花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

国立新美術館「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」会期決定!

2020-10-26 18:37:03 | 展覧会

2021年に延期になっていた国立新美術館の「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」の会期が、2021年3月24日〜5月10日に決定した。

http://caravaggio2020.com/

◆「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」

・会場:国立新美術館

・会期:2021年3月24日(水)〜5月10日(月)

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ《キリストの埋葬》(1603-04年)ヴァティカン美術館

展覧会までに新型コロナ感染が収束できていれば良いのだが...。


映画「ロミオとジュリエット」とピサネッロ。

2020-10-20 20:39:03 | 西洋絵画

先月、NHK-BSで映画「ロミオとジュリエット」(フランコ・ゼッフィレッリ監督,1968年)を見た。 何十年かぶりに見たのだが、今でも全然古さを感じさせない瑞々しい作品だと思った。ティーンエイジャーたちの情熱は恐るべし

https://www.youtube.com/watch?v=Cp-BUn0Asjc&feature=emb_logo

で、実は、映画の冒頭、キャピュレット家の舞踏会に集った女性たちを眺めながら、おお! これはヴェローナで観たピサネッロ作品に描かれた時代の衣装ではないのか?! と目が吸い寄せられた。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Saint_George_and_the_princess_by_Pisanello_-_Pellegrini_Chapel_-_Sant%27Anastasia_-_Verona_2016_and_corrections_(perspective,_lights,_definition_by_Paolo_Villa_2019).jpg

「ロミオとジュリエット」の舞台はヴェローナである。 ヴェローナのサンタナスタジア聖堂にはピサネッロ(Pisanello, 1395年頃 - 1455年頃)の傑作《聖ゲオルギウスと王女》フレスコ画が描かれており、 そのコスチュームがそっくりなのだ。 多分、衣装デザインのダニロ・ドナティ(アカデミー衣装デザイン賞) はヴェローナということで、特に参考にしたのではないだろうか? ? ピサネッロの描くエレガントな衣装の女性像の素描は当時でも人気だったようだし。

ちなみに、下↓の写真はヴェローナのサンタナスタジア聖堂(ペレグリーニ礼拝堂)である。開口部の上部壁にピサネッロがフレスコ画を描いている。

聖ゲオルギウスと王女(1436 - 1438年)ヴェローナ、サンタナスタジア聖堂(ペレグリーニ礼拝堂)

ヴェローナにせっかく来たのだからと「ジュリエットの家」もついでに訪れたのだが、世界各国からの観光客で賑わっており、シェークスピア「ロミオとジュリエット」人気を目の当たりにしてしまった

「ジュリエットの家」(伝)のバルコニー(というかベランダだよね

撮った写真をチェックしていたら、2013年秋のイタリア旅行記がブログで中途半端に途切れたままなのに気が付いた(汗)。ううむ...続きを書かなければ...。


佐藤猛 著『百年戦争』超サクッと感想(^^;

2020-10-16 10:43:53 | 読書

佐藤猛 著『百年戦争』(中公新書)を読んだ感想を書いていなかったので、超サクッと

読もうと思ったのは、ブルゴーニュ公国を百年戦争の中で俯瞰的に見てみたいという興味だったが、なんのなんの!イングランドとフランスという国家意識もまだ混沌としていた時代から、近代的国家意識の形成に至る、百年を超える両国の思惑と領地をめぐる戦いの歴史の複雑さに、もう読みながらヘトヘトになってしまった。

「百年戦争は、イングランド王が主従関係を切断しようとして始まった。その後、フランス貴族のさまざまな思惑に引きずられながら拡大し、複雑化した。そして、フランスの軍事力が勝ったからではなく、フランスの国家が統一されることによって終結した。」(P269)

フランスの白百合貴族であるブルゴーニュ公家の思惑が色々と事を複雑にしたのも確かで、アラス会議でフランス王家と手打ちした後でも、薔薇戦争中のヨーク家と手を組んだり(シャルル・ル・テメレールとマーガレット・オブ・ヨークの結婚ね)、結局シャルルがナンシーで戦死した後に本貫の地ブルゴーニュを含めフランス王国内の領地を失うのだから…。

そう言えば、昔見た映画「冬のライオン」の主人公はアンジュー伯ヘンリー2世プランタジネットと王妃アキテーヌのエレオノールだったが、それに息子たちとフランス王フィリップ2世が絡む話で、舞台はシノン城だった。

