大阪行きの旅行計画を立てたのは3月末、大阪万博のイタリア館が目的だった。しかし、2カ月前抽選受付の締切は過ぎており、7日前抽選に賭けるしかない。当たる可能性だってあるかも
と楽観的に、航空券もホテルも予約してしまった(早割あるし)。
しかるに、開会後の万博ニュースではイタリア館は大絶賛の大人気
。抽選に外れた場合、予約無しの年寄が炎天下で行列待ちするなんて到底無理でしょ
。さすがに私も不安が増してきた
。
そこで噂のイタリア館アプリ予約。初動が遅れたため、旅行予定の5月は全て予約済み
。6月は私が無理だし、7月8月の夏休み時期は外したいし、ということで9月に予約が無事取れた(ほっ)。出展美術作品は殆ど既に観ているので急がないし、カラヴァッジョ偏愛的には再度の大阪行きも致し方ない。
さて、申込んでいた7日前のイタリア館の抽選結果は...案の定!ハズレだった

ということで、それでもめげずに行ってきました、大阪&奈良旅行に
。仙台を昼過ぎに飛び立ち、大阪には午後2時半ごろ到着した。

(仙台空港にて)
伊丹空港に到着するや、早速向かった先は...中之島にある「大阪市立東洋陶磁器美術館」である。
https://www.moco.or.jp/

(大阪市立東洋陶磁器美術館)
いやぁ、市立美術館とは思えないほどの上質な展示空間と展示作品である
。美術館スタッフの作品愛が展示照明にも現れていて、東京出張展示では見たことないほどの美しい作品の風情を楽しむことができた(感涙)。

《油滴天目》建窯(南宋 12-13世紀)
例えば《油滴天目》。見込みの中に散乱する銀河の煌めきだけでなく、胴部分の油滴の煌めきをも併せて映し出す仕掛けは、所蔵する美術館ならではだと、その心意気に深く瞠目した。
中之島の美術館を出た後はホテルに向かい、チェックイン。翌日は奈良に行きくことに。本当は万博用に当てた1日だったんだけどね
。
奈良へは近鉄奈良線を利用、学園前で降りて向かったのは「大和文華館」である。

(大和文華館)
特別展「没後50年 矢代幸雄と大和文華館 ―芸術を愛する喜び―」が開催されていた
。
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/culture/yamato/exhibition/yashiroyukio.html

初代館長の矢代幸雄はボッティチェッリ研究者としても有名である。ロンドンで出版された大版本(オリジナル)も展示されていた。写真の一番左は師バーナード・ベレンソンが愛用した文鎮。
大和文華館の美しいお庭も拝見し、再び近鉄に乗り向かった先は「奈良国立博物館」である。

現在、奈良国立博物館では「超 国宝」展を開催中!
https://oh-kokuho2025.jp/

いやぁ、奈良に集まった国宝の数々からは、実に歴史の深みを感じることができた。
特に、初めて観た宝菩院願徳寺(京都)の《菩薩半跏像(伝 如意輪観音)》が凄かった!!

《菩薩半跏像》(伝 如意輪観音)(8~9世紀)宝菩院願徳寺(京都)(画像はWkipediaから)
纏う天衣の流れが渦巻くように絡まり落ちながら、ふと溜まり溢れるようにまた流れ行く...。なんという超絶技巧!!思わず、うゎ~!と声が出てしまった。この菩薩像だけでも奈良に来た甲斐があったと思う。
奈良博を出たら雨降りになっていて、近鉄線で再び大阪へ戻った。
ということで、翌日(最終日)は大阪市立美術館「日本国宝展」を観る。
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kokuhou2025/index.html


ここで目を惹かれたのは、道明寺(藤井寺市)《十一面観音菩薩立像》だった。

《十一面観音菩薩立像》( 8~9世紀)道明寺 (藤井寺市)
平安初期とされる檀像であり、仏像ド素人目にすこぶる調和のとれた「過度期」(勝手にすみません
)の仏像ではないかと思われたのだ。天衣の流れが極めて美しいのに、背後から見ると天衣の先が飛鳥仏風に硬く翻っていて、先の奈良で観た《菩薩半跏像》への道が見えるような気がしたのだ。
いやぁ、国宝級ともなると、仏像門外漢の私でも本当に魅了されてしまった。今回の大阪&奈良の旅では怒涛のように国宝の数々を観ることができたのは幸運だったと思う。それ以上に、関西圏の歴史と文化の厚み、あわせて懐の大きさ(明治以前は経済の中心地だったし)も肌感覚で感じられたのが一番の収穫だったかもしれない。
ということで、ホテルで預けていた荷物をピックアップし、伊丹空港から仙台へと帰ったのだった。