょうじょう
⑧うご
⑨あまね
⑩おお
⑪ふ
⑫わか


●対義語・類義語
①矛盾 ≒ どうちゃく
②正史 ⇔ はいし

《解答》
①撞着
②稗史(「正史」=国が作った歴史書、「稗史」=民間の歴史書)


●四字熟語
①【がいしゅう】一触
②点滴【せんせき】
③【どうちょう】塗説
④【こうじん】万丈
⑤【ぜんぴょう】一斑

《解答》
①鎧袖
②穿石
③道聴
④黄塵
⑤全豹(頭で分かっている「豹」を、手は「貌」と書いていた)


●同音・同訓異字
①しばしば話が【ソ】れる。
②先生の話に【ヒ】きつけられた。
③竹で矢を【ハ】ぐ。
④傷口が【ウ】んでしまった。
⑤壁に好きな絵を【カ】ける。
⑥妃の葬儀で【チョウホウ】が撃たれた。
⑦祖父が脳【コウソク】で倒れた。
⑧会場は耳を【ロウ】するばかりの大音響。
⑨小説の【コウガイ】が載る。
⑩【タンタン】とした生活を送る。
⑪【シュコウ】料としてお金をいただく。

《解答》
①逸
②惹
③矧
④膿
⑤掛・懸
⑥弔砲
⑦梗塞
⑧聾
⑨梗概
⑩坦坦
⑪酒肴


●故事成語・諺
①【センダン】は双葉より芳し。
②【テップ】の急を告げる。
③命長ければ【ホウライ】
④【ランデン】玉を生ず。
⑤【リュウイン】を下げる。
⑥【サイシン】の憂いあり。
⑦一斑を見て【ゼンピョウ】を卜(ぼく)す。
⑧【ニジュ】に冒される。
⑨前車の【フクテツ】を踏まず。
⑩荒馬の【クツワ】は前からとれ。
⑪【ナマコ】の油揚げを食う。
⑫【リカ】一枝、春雨を帯ぶ。

《解答》
①栴檀
②轍鮒(「轍」の「育」を「至」と書いた)
③蓬莱
④藍田
⑤溜飲
⑥采薪
⑦全豹(四字熟語と同じミス)
⑧二豎
⑨復轍(②と同じミス)
⑩轡
⑪海鼠(「老海鼠(ホヤ)」と書いた)
⑫梨花


●文章題書取
①本朝に【ヒリン】を絶した大作を書くつもりでいた。
②【ラクバク】たる孤独の情を齎した。
③高さ三尺計(ばかり)の【ブドウ】に、…
④夫の禍を転じて身の【アダ】とせし可憫(あわれ)さを、…

《解答》
①比倫(たぐい、同列のものの意)
②落莫
③葡萄
④仇


●文章題読み
①我が物と思えば眼の【眩】めき耳の鳴り、頭の裂けんとする身をも…
②烏滸の【痴者】とはいうべからずや。
③若しさるべからんには如何にか【為】べき、…
④空可恐(そらおそろし)く胸の打騒ぐを【禁】め得ず。
⑤かれを【念】い、これを思いて、絶(したたか)に心弱くのみ成行くほどに、…
⑥【稜】ある眼色(まなざし)は見る者毎にうらみあるが如し。

《解答》
①くら
②しれもの
③す
④とど
⑤おも
⑥かど


以上です。
次回は模擬形式の誤答問題を挙げる予定です。

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2 コメント

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「々」について (fuji-moca)
2011-04-19 01:47:00
こんばんは。またお邪魔します。

準一級の誤答練習問題、委曲(つばら)に書かれていますね!
これだけのボリュームを載せるのに随分と時間がかかったことでしょう。
しろねこ様の気概を感じます。
内容は後ほどよく見させていただきます。

さて、前の記事でのコメントで、ご質問を頂いてましたので、ご返事致します。
>因みにfuji-moca様は漢検や練習問題で、文字を繰り返す言葉の解答に、「々」をお使いになりますか?
>しろねこは上で述べた理由から、敢えて漢検の答案では「々」は使いません。

fuji-mocaも同じです。漢検の解答では踊り字「々」は使いません。本来の字体(熟語)ではないと思うからです。
和気藹藹や勇気凛凛など、特に四字熟語では普段の練習でも意識的に文字を繰り返して書いています。
二字熟語の場合も大体同じ字を繰り返して書いています。
が、燦々、潸々、楚々などは、草々、早々のように、
「々」を使ってもむしろ趣があるのではないかなあと思います。
ほかに、仰々しい、由々しい、瑞々しいなど、「~しい」の場合は「々」を使うことが多いですね。

>実践的に漢語を使っていらっしゃるので、凄いなあと思います。
大変恐縮です。ブログの中では敢えて思いつくまま使っています。
文章として成り立っているかどうか怪しいですが・・。


それでは、簡単な内容ですが、
失礼します。
返信する
Re:「々」について (しろねこ)
2011-04-19 08:06:24
fuji-moca様
おはようございます。
お返事有難うございます!

「々」のこと、やはりfuji-moca様もそうなのですね!
「々」が検定協会の許容している表記であっても、標準解答でも「々」が入っていない表記は、特にfuji-moca様が仰るように四字熟語においては、見ていて気の引き締まる思いがします。

>燦々、潸々、楚々などは、草々、早々のように、
「々」を使ってもむしろ趣があるのではないかなあと思います。
ほかに、仰々しい、由々しい、瑞々しいなど、「~しい」の場合は「々」を使うことが多いですね。

というfuji-moca様のお考えを拝読して、思い浮かんだのは仮名芸術です。
しろねこは高校の部活で書道を習った程度ですが、仮名部門の作品の、仮名の筆跡の流れは柔らかく心安らぐものがあります。
そんな和文に折り込まれた漢字がまた、仮名の筆跡の流れにすい込まれていくときに、「々」が作る曲線はとても美しいように思います。
そうしてみると、しろねこの感覚では、「折々」などは「々」を用いて表したくなる言葉です。季節の移り変りの風情がしっとりとついて来そうです。


準一級の内容だけで引っ張らず、本題一級の記事を「委曲(つばら)に」ご報告しなければと思うのですが、あと数回、この関連内容にお付き合いいただければ幸いです。

では、お返事お忙しいなか本当に有難うございました。失礼いたします。
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