ヘンリー2世がフランス王国内にフランス国王よりも広大な領土を所有していた時代(アンジュー帝国!)の話であり、その息子たちがその領土を失うのは時間の問題だったのだぁと、今にして思う。


ダージリン・ティー。

2020-10-15 10:50:02 | 食べもの

今年はカフェでお茶することがなくなってしまい、せめて家で美味しい紅茶が飲みたいと思い、今年の夏摘みダージリン茶葉を購入。

少々お高かったけれど、その豊潤でフルーティーな香りと、蜜のようなまぁるい味わいに大満足!!。ファーストフラッシュも良いけど、セカンドフラッシュも良いのだわ。なんだかんだ言っても、紅茶の中ではダージリンが一番好きかもしれない。


宮城野萩。

2020-10-14 10:11:02 | Weblog

宮城野萩(ミヤギノハギ Lespedeza thunbergii)は宮城県の県花である。古今和歌集や源氏物語などでも歌枕として歌われている。

「宮城野の 露吹き結ぶ 風の音に 小萩がもとを 思ひこそやれ」 (源氏物語・桐壺院)

まぁ、そういうことで、宮城県知事公館の前の生け垣に宮城野萩が植えてあるのだと思う。先月末に宮城県美術館に行きすがら眺めたら、紅白の小さな花々が今年も生け垣を彩っていた。(多分、もう散ったかな?)

それにしても、宮城県美術館移転案に私は未だ怒っている。移転予定先の住民から移転要望書が出たらしいけど、それだけ辺鄙な所だからでしょ。川内の文教地区からそんな不便な所に引っ越すなんて。彼らは自分たちの利害だけで言っているのだと思う。宮城県美術館を愛する者(身銭を切って観ている者)は、移転なんぞ断固反対です。


バーネット・ニューマン《アンナの光》。

2020-10-13 10:18:43 | 西洋絵画

(DIC)川村記念美術館でバーネット・ニューマン《アンナの光》に出合ったのは、2009年春(良く晴れた日)「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展を観に行った折だった。

https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2009/rothko/

現代美術苦手の私にはロスコの《シーグラム壁画》は薄暗いし、殆ど「よくわからない」状態だったが(近年、窓説になるほど)、ニューマン・ルームに足を踏み入れた瞬間、《アンナの光》が発する赤く暖かな光に包まれたような気がした。アンナは画家の母の名だと後から知り、ああ、あれは「母の光」だったのだ!と了解した。幅7.1m、高さ2.3mという、ニューマン作品の中で最も大きなものであり、母の包み込む愛情の大きさを表現するために必要な大きさだったのかもしれない。

(ネットより画像拝借)

バーネット・ニューマン《アンナの光》(1968年)

ご参考:https://www.youtube.com/watch?v=tRwKwxLOJ9M

残念ながら、2013年に《アンナの光》は売却され、もはや「ニューマン・ルーム」で観ることはできない。

当時の川村記念美術館「ニューマン・ルーム」は自然光を取り入れた、《アンナの光》のためのオーダーメイドの展示空間だった。だからこそ、美術ど素人且つ現代美術苦手の私さえ、その作品の持つ魅力を身体全体で感じることができたのだと思う。ある意味、平面絵画が主役のインスタレーション空間だったとも言えるかもしれない。(現代美術音痴が恥ずかし気もなく言ってるかも

先に書いたオランジュリー美術館のモネ「睡蓮」連作展示室もオーダーメイドの展示空間だと思う。作品にとって、魅力を最大限に引き出してくれる展示空間に置かれることは幸せなことだと思うし、鑑賞者にとっても、嬉しくもその魅力を大いに堪能できる空間である。

一方、「唐招提寺御影堂」の東山魁夷の障壁画は、与えられた空間に合わせたオーダーメイドの作品を描いている。東西を問わず宗教画の場合はこのケースが多いように思える。例えば、ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂も、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂も、そして、カラヴァッジョ《マタイの召命》のコンタレッリ礼拝堂も...。その場所でしか味わえない作品と空間のコラボとも言える。

しかし、美術館に所蔵されている作品の多くは、オーダーメイドの空間に展示されることは難しいかもしれない。せめて、作品の意味と作品自体の魅力をしっかりと伝えられる展示であれば良いなぁと思う。


今年も無花果(イチジク)の甘露煮 ♪

2020-10-12 09:42:28 | 食べもの

今年もスーパーに甘露煮用の無花果(イチジク)が出始め、熟す寸前の美味しそうな粒を購入できた。経験から言うと、緑色の小粒なイチジクは煮ても固くなりがちなのだが、今回は粒も大きいのでふっくらできそうな予感

ちなみに、今回のレシピは...

