花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」感想(2)

2016-03-02 23:31:19 | 展覧会

今回の「カラヴァッジョ展」会場は、予想通り照明に工夫が凝らされていた。天井のスポットライトの他に床からのボックス照明も加わり、カラヴァッジョ作品の魅力を最大限に引き出そうとする努力が見える。特に効果を発揮していたのは《バッカス》であり、頭の髷に飾られた紅葉した蔦の葉が、ウフィッツィで観る以上に新鮮な色彩として目に飛び込んでくる。《バッカス》好きとしては嬉しい照明の贈り物だった。 

カラヴァッジョ《バッカス》(1597-98年)ウフィッツィ美術館

しかし一方、ウフィッツィでは平坦な照明の下、近づいて観察できる「フラスコに映るカラヴァッジョの顔」はあきらめなければならない。今回の会場では展示作品と細いロープで仕切られた距離の他に、作品が通常よりも高い位置に展示されており、作品との距離感が実際以上に大きく感じられる。単眼鏡をお持ちの方は必携だろう。

ということで、まずは展覧会構成から。各章に展示されているメインのカラヴァッジョ作品もあわせて記す。

Ⅰ)風俗画:占い、酒場、音楽 《女占い師》

Ⅱ)風俗画:五感 《トカゲに噛まれる少年》

Ⅲ)静物 《果物籠を持つ少年》・《バッカス》

Ⅳ)肖像 《マッフェオ・バルベリーニの肖像》

Ⅴ)光 《エマオの晩餐》

Ⅵ)斬首 《メドューサ》

Ⅶ)聖母と聖人の新たな図像 《洗礼者聖ヨハネ》・《法悦のマグダラのマリア》

☆)ミニセクション:エッケ・ホモ 《エッケ・ホモ》

★)各章および終章に国立古文書館からのカラヴァッジョ関連史料展示あり。 

カラヴァッジョ《エッケ・ホモ》(1605年)パラッツォ・ビアンコ

この構成を見ると、確かにカラヴァッジョ作品の特色を網羅しているのに気が付く。更に一次史料展示を含めると、まさに賢明な構成と評価できよう。だが、限られたカラヴァッジョ作品を補足説明するカラヴァッジェスキ作品の質の高さも嬉しかったが(全部とは言わないまでも)、如何せん、数の少なさが気にかかった。章の多さと補足作品の少なさが全体的にサックリ感を増幅し、最新の調査研究の詳細さがクールさを漂わせるのだった。Cool...褒め言葉でもある。 

ということで、作品感想については次回に続く…(^^ゞ