花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「ジョルジョ・モランディ展」を見逃がしてはいけない!

2016-03-10 00:30:36 | 展覧会

「カラヴァッジョ展」と抱き合わせで、東京ステーションギャラリー「ジョルジョ・モランディ-終わりなき変奏」展を観た。今回の展覧会はボローニャのモランディ美術館の全面的協力で開催されたようだ。

展覧会チラシ。裏面の 「すこし、ちがう。すごく、ちがう。」 のキャッチもいいなぁ! 凄く言い得てる。

モランディ美術館(ボローニャ)

展覧会は4月10日(日)までだが、これだけの数のモランディ作品を日本で観られる機会って滅多にないのだから、見逃したら惜しいと思う。「カラヴァッジョ展」の帰りは、東京駅(ステーションギャラリー)へ、ぜひ(^^ゞ

さて、展示はセザンヌ風やシャルダン風の静物画から始まったが、モランディの変奏の面白さは同じような静物モデルを使った変奏だけでなく、更に油彩から水彩や素描へと(反対ではない)変奏することで、これにエッチング変奏まであるのだから、モランディの変奏への挑戦には終わりがない(^^; 

例えば、以下は11月にモランディ美術館で撮った写真だが…素描から始まるのではなく、油彩を基に変奏が始まるのだ。

 

ジョルジョ・モランディ《静物》 油彩

ジョルジョ・モランディ《静物》 水彩

ジョルジョ・モランディ《静物》 素描

油彩の変奏では、パルマのマニャーニ・ロッカ財団美術館の油彩作品《静物》も来ていたが、良く似たボローニャ美術館の油彩《静物》(1948年)も隣に並んでいて、なんだか嬉しかった♪

ジョルジョ・モランディ《静物》(1948年)マニャーニ・ロッカ財団美術館 

フェデリコ・ゼーリは、美術作品は「ひとつの交感(コミュニケーション)手段」である、と言っているが、美術ド素人で現代美術苦手の私でも、モランディ作品と対峙すると、画面のなかの瓶や壺と会話できるし、「モランディさん、そう動かしましたかねぇ」とか、「あら、明暗だけにしちゃいましたねぇ」とか、面白く観ることができる。もちろん、モランディ自身の意図はわかるはずもないけど、バロックと違い、少し前の時代を生きたモランディは、まだ身近に感じられる。形而上絵画に走ったり、ファシスト政権に捕まったり、ボローニャの街並みを歩く姿さえ想像される。雨を避けてポルティコに急いで避難したり、マッジョーレ広場あたりで知り合いに会ったり、フォンダッツァ通りのアパート下のステンドグラス前で隣人に挨拶されたり、色々…。 

あ、もしかしてMAMbo(ボローニャ現代美術館)のロビーに展示されていたモランディ伝記(コミック)の数頁展示に影響されているのかなぁ? コミックの中でも大きな図体の寡黙な画家であった(^^; 

アトリエでモデルたちを並べ替えておりますね(^^;

Claudio Bolognini と Fabrizio Fabbriによる「モランディ・コミック伝記」

本当は、時間があったら11月に観たモランディ美術館の作品も紹介したいのだけど...。ヴェネツィアのペギー・グッゲンハイム美術館から、モランディ初期のセザンヌの影響ビシバシ作品や、形而上絵画作品などが展示されていて、とても興味深かったのだ。