・無花果(イチジク)・・・ 1kg

・キビ砂糖 ・・・ 230g

・ワインビネガー ・・・ 小さじ2

・醤油 ・・・ 小さじ1

無花果を洗い、ヘタを切り、鍋(30年近く使っているビタクラフト)に入れ、最初は砂糖を半分、弱火でコトコト煮詰め、煮立って汁が出たら残りの砂糖とビネガー&醤油を入れ、また弱火でコトコトと。予想通り柔らかふっくらと美味しく出来上がったのだったのだった

問題は、ダイエット努力中!なのに、シャインマスカットで自分を甘やかし、更に無花果の甘露煮を作ってしまい、もう、なし崩し的にダイエットは無理になってしまったこと。意志薄弱な自分が情けない


宮城県美術館で「奈良・中宮寺の国宝展」が。

2020-10-11 10:10:03 | 展覧会

宮城県美術館の次回特別展は「奈良・中宮寺の国宝展」とのこと。

https://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20201112-s01-01.html

◆「東日本大震災復興祈念 奈良・中宮寺の国宝展」

・会場:宮城県美術館

・会期:2020年11月12日(木曜日)- 2021年1月12日(火曜日)

以前、東京国立博物館の展覧会で《菩薩半跏思惟像》(国宝)を観た記憶があるが、あの優し気なお姿の菩薩様が来てくださるのがとても嬉しい


宮城県美術館「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」サクッと感想。

2020-10-10 21:41:02 | 展覧会

宮城県美術館「東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」を観た感想をサクッと

https://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20200919-s01-01.html

唐招提寺の《鑑真和上座像》は、以前、展覧会で観たことがあるものの、座像が安置されている「御影堂」自体は観たことが無い。今回の展覧会は《鑑真和上座像》抜きではあるが、東山魁夷による御影堂障壁画(全作)を中心とし、併せて、展示の後半部分は創作準備過程の様子を見せてくれるものだった。

展覧会前半は御影堂の障壁構成に倣った展示で、実際の障壁部と空間を効果的に絵画構成に取り込もうとした画家の意図は観る者にも伝わってくるものだった。画家が鑑真和上へのオマージュとして構成したのは、渡航の海を表現した《濤声》、日本の風景を象徴する《山雲》、中国の山々を描く《桂林月宵》《黄山暁雲》、鑑真の故郷揚州を描く《揚州薫風》だ。

私的に特に目を惹かれたのは青色の諧調の美しい《濤声》であり、画面いっぱいに海の広がるスケール感が心地良い。大海が波濤を生み、岩礁にぶつかり、乗り越え、さざ波となり浜辺に打ち寄せるまでの時の流れを、眼は追い、耳には濤声が聞こえるかようだった。画面の浜辺付近は障壁の角で折れるのだが、画家はそれを逆手に取り、寄せる波を浜辺へと誘う自然な展開として確かな効果を生んでいる。それは、東山魁夷の入念な取材と観察に支えられた画家としての確かな技量に裏打ちされたものだと思う。

東山魁夷《濤声》(1980年)唐招提寺御影堂(ネットから画像拝借)

今回興味深かったのは、日本の風景を描く《濤声》や《山雲》は東山魁夷らしい色彩画なのだが、中国の風景は珍しくも水墨画で描いていることで、鑑真和上の望郷の想いだろうか、より幻想的な趣が滲んでいるように思われた。

東山魁夷《揚州薫風》(1980年)唐招提寺御影堂(ネットから画像拝借)

実は、会場空間に身を置きながらふと想ったのは、オランジュリー美術館のモネ晩年の連作《睡蓮》展示室だった。モネは《睡蓮》の連作を効果的に(瞑想とやすらぎの場として)展示するために特別の展示空間を構想していた。

クロード・モネ《朝の柳》オランジェリー美術館

《鑑真和上座像》が安置されている御影堂空間も、ある意味で和上のための瞑想とやすらぎの場なのかもしれない...と思ったのだった。