花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

彫刻家はニコデモがお好き(^^;

2022-01-17 00:56:03 | 西洋彫刻

以前、このブログで「ミケランジェロとカラヴァッジョのニコデモ」について書いたことがある。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/46335b9f6c0fc529b547e39118403b0d

ミケランジェロ《バンディーニのピエタ》(1552-53年)ドゥオモ博物館(フィレンツェ)

このピエタのニコデモはミケランジェロの自刻像(セルフポートレート)とされる。ニコデモは伝説(新約聖書外典)によれば、後に木彫りのキリストの磔刑像を作ったという。カラヴァッジョがそれを念頭に《キリストの埋葬》でニコデモをミケランジェロとして描いた可能性は、まぁ、否定はできないのだけどね

で、実は、このニコデモ自刻像はミケランジェロだけかなぁと思っていたら、なんと、ドイツの彫刻家たちもニコデモを自刻像として彫っていることをお勉強してしまった。あの!リーメンシュナイダーさえもなのだ!!

ティルマン・リーメンシュナイダー(Tilman Riemenschneider, 1460頃 - 1531年)はヴュルツブルグの巨匠(彫刻家)である。当時の彫刻は彩色彫刻が主だったが、リーメンシュナイダーは専らモノクロームの木彫を作った最初期の彫刻家でもある。

ティルマン・リーメンシュナイダー《クリクリンゲン祭壇画》プレデッラ(右端)〈博士たちと議論する少年イエス〉の博士の一人としての自刻像(セルフポートレート)。

下↓はニコデモとしてリーメンシュナイダー自刻像と言われる作品だ。

ティルマン・リーメンシュナイダー《哀悼群像》(1519-22年頃)マイトブロン,シトー会女子修道院聖堂(砂岩彫刻)

上画像の拡大図:中央に精油壺を持つニコデモがリーメンシュナイダー自刻像と言われる。

ちなみに、デューラーと同じニュールンベルグのアダム・クラフト(Adam Kraft, 1455/60 - 1509年)も。下は彫刻道具を持った自刻像(セルフポートレート)。私が作りましたっ!て顔ですね。顎髭が見事!

アダム・クラフト《台座を支えるアダム・クラフト》(1496年)聖ローレンツ教会

下↓は顎髭クラフトのニコデモ自刻像とされるもので、ちゃんと槌と鑿(彫刻道具)を持っている

アダム・クラフト《シュライアー家とランダウアー家の墓碑》(1492年)聖ゼバルドゥス聖堂東壁面

いずれにせよ、彫刻家がニコデモを自刻像(セルフポートレート)として彫っているのは、画家たちが聖ルカを自画像として《聖母を描く聖ルカ》を描いているのと同じなのだろうなぁと了解したのだった。