斧論( I )のおさらいだ。人は薪割りをしたいから長い柄のついた大きな斧を買う。すでに十分割られたキレイな薪をさらに細かく割るだけなら、大きな斧は不要であり却って不便だ。一般に薪割りというのは、長さ約30~40cmに玉切りされた直径約20~30cmあるいはそれ以上の癖もある難物の丸太を、大きな斧でスパッと縦に割ることを指す。太い丸太を割ることを容易にするのは、斧の破壊力であり、それは刃の重さと厚みでほとんど決まる。前回紹介したスプリッティング・ハンマーを持ってしても、私は薪割りに苦労している。然るに世の中に普及する多くの斧の刃は、私のそれよりもはるかに軽く、薄っぺらく、ハンマーの代わりにもならない。そうであるとすれば、世の中に普及する多くの斧は、それだけをもって薪を割るには十分ではない。そのユーザー達は相当苦労するか、クサビやハンマーを別途用意してなんとか対応しているのではないか。そのように私は推論するのである。
薪割りに苦労するだけなら良いが、このような薄く軽い刃の斧を太い丸太を割るのに使用することは、斧自体の寿命を早めることになりかねないのだ。通常、斧は鋼鉄の刃と木の柄からなっていて、そのコントラストが古典的な実用的道具としての美しさでもある。刃の部分に寿命などほとんどない。問題は柄と刃の継ぎ目である。
薪を割るのに不適な斧で薪割りをすると、斧は丸太に当たって跳ね返されるか、丸太に突き刺さり抜け難くなる。抜け難くなった斧を前後に動かし無理やり抜くということを繰り返すと、それは柄と刃の継ぎ目にかなりの負担となるのである。やがてその斧の刃と柄の間がきしみ始める。しかも柄は木製であり、木は時間とともにわずかに痩せるのだ。そうした斧を使い続けることは非常に危険でもある。やがて使用中に刃だけがスポッと抜けるからだ(状況が悪ければ、その刃に当たった人は即死だろう。斧を使用する人は前後をよく確かめましょう)。実はこれもまたクサビを使って補修することが可能なのだが、ちょっとやっかいである。
というわけで、世の中の多くの斧はその刃が軽く薄い斧ゆえ、柄と刃の継ぎ目が早く緩んで自壊してしまうのでかなりやっかいなのではないか。それが、斧振り回し歴18年の私による推論その(2)である。
この問題を一挙に解決してくれる斧がある。マジック斧だ(上の画像)。前回最初の画像で私が紹介した私の手斧同様、柄から刃までが一体になった鉄製なので、柄と刃が分離することはない。加えて刃がでたらめに厚く重い。6kgはあろうという巨大な鉄の塊である。刃をただ振り下ろすだけで太い薪がパッコンと割れるらしい。「らしい」と言うのは、私は使ったことがないからだ。近隣の別荘地でも、このマジック斧を使っている人を私は見たことがない。しかしなぜかかなり有名で、斧を売る店ならたいてい取り扱っている。
これもまた私の勝手な推論だが、このマジック斧を実際に使っている人を見かけない理由は以下の3つである:
①斧があまりに工業製品的で芸術性がなさ過ぎる。
②刃があまりに分厚く重過ぎて、振り回すには相当な体力が必要である。
③八ヶ岳山麓の別荘オーナーは趣味性をやたらと重んじカッコつけたがる鼻持ちならない人種が多く、かつ残念ながら平均年齢もやや高めであるので、彼らにとっては①も②も受け入れ難いのであろう。
こうやって分析してその長所に気づきながらマジック斧を使わない私も、ひょっとして③に属する人種の1人なのか?・・・きっとそうなのだろう。
以上私の勝手な斧論( I )( II )であった。
もちろんベースは別荘族ですね。
③の論理はわかりやすい。
私も薪ストーブが欲しかったのが、山荘の雰囲気を堪能できると思ったからです。
でも堪能する時間が取れなかったから、今は設置しなかった判断は正しかったかもしれません。
薪ストーブがあれば私も③のオーナーで、格好つけと雰囲気作りで斧と斧台をさりげなく山荘内外に配置することにこだわりそうです。
実際に買う薪は割る必要のないものにして。
これは時間、力のない私にとってかなり重要なこととなるでしょう。
長々と帰宅途中の電車のなかで書かせて戴きました。
明日は私も定休日です。
毎度お読み頂き、有難うございます。
私は明日も休みです、すみません。
薪割りは疲れます。それなりに体力も必要
ですからね。エコだとかなんだとか言います
が、あれほど高くつく暖房もありません。
ご帰宅は近鉄でしたっけ?
最近の関西の鉄道網がよくわかりません。
モノレールまでありまんがな。
出張の時びっくりすることがありますわ。
近鉄ルートのほうが早く着きますが、
近鉄はラッシュがきついです。
それに比べてJRは座って行けます。
この差は大きい。
私も同じ。
東海道が早いが、横須賀線が空いてます。
疲れたくないものね~。
明日が最後の休み。
かなちぃなぁ・・・・。
薪割り斧や薪ストーブに付いては人それぞれ思いの丈があると感じました。
斧に関しては自分の考えは少し異なります。
後日、コメントさせて頂きます。
おやすみなさい。
こんばんは。
そうですか。いろいろお考えがあるでしょう。
私も斧を振り回して18年。
それぞれでしょうねえ。
皆、単純に斧を振り下ろしているように
見えて、あれこれ考えているはずです。
それぞれ、あれこれ。
おやすみなさい。
東京も寒いですが、お山も寒そうですね。
斧の記事を読み直したら、基本的には自分の考えと同じでした。
最初、斜め読みした時は違うと思っていましたが、本質的には殆ど同じ考えでした。
いつものことで。
後一本、スティールかバーモントの斧が欲しくなりました。
斧ばかり有っても仕方ないのですが。
冷たい空気を吸い、静まり返った原村のてっぺんで斧を振り下ろすのは、傍目には単純な作業に見えるかもしれないのだけれど、頭の中ではいろいろなことを考えてますよね。その時手に持っている斧についてもあれこれ考えます。私にとってはたいへん楽しい時間です。
薪割りが楽しい時である別荘族は幸せかもしれません。
永住者は半ば義務として薪割りしているかも。
で、私は義務ほどではありませんが、最近手抜きして薪割りしていません。
薪割りすべき薪は有るのにしていないという事は、義務に近づいているのかも。
割らないでも月二回ペースでは2年分ぐらい確保したありますから、ノンビリ構えてしまっています。
すごいですね!二年分とは。私はなくなりそうになったらまた割るというやり方なので、大量に割った薪が積み上がっている状態は我が家ではありません。来年前半には薪(玉ぎり状態)を買うことになりそうです。